第100回記念 雑談回 記憶に残る小説
前置き
この文章は素人底辺作家のおっさんである俺が感受性が豊かだった頃に自分が楽しんだ物語を振り返りながら簡単にご紹介するものです。今回は主に小説を扱ってます。文学作品とかではないです。残念ながら俺は感受性の豊かな時期に、俺は文学作品なんか読まないぞ、という決意をうっかりしてしまったもんですから。
では、ご興味をお持ちになったらどうぞ。
印象に強く残っている作者やタイトルを挙げてそれについて少し話していくていうスタイルでいくよん。じゃ、始めるよ。
1、「蜘蛛の糸」 芥川龍之介
男の子って小さいときに蟻を踏みつけたりとか昆虫にたいして残酷なことをすることがあると思うんだけど俺はこの作品の影響で虫を踏み潰すとかが苦手になったよ。たとえ地獄に落ちても仏さまから糸を垂らしてもらうんだって間違って蟻を踏まないように地面を見ながら歩くようになったくらいだから相当影響を受けたと思う。
自分もいつか死ぬってこを考えるようになった作品。俺、当時小学校にも上がってなかったと思うけどどこかで紙芝居だか読み聞かせだか見せられてかなり強く記憶に残っている。
きっと「他者を傷つけなければ自分は救われる」という俺の勝手な思い込みが産み出された要因のひとつだと感じてるよ。成長してく段階でそんなわきゃないってことには気がついたけどね。
現在でもメンタルが弱ってくると頭の中で他者を傷つけていない証拠をあげつらって俺にはなんらかの救いがあるはずだ、あるいは、「救いがなきゃ・・・・・・ 嘘だぜっ!」とかって自分に言い聞かせつつも「ま、そんなわきゃないわな」と思ってる。
コウジはレベルがあがった!
諦観が1増えたっ!
なんつって、はぁ。悲しいけれどおじさんなのよね、感受性が減ったというか目が肥えたというか、なんちゅうか、ほん・・・・・・・・
wont you!(ウォンチュッ)
ってことでテンションあげて次いってみよっか。
2、絵本「おしいれのぼうけん」ふるたたるひ
困難に立ち向かわなくちゃいけないときに今でも時々思い返す作品。保育園で押し入れに押し込められた二人の男児が不思議な冒険をするっていう話。恐怖に立ち向かうために二人の男児が協力する様が勇気をくれる。
3、タイトル作者不明なんだけど、赤ちゃんが重機を運転して旅をする話と気球で空に旅立つ男の話
周囲の目を気にせず冒険に出ようという勇気が欲しいなってときに思い出す。
4、清水義範
ハマッてよく読んだのは若い頃で細かな内容はほとんど忘れちゃってるんだけどさ。青年の成長譚や社会風刺、文系の人に科学を解説するなど幅広い内容でしかも文体が軽めだから読みやすかった。
当時はその娯楽作品って感じに救われていた気がするよ。
そういったことを思い出してからは読者さんが楽しめるものを書こうという意識が強くなったよ。ただ、現在の俺は自分が何を書きたいかがわかんなくなってきちゃってもいるんだけどね。
ちょっと内容うろ覚えなんだけどさ。
もし、おすすめのタイトルを挙げるとするなら
青春譚なら「学問ノススメ」
冒険活劇なら「虚構市立不条理中学校」
文学っぽいのなら「迷宮」「蛙男」
かなぁ。
俺には文学がいまいちわかんないから文学といっていいかわかんないけど。
5、星新一
日常生活の中で思い込みに気をつけようっていうことを意識したいときに「未来いそっぷ」という短編集の作品を思い出すよ。
訂正
未来いそっぷじゃなくてかぼちゃの馬車ってタイトルだったかも。
ごめんなさい
訂正終わり
どれも思い込みにとらわれた人々の悲劇でさ。思い込みの影響を切れ味鋭く味あわせてくれる。思い込みがいい方に転がる場合もあるんだけどね。
で、あと逆に星新一の作品で俺の思い込みを打ち砕いてくれた短編があってさ。タイトルや収録している本はわかんないんだけど、うまいこと悪魔を騙してやり込めた男とその男の真似をしようとした男の話と拾った鍵に合う鍵穴を探し続ける男の話。
6、赤川次郎
たしかね「死者の学園祭」という作品だったと思うんだけどさ。違うかな。自信ねえな。まあとにかく冒頭の一文がすごく印象的でいまでも覚えてるんだよね。そのまま引用はやったらサイト的にマズそうだから内容だけにとどめるけどこんな感じ。
授業中にあくびをしている生徒がいたら教師はその生徒をほめてやらねばならない。
たしか10才かそこらで読んだんだけどその価値観の反転に感心と自分の頭で考えること自由さを感じて嬉しかったのを覚えてるよ。
7、鳴海章
俺はね、この作者の本を読んで生まれて初めて拳を振り上げながら読書をするっていう体験をしたよ。
いつものように「俺を救ってくれる物語よ、あってくれ」って願うような気持ちでいつものように本屋の中でぶらぶらしてたらさ、見かけた小説の帯にね、「鬱屈したサラリーマンに告ぐ」みたいなキャッチコピーがあったのよ。飛びついちゃった。
まあ、ほら、俺、鬱屈したサラリーマンじゃん?
って、知らないか。ま、それはさておき。
主人公に共感しまくりの感情移入しまくりでした。
あとね、俺、文章を書くときにわりと短めでリズミカルに読めるように心がけてるんだけどさ。
鳴海章の文体もそんな感じだから、文体の好みが近いんだろうね。
意識して真似しようとはしてないんだけどある日ふと文体が似てるかもって思ったことはあったよ。
俺の印象に残ってるタイトル挙げとくね
「狼の血」
鬱屈したサラリーマンがひょんなことから拳銃を手に入れたことで本能が剥き出しにされてって物語
「俺は鰯」
鬱屈したサラリーマンが芸術的価値の高い陶芸品の争奪戦に巻き込まれたことで本能が剥き出しにされてって物語
「痩蛙」
鬱屈したサラリーマンがプロボクサーとして生きようとして本能を剥き出しにしてって物語
「風花」
鬱屈したサラリーマンが酒の勢いで知り合った女と旅に出ることになって本能を剥き出しにしてって物語
「撃つ」
鬱屈したサラリーマンがロシアと日本の戦争に巻き込まれてって本能を剥き出しにしてって物語
はい、鬱屈したサラリーマンの五段階活用ですね。
だいすき。
はい、ということでですね
俺はこんな物語をかけばいいんじゃね? という結論でました。
はい、こちらその物語
どーん。
清水義範のように読者さんが軽く読めるようにこころがけ
星新一のように思い込みの影響について読者さんに警鐘を鳴らし
赤川次郎のように読者さんに別角度からの視点を与える
鬱屈したサラリーマンの本能が剥き出される物語
よし、これだ!
NO鬱屈 NOおっさん
YES本能 YES剥き出し
ってことで、まったねー。
さぁて、次回も鬱屈、鬱屈。
おっと違った、さぁて次回も本能剥き出しっ!