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落ちこぼれ聖女と転生スライムさん  作者: はにか えむ


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23.捕らわれの従魔達

 シーアの従魔を攫ってくるように命じたアニータはご機嫌だった。これでハリスバリエ殿下の婚約者の座を取り戻せると、ワインを空ける。

 溜まった鬱憤も相まって三本ほど瓶を空にすると、いい気分で眠った。

 

 翌日昼過ぎに起きたアニータは、シーアの従魔を捕まえたという報告を聞いて笑いが止まらなかった。

 早速会いに行くと、檻に入ったリマとガラスの水槽に入ったハニュが居た。

「そうだわ、こいつらよ。ついに私の従魔になるのね。楽しみだわ」

 アニータは必死に威嚇してくるリマを見て顔をしかめた。

「これからあなた達の主人になる私になんて態度なの。これだから獣は嫌なのよ」

 アニータはリマの入った檻を蹴る。それでも威嚇を止めないリマに、アニータは鞭を取り出そうとした。

「ぷぴぃ!」

 ハニュが鳴くと、リマは威嚇をやめた。アニータはそれでいいのと満足そうに笑って、宝物庫に向かう。

「早くあの忌々しい女との従魔契約を解除してしまいましょう」

 宝物庫にあるアーティファクトは国宝級の代物だ。どんな魔法でも解除することができる。世界でもこのアーティファクトを所持する国は少ない。それを所持することを王家に許されているリーバーマン家は、代々王家の懐刀としてその名声を高めてきた。

 アニータは知らない。そのアーティファクトは王家に無断で使用すると罪に問われる。あくまで国宝であり、リーバーマン家は管理を任されているだけなのだ。

 

 アニータは足早に廊下を歩いていた。すると廊下の先に母の姿を見た。

「ああ、アニータ!あなたが北の軍に配属になるなんて、どうしたことなの」

 向こうから、アニータの母が駆けてくる。アニータを抱きしめると、父にアニータの部屋に行くことを禁止されたから心配していたのだと切々と訴えだした。

 アニータは母には見捨てられたわけではないと知ってほっとした。母を安心させるために優しく微笑む。

「心配しないで、お母様。すぐに名誉を回復するわ。絶対にハリスバリエ殿下の婚約者に返り咲いてみせるんだから!」

 泣きしきる母を抱きしめて宣言する。父に命令されていたのだろう、使用人が母とアニータを引き離すと母を連れて行く。

 アニータは泣きながら去ってゆく母に、微笑みをうかべながら淑女の礼をする。

 早く宝物庫に行って従魔契約を解除しなくては。母を安心させてあげたいと、アニータは駆け出した。

 

 宝物庫に着くと、見張りの兵士に鍵を開けるように要求する。

「宝物庫へは侯爵様以外立ち入りを禁止されております。お戻りください」

 兵士に行く手を阻まれたアニータは、不愉快そうに言い放つ。

「私はアニータ・リーバーマンよ。侯爵の娘である私が入れない道理はないわ」

「侯爵以外立ち入ることはできません。お戻りください」

 アニータが何を言っても、警備の兵はその一点張りだった。

「いいから鍵を寄こしなさい」

「鍵は侯爵様がお持ちです。私では開けられません。侯爵様に許可を頂いてからにしてください」

 アニータは舌打ちをした。仕方がなく父の帰りを待つことにする。外泊が多い父は今日は帰ってくるだろうかと、ため息をついた。

 しかし、多少遅くなったところで大丈夫だろう。父もアニータの計画を聞けば賛成してくれるはず。そう、アニータは思っていた。

 アニータは、自分が正しいと信じて疑っていなかった。アニータにとって従魔は一山いくらの価値もない畜生だ。人の従魔に手を出すことは犯罪だという事すら理解していないのだった。

 

 捕らえた従魔達の居た部屋に戻ると、アニータは顔色を変えた。捕らえた従魔達が居なくなっていたのだ。

 ハニュとリマは、いつの間にやら抜け出していた。

 檻の側には檻の鍵が落ちている。アニータはきっと使用人の誰かが逃がしたのだと思った。

 急いで使用人達を広間に集めると、従魔を捕まえるように命令する。そして見つけられなかったら全員クビにすると宣言した。

 もちろんアニータにそんな権限などありはしない。しかし使用人達はアニータが従魔にするために、連日魔物に鞭を打っていることを知っていた。それはあまりにも常軌を逸した行動だったため、使用人達はアニータを恐れていたのだ。

 かくしてリーバーマン侯爵邸では、使用人達が必死に魔物の捜索をすることになったのだった。

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