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落ちこぼれ聖女と転生スライムさん  作者: はにか えむ


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27.おかえりなさい

 シーアは屋敷を立ち去る前に傷ついた狼達を癒した。狼達はリマの言うことをよく聞いたために大人しい。

 侯爵がそんなシーアの様子をじっと見ていたので、スカーレットのメンバー達は警戒してシーアの姿を自分たちの体で隠した。

 すっかり元気になった狼達を、間違いなく森に返すと侯爵が約束してくれたので、シーア達は侯爵が出してくれた馬車で屋敷を後にする。

 

「ぷぴぃ!」

 ハニュはシーアの周りを飛び跳ねている。喜びの感情が伝わって来てシーアも嬉しくなった。

 リンデル達は微笑ましくシーアとハニュを見ている。

「帰ったらご飯にしようね。お腹空いたでしょ?」

「ぷぴぃ!」

 ご飯と聞いてハニュの速度が上がった。よっぽどお腹が空いていたのだろう。

 リマもシーアの足に体をこすり付けながら上機嫌だ。

 

 ギルドに戻ると、ギルド長が待っていた。

「ずいぶん遅かったわね。心配していたのよ」

 冒険者達はギルド長に口々に訴えた。衛兵の詰め所で散々な目に遭ったと。

「あらまあ、そう……。そろそろこの国からの撤退を仄めかす時かしら」

 シーアはぎょっとした。国からの撤退を仄めかすのはいささか大事になりすぎないだろうかと。

 リンデルはシーアの頭を撫でて大丈夫だと笑う。

「脅しだよ。これ以上協定を守らないとそうなるってことさ」

 ギルド長は明らかに怒っていた。恐らくブチギレている。

「あら、私は本当に撤退してもいいと思ってるわ」

 冒険者達は苦笑いだ。早速国に訴えてくると、ギルド長は出て行ってしまった。

 

 ギルドに併設された食堂の料理長が、シーアを呼ぶ。

 テーブルにはご馳走が並んでいた。

「ぷぴぃ!」

「よう、ハニュ。無事でよかったよ。祝いだ。たんと食べな」

 ハニュが目をキラキラさせて料理を見つめる。

「ありがとうございます、料理長」

 シーアがお礼を言うと、他の冒険者達も席に座った。シーアに付き添ってくれた冒険者達全員分、ギルド長のおごりだそうだ。戻ってきたらお礼を言おうと、シーアは料理に齧り付く。

 リマも大きなお肉をもらってご機嫌だ。

 

 食事もひと段落した時、シーアはゴードンに聞いた。

「アニータ様はどうなるんでしょうか?」

 ゴードンは少し眉を顰める。すぐに元に戻すと、シーアに言った。

「侯爵に絶縁されたってことは平民になったってことだ。罪状は従魔の誘拐に危険な魔物の違法飼育。だが平民とはいえ貴重な聖女だから、科せられるのは確実に労働刑だろうな。最も聖女が足りていないと言われる北の軍に犯罪奴隷として送られると思うぞ」

 犯罪奴隷の仕事は多岐にわたるが、ゴードンはシーアに詳細を知らせなかった。子供の聞く話ではないと思ったからだ。

「まあ聖女だから、犯罪奴隷とはいえ怪我人の治療が主な仕事になるだろうな」

 シーアはあまり重い刑にならないと聞いてホッとした。治療が主な仕事なら、教会での仕事と大差ないだろうと勘違いしていた。

 実際は聖女としての仕事に奴隷としての仕事も追加されるので過酷なのだが、誰もシーアに詳しく説明はしない。

 

 シーアはアニータをあっさり切り捨てた侯爵を見て、アニータに同情していた。確かにやったことは許せないが、それにしても侯爵のやりようは酷いのではないかと思っていた。

 孤児院とはいえ家族の絆が強い場所で育ったシーアの目には、侯爵は冷酷に映ったのだ。

「ぷぴぃ!」

 少し暗い気持ちになったシーアをハニュが慰める。その口の周りにはソースがたくさん付いていてシーアは笑ってしまった。大好きなスペアリブをたくさん食べたのだろう。口の周りを拭いてやると油でギトギトだった。

 シーアにとってはハニュもリマも大切な家族だ。人から家族を奪おうとして自分の家族を失ったアニータは、今何を思っているのだろうか。

 

「シーアちゃん。今日はギルド長が休日でいいって言ってたろう。一緒に街に出ないか?街の人達も心配しているだろうし」

 リンデルに言われてシーアは確かにと思う。今日は街を騒がせてしまった。

「ハニュ。リマ。みんなに元気な顔を見せに行こうね」

 街の人気者な二匹は嬉しそうに了承する。シーアは二匹が帰って来て本当に良かったと改めて思った。

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