第7話 夜に思索する
リオとユリウスは、ヴァルセリオと一緒に書院区のヴェルディア学園に戻っていた。
「リオ君は、古代語が読めるんですね」
ヴァルセリオに穏やかに問われて、リオは頷く。
「父さんに教わったんです。でも、あまりに当然のように教えてくれたので、驚きました」
リオはため息をつく。
「俺、学園に来るまで、普通に使われてる言語だと思ってたんですよ」
ヴァルセリオが気遣うような目を向けてくる。
「あの人は…相変わらずですね。ズレてるというか……」
「先生もご存知ですか?そうなんですよ、何でもないような顔してとんでもないことをするので、周りは振り回されて大変なんですよ」
「わかります……」
リオとヴァルセリオは、一緒になってしみじみと頷く。
「あれ?どこかで聞いた話だな」
ユリウスは遠い目をし、ほとんど独り言のように呟いた。
*
男子寮の近くまで来て、ヴァルセリオと別れた。
そのまま寮に入り、リオは自室の扉を開け、隣室の扉を開けるユリウスに笑いかける。
「ありがとう、先輩!今日、すごく楽しかった!」
ユリウスはふっと口角を上げる。
「僕も。じゃあね、おやすみ」
「おやすみなさい!」
ユリウスはひらひらと手を振って、部屋の中へ入っていった。
リオも部屋に入って、扉を閉める。
部屋は静まり返っている。
いつものように、魔法を使って一瞬で身を清め、制服を脱ぐ。
ぼふりとベッドに飛び乗り、俯せのまま肘をついて頭を支えながら、思案する。
狩人と聖導教会──人類を守る矛と盾。
その大切な組織の反応を、じっと盗み見ているかのような事件の連鎖。
被害が少なく済んだのは幸いだが、一歩間違えれば大きな事件に発展しかねない。
「本当に、嫌な感じだ」
リオは眉間にしわを寄せ、苛立ちを押し込めた。
一生懸命生きる人々を、まるで嘲笑っているように感じた。




