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1.最果てのモノガタリ
星のない夜。
静まりかえった暗い森の中で淡く光る泉の畔。
腰に穿いていた剣をぬらりとその鞘から抜き放ち、こちらに背を向けたまま佇む彼の人物のもとに
私は今度こそ辿り着く事ができるだろうか…
── 何度手を伸ばしたか
── 何度声の限り叫んだか
これは願いのモノガタリ。
これは祈りのモノガタリ。
叫びも
慟哭も
怒りも
後悔も
全てはあの目も眩むような光の奔流に溶け消え、輪廻というものは今日も何事もなかったかの如く無慈悲に廻っていく。
そこにあった筈の想いも全て呑み込んで…