キラキラのにおい
―――キラキラだ!
ボクはそれを見つけると嬉しくなってくるりと回る。
ついつい嬉しくて声をあげそうになるけれど、お利口さんなボクは静かに後ろを振り返る。
遅れてやってきたエヴァンは随分と息が上がっている。
―――ボク、そんなに早かったかな?エヴァンは軟弱だなぁ。
そんな事を思いながら見つけたキラキラを披露する。
ドヤと胸を張れば、エヴァンは静かに褒めてくれた。
「いい子だ」
エヴァンはキラキラが嫌いみたいだ。
それを見つけるといつも顔を歪める。
こんなに綺麗なのに。
だけど、いっつもキラキラをピカピカに磨く!
ボクはエヴァンの手元をのぞき込む。
キラキラはくすんでいる事が多いけど、エヴァンが手を加えるとすぐにその輝きをとりもどす。
ボクは嬉しくって綺麗になったキラキラを振り回す。エヴァンは「こら」とボクの耳を引っ張った。
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―――キラキラだ!キラキラがあるぞ!
キラキラはたまに探すのが難しい。
重石の下にあったり、硬い布に覆われていたり。
でもボクはそいつを見つけるコツを知っている。
コツさえ掴めばキラキラを見つけるのは簡単だ!
ズルズルと隠されたキラキラを引き出す。
今日のキラキラは綺麗だ。
太陽に照らされて、ピカピカしている。
きっとすごいキラキラに違いない!
またまた遅れてやってきたエヴァンはボクを見つけると、ため息をついた。
なんだその顔は。せっかく見つけたキラキラを見せてやらないぞ。
ボクは少しムスッとしてエヴァンを待つ。
「えらいぞ」
エヴァンはボクの不機嫌を感じ取ったのか、取り付けたようにそう呟く。ボクが無視しているとエヴァンはポケットからビスケットを取り出した。
くそう!おやつでボクの機嫌をなおそうなんて!
なんて良い奴だ!!
ボクははむはむとお菓子に食いついた。
˚✩∗*゜⋆。˚✩⋆。˚
―――キラキラだ!キラキラのにおいがする!
ボクは走った。これはキラキラの中でも特別なキラキラだ!
光の差し込む林の中、キラキラのにおいを辿って走る。
エヴァンが後ろをついてくるか少し心配になったけど、もし迷子になってもボクが探してあげる。
見つけた!
今回もキラキラは隠されているみたいだ。
キラキラを取り出そうと硬い布を引っ張る。
ボクはキラキラを取り出そうとしただけなのに、キラキラの番人はボクの頭を抑える。
たまにこうやってキラキラを守る番人がいることがある。
番人は可愛いボクを抱きしめると、わしゃわしゃと撫で、泣き出してしまった。
―――なんだ、軟弱なヤツめ!キラキラを寄越せ!
ボクはめげずにキラキラを取り出そうと奮闘する。
番人は僕の背を撫でるのをやめなかった。
しばらくすると、またはぁはぁと息をきらせたエヴァンが追いついてきた。
エヴァンはすぐに辺りを見回すと荷物を下ろし座り込んでしまった。こうなるとエヴァンは長い。
ボクが不機嫌になって座り込んでるのに気付きもしない。
「ありがとうハンドラー」
ハンドラーとはエヴァンの事だ。
人間はエヴァンをそう呼ぶことが多い。
そんな番人の身体に、光るものが見えた。
―――キラキラ!キラキラだ!
ボクはキラキラをつついた。
番人はサッとキラキラを隠してしまった。
「コイツはこれが大好きなんだ」
エヴァンがそういうと、番人は仕方ないなとボクにキラキラを投げて寄越した。
ボクは嬉しくってキラキラを振り回す。
―――なんだ、コイツはいい番人だったのか!
「よくやった、エース」
その晩、エヴァンはより一等上等なお肉をごはんにくれた。
°・*:.。.☆
ぐらりと揺れる。
こんな揺れのあとはいつも大きな雷の音がする。
パタタタタと遠くで響く鳥の声。
今日はいつもより騒がしい。
風に乗って流れてくこれは、溢れるキラキラの匂いだ!
キラキラを沢山見つけたら、またエヴァンはボクをとても褒めてくれるだろう。
ボクは嬉しくなってクルクル回る。
エヴァンは困ったように、呆れたように、疲れたように、目を伏せた。
今日もボクはキラキラを探しにエヴァンとお散歩に出る。
キラキラのにおいがする。
キラキラのにおいがする。
キラキラのにおいがする。
✧︎*。
キラキラのにおい
fin
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