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アルの還る場所  作者: 無名の記録者
第1章 ヴェルディア学園入学
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第3話 新たな一歩

 講堂は時計塔の中にあり、天井まで届く窓から朝の光が差し込んでいた。

 全校生徒が整然と並び、その視線はすべて演壇へ向けられている。

 木の床が微かに軋む音が、静まり返った空間に響いた。


 学園長が演壇に立ち、新入生に柔らかく微笑みかける。

 白い髭がくしゃりと揺れ、目尻の皺が笑顔をさらに温かく見せた。


「さあ、新入生の皆さん。まずは、この学園にようこそ──」


 右手を軽く挙げ、肩の力を抜くよう促す学園長。


「緊張している顔も見えますね。でも大丈夫ですよ。私も皆さんと同じ気持ちで、ここに立ったのですから」


 小さな笑いが講堂に広がり、空気がふっと柔らかくなる。


「このヴェルディア学園は、今年で創立十三年になります。名前の由来はご存じでしょうか。かつて人類を救った存在、その名をいただき、ここは平和の象徴として築かれたのです」


 演壇をゆっくり歩きながら、右手で軽く円を描く。

 視線は生徒一人ひとりに向けられ、顔には優しい輝きがあった。


「私たちはその意思を受け継ぎ、学問や魔法を学んでいます。皆さんもこの学園で多くのことを吸収し、成長していくでしょう」


 両手を広げ、講堂全体を包み込むように見渡す。

 目が合う生徒には、そっと励ましの笑みを送る。


「どうか臆せず、思いっきり挑戦してください。失敗を恐れる必要はありません。私も、皆さん一人ひとりを応援しています」


 軽やかに一礼して、にっこり笑い、場を和ませた。


「それでは、新しい学びの一歩を、共に踏み出しましょう──」


 壇上の空気がやわらぎ、緊張していた新入生たちの肩の力がふっと抜ける。

 ざわめきが講堂に静かに響き、ちらりと隣を見れば、同じく肩を下ろす新入生の姿があった。


 リオも深く息を吸い、胸の奥に小さな高鳴りを感じた。

 拍手が波のように広がり、温かい空気が体を包む。


 やがて、リオの名前が呼ばれる。

 首席として壇に上がる瞬間、胸の奥が少し高鳴った。


 ゆっくり歩を進め、背筋を伸ばし、胸を軽く張る。

 皆の視線が自分に向けられ、ほんの少しの緊張が指先まで伝わるが、深呼吸で気持ちを落ち着けた。


 壇上で軽く一礼して、声を整え、話し始めた。


「リオです。これからこの学園で、多くを学び、力をつけていきたいと思います。皆さまに恥じないよう、精一杯努力します。どうぞよろしくお願いします」


 自分の声はしっかり届き、言葉の端々から真剣さと意欲が伝わっているのを感じた。

 壇下からは先生たちの穏やかな頷きや、生徒たちの小さな拍手が返ってきた。


 リオは軽く頭を下げ、感謝の気持ちを伝える。

 その瞬間、胸の奥でほんのわずかな誇らしさが湧き上がり、新しい学園生活への期待が膨らむのを感じた。

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