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落ちこぼれ聖女と転生スライムさん  作者: はにか えむ


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31/35

31.王子様の治療

 それからしばらくして、衛兵団は大規模な人事異動があったらしい。侯爵が関わっているのだろうなとシーアは思った。

 何かと冒険者の邪魔をしていた衛兵団の上層部が入れ代わって、業務が円滑に進むようになったらしい。ギルド長は嬉しそうだった。

 

「シーア、ちょっといいかしら」

 いつも通り仕事をしていると、難しい顔をしたギルド長がシーアの元にやってくる。

「はい、なんですか?」

「こんなものが届いたの」

 それは綺麗な紙だった。シーアはこんな真っ白な紙を見たことが無かった。貴族が使う紙のようだ。

 書かれた文字を読んでみるが、難しい言い回しでよくわからない。

 ただ、文中にシーアと書かれていることだけはわかった。ハニュはシーアの腕の中から紙を覗き込んでいる。紙を見たハニュからは怒りのような、何か考え込んでいるような複雑な感情が伝わって来た。

「要約すると、聖女シーアに第三王子ハリスバリエの治療を依頼するって内容ね。ちなみに王家直々の依頼よ」

 

 シーアはそれを聞いて驚いた。王家には専任の聖女が居るはずである。

 第三王子は幼い頃より心臓が弱く、常に聖女が側に居なければならないというのは有名な話である。

 体が弱いが複数いる王子の中でも最も見目が良く、賢いため国王に溺愛されている。

 アニータが彼の婚約者候補の筆頭だったのは、妻が優秀な聖女であれば何かあった時もすぐに対処できるだろうという国王の気遣いであった。

 

「王家専任の聖女が治せなかったものを私に治せと?」

 シーアは不安だった。断ってもいいのだろうか。治療したとして、もし治せなかったら何か罰せられるのだろうか。

「恐らくは評判の聖女の噂を聞いて、藁にも縋る思いなのでしょうね。というか侯爵が王に話を持っていったのでしょう」

 シーアは眉をしかめる。侯爵はなんて余計なことをしてくれるのか。

「それじゃあこの間侯爵が来たのは私をお城に連れて行くためですか?」

「そうでしょうね」

 

 考えるだけで怖ろしい。お城は平民には敷居が高すぎる。その周辺の富裕層が住んでいる区画にさえ、シーアは先日の誘拐事件で初めて入ったのだ。その時も平民の服装をしたシーア達は浮いていた。

 お城なんて浮くだけでは済まないだろう。

「断ったらダメでしょうか……」

 すっかり気後れしたシーアが呟くと、ギルド長は困ったように言った。

「元々聖女の派遣はやっていないから断っても大丈夫だけど……私も一緒に行くから行ってみない?」

「一緒に行ってくれるんですか?それなら、まあ……」

 シーアはしぶしぶ了承する。ギルド長としては王家に恩を売っておきたかったので、シーアが了承したのは喜ばしいことだ。

 

 ギルド長が帰ったのでシーアはハニュに聞いてみた。

「王子様の病気。治ると思う?」

 ハニュは考え込んだ。心臓病には多くの種類がある。ただ広範囲に治癒の力を使うだけでは治せないのなら、ピンポイントで異常のある部分に力を使わなければならないだろう。それでも治るかは不明だ。

 場合によっては切開する必要があるかもしれないが、外科手術に関する技術が未熟なこの世界では治療の為とはいえ王族の胸を切り裂いたら罰せられるかもしれない。

 そもそも平民が王族に触れても大丈夫なのだろうか?ハニュは疑問だった。

「ぷぴぃ……」

 ハニュが困った声を出すと、シーアもどうしようかと困ってしまう。

 

 

 

 それから三日後、シーアは城に向かうことになった。

 ギルドの治療師の制服を着て、ギルド長と一緒に豪華な馬車に乗る。迎えに来たのはリーバーマン侯爵だった。

「今回の事、治せなくても罰せられることはないのですわよね?」

 シーアが一番心配していたことをギルド長が確認する。侯爵は首を縦に振った。

「もとよりそう簡単に治るとは陛下も思っておられない。今まで多くの聖女が完治に失敗しているのだからな。陛下は万に一つの可能性にかけておられるだけだ」

 それを聞いてシーアはホッとした。少しは気楽に治療にのぞむことができる。

 シーアは緊張をほぐすため足元のリマを撫でる。リマはちょっといつもよりおしゃれして大きなリボンを着けていた。

 

 

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