上善如水
早足で歩くには少し肌寒くなってきた今日この頃。
一杯のビールと二合の日本酒を美味しい食事で流し込んだ帰り道。
徒歩数分の家路。
帰り着いた光に照らされた入り口で鍵が『ない!ない!』と焦りを心の中だけで思い、『職場に忘れた!?』と思いつつ、後ろのポケットから鍵が見つかる。毎回の事だ。
鍵を差し込み自動で開く扉。
三階まで自動で運んでくれる馬車に乗り、『thank you』と表示された扉のノブを降ろす。
当然、開くわけもない。
鍵を差し込み真っ暗な部屋を見て『そりゃそうよね。』と一人、呟く。
「皆さん、そろそろ、ミーティングしてもいいですか?」
「あっ!はい!」「はーい!」「はい。」
掛け声に応じて数人。。。といっても3人の老若男女が私の近くに集まる。
「では、ミーティングを始めますね。」
こんな感じで私の仕事らしい仕事が始まる。
私は山崎香織。37歳。職業は放課後等デイサービスで管理者兼責任者として働いている。放課後等デイサービスとは所謂、障がいと呼ばれる特性を持った児童を放課後に療育という名のもと預かっている場所だ。放課後に特性を持ったお子さんを預かる保育園の小、中、高校生版と言えばわかりやすいだろうか。
私はそこの雇われ店長のようなものだ。
「本日の利用は6名です。活動は~」
定型文のように司会進行を行う。
まぁ、この仕事に関しては次世代機器の検索エンジンで調べてもらう方が早く理解して頂けるかと思う。
まぁ~まだ如何せん、マイナーな職業ではある。
というか、これは私の仕事の話をしたいわけではない。寧ろ、仕事のことを忘れて華やかな恋愛の話でもしてみよう!という物語である。