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アルの還る場所  作者: 無名の記録者
プロローグ
1/38

託されたお願い

 部屋に、小さな子どもがいた。

 淡い夕光が窓から差し込み、影が長く伸びている。

 遊びに夢中になっていると、ひそやかな足音が近づいてきた。


 父がやって来て、いつものように頭を撫でる。


「今日はどんな一日だった?」


 問いかけは穏やかで、空気に溶けるようだった。


 子どもは、見たこと、気づいたことを一生懸命話した。

 微笑んだその人は、ひとつ──頼みごとを口にした。

 それは、子どもには少し難しく、けれど──

 遠くまで届くような響きがあった。


「うん、やってみる」


 子どもは迷わずうなずき、父の手を握り返す。

 その温もりを確かめながら、静かな夜が訪れる。

 子どもは安心した顔のまま、眠りへ沈んでいった。



 ──目が覚めると、部屋はひどく静かで、父の気配がどこにもない。

 理由がわからないまま、子どもは小さな声で父の名を呼び続けた。

 答えはなく、やがて再び眠りへと沈んでいく。


 *


 永遠とも一瞬ともつかぬ時が過ぎたのか。

 ある日、ふと再び目を覚ます。


 父はまだ帰ってこない。

 ただ──あの日の頼みごとを思い出した。


 そばにあったおもちゃを手に取る。

 小さな手が、静寂の中で動き出した。

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