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アルの還る場所  作者: 無名の記録者
第6章 真相への手がかり
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第1話 未知への扉

 リオは結局、アレンの魔力に当てられて、気絶するように眠り込んだ。

 おかげで十分に休めてすっきりしているが、どこか複雑な気持ちも残る。


 昨夜と同じように、父の分も朝ご飯をもらってきて、二人で食卓を囲む。


「悪くはないな」


 食べながらそう言うアレンは、目の下に少しクマがある。


「やっぱり、椅子じゃ寝られなかった?」

「ん?いや、考え事をしていて、あまり眠れなかった」


 リオは昨夜のことには触れず、もそもそと朝食を口に運ぶ。

 小さな沈黙の中で、昨日の黒い裂け目や母のことが頭をよぎる。

 まだ現実のようには思えないところがあって、心臓が軽く早鐘を打った。


 そのとき、窓がコン、と軽く音を立てる。

 下を見ると、イリスとユリウスが来ていた。


「二人まで巻き込むのは……」

「彼らも立派な目撃者だ」


 よく見ると、アレンはとっくに準備を終えている。

 リオは深く息を吸って気持ちを切り替えると、急いで身支度を整える。

 アレンが先に窓から飛び降り、リオも続く。


「玄関通りなよ……」


 着地したリオたちに向かってユリウスが呆れたように言うから、リオはむっと眉を寄せる。


「だって、父さんが通ったらさあ」


 また、騒ぎになりかねない。

 イリスが遠い目をする。


「それもそうね……」


 そのまま、四人で一緒に錬環区(アルケイン)へ向かう。


 イリスは、危険だからとアリアを両親に泣く泣く預けたのだとか。

 ユリウス曰く、フィオナ誘拐事件の直後で、学園は警戒態勢。

 学生は学園外へ出ないように言い渡されているらしい。


「いいの?」


 アレンに尋ねると、頷きが返ってくる。


「ヴァルセリオの許可は取った」


 アレンに無茶を言われて、泣きながら調整するヴァルセリオの様子が浮かぶ。

 リオは申し訳なさとともに、そっと手を合わせた。


 *


 錬環区(アルケイン)の大きな研究所にアレンが足を踏み入れ、リオたちも続く。

 中で先に来ていたヴァルセリオと合流する。研究者たちは既に持ち場につき、真剣な空気が張り詰めていた。


 リオが研究所内を歩き回ろうとしたところで、アレンが声をかけてくる。


「リオ、あまり離れないように」


 昨日の黒い裂け目を思い出し、リオは身震いして大人しくアレンの近くに戻る。


 アレン、リオ、イリス、ユリウス、ヴァルセリオの五人で昨日の状況を整理する。


「最早、最近の事件は偶然じゃない、フィオナの件も含め、必然と考えた方がいい」

「明確な悪意を持った敵がいる、ってことだよね」


 アレンが頷く。


「何の予兆もなかった」


 ユリウスが俯いたまま言った。

 アレンも同意する。


「ああ。魔力を感じなかった」


 リオもあの時を思い出す。


「でも、あの嫌な感じ。瘴気だけは感じた」


 リオがそう言うと、イリスが首を傾げた。


「瘴気……フィオナさんを狙ったのかな?」


 視線が集まる。


「だって、フィオナさんって随一の光魔法使いでしょ?敵が瘴気を使うなら、真っ先に警戒されるはず」


 視線が交錯し、沈黙が続く。

 リオは小さく息を吸い、肩をぎゅっと固めた。

 敵が、母を警戒しているなら、まず消すのではないか──そんな考えがリオの頭をよぎる。


 視線をアレンに向けると、静かな答えが返ってくる。


「大丈夫だ。フィオナは生きている」

「なんでわかるの?」

「それは……」


わずかな間があった。


「とにかく、わかるんだ」


 リオはひとまず息を吐く。

 胸の奥のざわめきを押し込み、気合を入れなおした。

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