序章
初投稿です。
暇だったら読んでみてね
アダルトチルドレンをテーマにしてみました
絶望した。間違いなく俺の親は血の繋がった本当の生みの親だ。寺井悠太郎は両親が留守にしている間、こっそりと箪笥に閉まってある戸籍謄本を見たのだ。
俺の父はいつも自分の思い通りのことだけを望んだ。だから、テストの順位が悪い時とか、気にくわない事があった時とか、そんな時はいつも罵られた。心が擦り切れるぐらいに。それを見たり聞いたりしている母は、見て見ぬ振りをするくせに、父がいない時は父の悪口を俺に聞かせ、酒を飲んで泣き狂う。
こんな家に17年間、よく自分はヤンキーとか、そっち方面にグレなかったなあなんて思ったりもするが、寧ろグレてたほうが楽だったのかもしれない。
戸籍謄本を見たのは、もしかしたらあいつらは本当は自分の親ではないかもしれない、という微かな望みに縋っていたのだ。本当の親はきっと別のところにいると。だが、そこに記されていたのは俺とあいつらが血縁関係にあること。分かってはいた現実が重くのし掛かる。
ああ、死にたいなあ・・・なんて思った瞬間に、電話が鳴り響いた。セールスか宗教勧誘か、などと思い、無視を決め込もうとしたが、どうせやる事もしたい事もないし、出てやるかと、受話器をとる。そこから発せられたのは、両親が交通事故で危篤状態であるから病院にきてほしい、という内容だった。