第十七話 イーサンvs爆裂野郎①
※追記 2023/5/9
フェニックスの使う魔法の名称を変更しました。
俺は機関銃を構え、フェニックスは戦斧を構えた。
構えるのと同時に、俺はフェニックスへと即座に弾丸を放つ。
術式が織り込まれた、魔力を帯びる弾丸。一発一発が高価な逸品だ。
その高価な逸品が一秒間に十数発と、烈火の如くフェニックスに迫る。直撃する寸前――
「爆!!」
弾丸は空中で起きた爆発により進路を変え、城壁へと当たった。
臆することなく撃ち続けるが、魔法陣が生成され、小さな爆発を連続で起こり弾丸は爆風によって逸らされた。
カチッ、カチッと虚しく弾切れの合図の音が鳴る。
この男......強い。
脳筋のような見た目に反して、魔力の操作は緻密かつ
銃弾はダメだな。仮に運よく数発当たったとしても、あの黄金の鎧を数発で貫通することは厳しいか。
なら――
空間魔法で創造空間から一本のナイフを取り出す。
名匠によって鍛えあげられた、純オリハルコン製のナイフ。付与魔法で【殺傷能力強化】【威力補正】の魔法が付与されており、俺の今持っている武器の中で二番目に強いものだ。
「空間移動!」
一瞬でフェニックスの後ろ頭上に移動する。
視覚外からの攻撃、首元へと勢いよく振るったナイフは――――戦斧によって受け止められた。
カキィンッと、金属と金属が共鳴する。
「!」
「ぬううぅぅぅん!!!」
フェニックスは後ろの空中にいる俺に対し、身体を捻りながら野球選手がバットを振るように、戦斧を斬り上げる。
風の音ともに、戦斧が高速で目の前に迫る
瞬時に頭を下げ、前髪を数本斬られたが失明は免れた
着地し、床を蹴って後ろに下がり、フェニックスから距離を取る。
フェニックスを見ると、興味深そうな表情を浮かべていた。
「ほほぉ~、空間魔法か!!なるほどな、噂で聞いた「魔導士を一気に100人以上殺害した」だの「北の勇者に勝った」というのは、尾ひれがついた出鱈目な話じゃなさそうだな!!」
「どうやって、避けた? 」
「ガハハハッ!!感知魔法よ!!どこに移動しようと、我は常に貴様を捉えているぞ!!」
感知魔法か......俺の空間魔法と相性最悪だな。ツイテないぜ。
空間移動で後ろを取ってから、不意打ちは駄目だな。
「さて次は我の番だな!!爆――」
「!!」
直径2mほどの魔法陣が床に生成される。
すぐさまに空間転移で、生成された魔法陣から離れた場所に転移し、古びた長椅子を持ち盾代わりにする
「烈!!!!」
大広間に轟音が鳴り響き、熱波と衝撃波が襲ってくる。
近くにあった四脚の古びた長椅子は爆風により、砕け散りながら四方八方へ飛来する。
砕け散った長椅子の破片が、頬をかすった。
「続けていくぞ!!!」
またしても床に魔法陣が生成され、カッという閃光を放つ。
空間転移で移動するが――
「無駄よ!!」
移動した床に魔法陣が生成される!
くそったれが!!
転移、転移、転移、転移、転移!、転移!!、転移!!!、転移!!!!
「爆裂!!爆裂!!爆裂!!爆裂!!爆裂!!爆裂!!爆裂!!爆裂!!」
空間転移し、爆裂魔法を避けるためにまた転移する。
大広間の石板にはヒビが入り、窓ガラスは木片と衝撃波によって割れてしまっている。
床のあちこちは赤黒く焼けただれており、転移する場所が一秒毎に減っていっている。
創造空間からスタングレネードや魔導閃光手榴弾を取り出し、視覚外から投げて反撃を試みているが、それも察知され作動する前に壊される。
くそっ!!このままじゃ負ける!
魔力量は完全にフェニックスが格上、先に魔力切れが起こるのは俺だ。
いたちごっこになっているが、大量の魔力の消費による反動、爆発による熱風と衝撃波によるダメージ、限界だ。制限時間は残り僅か。
どうする?奴を倒すには?
空間転移でフェニックスを掴んで、フェニックスごと上空へ空間転移して叩き落とすか?
いや、仮に上空へ空間転移することが出来ても、逃げる前に爆発魔法で致命傷だ。
フェニックスの爆発魔法の発動までの時間は.7秒から.8秒。空間転移の発動直前にドカンだ。
どうする?奴を倒すには?
フェニックスを倒すには、奴が認識できない程の速攻が必要だ。それもあの黄金の鎧を貫く程、威力のある攻撃。
「すばしっこい。なら? 避けられぬようにするまでよ!!」
床は一瞬で魔法陣に覆われた!
数えきれない程の魔法陣が、爆裂をせんと閃光を放つ。
「空間転移!なっ!? 」
「逃げられはせんわ!!」
天井近くへと空間転移するが、空中にも無数の魔法陣が生成される。
すでにそれらの魔法陣からは、閃光が漏れ出していた
空間魔法から防御用の球体状の魔導具を取り出す。
即席のバリアだ。スイッチを即行で押す。
頼む、耐えてくれ!!
眩い閃光が全身を包み込むーー
【最強の死神と黒猫の救世譚】を読んでいただきありがとうございます!
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