表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】皮肉り令嬢は優雅に返す。  作者: 一ノ瀬和葉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/20

論破王、最終決戦

宮廷の広間は、いつになく重苦しい空気に包まれていた。普段は豪華な祝宴の場として人々が賑わう広間も、今は緊張で張り詰めていた。アローナ・グランツは中央に立ち、陰謀者たちを冷静に見渡す。老伯爵二人と若き野心家の貴族。いずれも経験と権力に自信を持ち、顔には余裕の笑みを浮かべている。しかしその笑みの裏には、微かに焦りが見え隠れしていた。


玉座に座る王の目が、広間全体を覆う静寂を切り裂くように動く。誰もが王の裁定を待っている。その静けさの中で、アローナは深く息をつき、手に握った証拠の書類をゆっくりと広げる。


「皆様、これらをご覧ください」

アローナの声は柔らかく、それでいて一語一語が重みを持って広間に響く。「書簡、財務記録、密談の証言……すべて、王政を私利私欲のために操作しようとした証拠です」


老伯爵の一人が言い訳をする。

「我々は、国のために行動したのだ……!」


アローナは微かに眉を上げ、冷静な声で返す。

「国のため? それならなぜ、すべてを秘密裏に行ったのですか。王国のために、民のためにという言葉で自己正当化を試みる者は多いですが、事実は裏切りと策謀に満ちています」


若い貴族は声を荒げる。

「君ごときが何を知るというのだ!」


「知っています」

アローナは一歩前に出て、書類を順に示す。「私は王都の空気を十年にわたり観察し、王族や民衆の動きを見続けてきました。あなた方の計画は、単なる自己顕示と利己の行為であり、秩序を破壊する愚行に過ぎません」


観衆の視線が陰謀者たちに注がれ、空気は凍りつく。老伯爵の顔は青ざめ、若き貴族は手の震えを抑えられない。


アローナはさらに踏み込み、論を述べる。


「皆様は力と富だけを信じ、他者の信頼や尊敬を軽視しました。真の権力は、人々の心を動かす誠意と正義の上に築かれるものです。陰謀は一時的な成果をもたらすかもしれません。しかし、それは必ず自らの破滅を招きます」


伯爵の一人が額に手をあて、絞り出すように言う。

「しかし……力は必要だ……国を守るためには……」


「力だけでは、真の秩序を維持できません」

アローナは冷静に指摘する。「財務の不正操作、密談の痕跡、政策への不正干渉……これらはすべて、民と国家を欺いた行為です。王国のためなどではなく、自己中心的な利得のために行ったのです」


若き貴族はついに声を荒げる。

「俺たちは……王家を守ろうとしただけだ!」


「守ろうとした? ならば、なぜ秘密裏に操作し、他者を操ろうとしたのですか。真の守護者は、恐怖や陰謀に頼らず、誠意と正当性で民を導きます」


「もうこれ以上話すことはありません。裁定を」


アローナは一歩下がり、書類を整えながら広間を見渡す。陰謀者たちの言い訳は完全に論破されていた。老伯爵たちは目を伏せ、若き貴族は額に汗を滲ませ、言葉が出ない。


玉座の王が静かに立ち上がる。王の声は低く重厚だが、明確に広間に響く。


「リヒャルト、クラウス、フェルディナント。お前ら陰謀者達の行いは、国家を危うくし、民を裏切った。ゆえに裁定を下す」


陰謀者たちは動揺し、顔面蒼白になる。

「ま、待て……王よ!これは……!」

「お、おい、やめろ!」


王は静かに手を挙げ、従者に合図する。

「従者たち、連れて行け。鉱山での強制労働とし、考えを改めよ」


従者たちは一歩ずつ進み、老伯爵二人と若き貴族に手をかける。彼らは無力さを露わにし、足元で石畳の音が響く。アローナは広間の端で静かにその様子を見守った。


陰謀者たちは従者に押されながら、玉座の間を出て、王宮の長い廊下を歩く。老伯爵は何度も言い訳を試みるが、声は震え、無力感に飲まれている。若き貴族は、鉱山送りという現実の重さに押し潰されそうになり、視線を床に落としている。


アローナは微笑みを浮かべ、夜風に髪をなびかせながら静かに告げた。

「さて……次は誰を論破しようかしら」


広間に戻った観衆は、アローナの知恵と冷静さに深く感嘆し、王国に秩序が取り戻されたことに安堵する。陰謀者たちは今後、鉱山で己の過ちと向き合うだろう。


アローナ・グランツの挑戦は一つの区切りを迎えた。しかし、その知略と論理は、まだ次なる戦いの準備を整えている――王都に平和を守り続けるために。

こごで読んでいただき、ありがとうございました。


アローナの論破劇、楽しんでいただけましたか?

これを読んでいるあなたに、「面白かった」「スッキリしたな」と思っていただけたらとても嬉しいです。


さて、次は誰がアローナの知恵に翻弄されるのでしょうか。


ぜひ評価、感想、ブクマなどをいただけると励みになります。


またどこかの物語であなたと再会できますように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ