王子、魔法使いと会う。
雪に悪戦苦闘しながらも、王子達は、ようやく竜の首を抜けた。
戦士たちが、安堵のため息を漏らす。
王子も、肩の力が抜けた。
『もう、竜の頚はこりごりです。
帰りは、竜にでも乗って帰りたい』
戦士たちが言う。
それを、一番の戦士が制した。
『お前たち、どこから竜を呼ぶのだ?
魔法も使えないのに』
そう言われ、戦士たちは首をすくめた。
北の土地の入り口には、火を吹く山がある。
今日は、煙しか見えないが
火を吹くと、城下町からでも、赤い火が見える。
王子達は、北の土地へ入った。
木々がには、つたがからまり
足元には、朽ちた木々が横たわり、苔が生えている。
どこからか、鳥か獣のような鳴き声。
霧で、数メートル先は見えない。
城の近くの森とは違い
侵入者を拒むような雰囲気がある。
『気味が悪いなあ』
『でも、魔法使いがいそうじゃないか?』
戦士たちが、森の不気味さを話していると、どこからか声がした。
『修行者か?
ここまで、よくたどり着いた。
しかし、不気味なら帰れ』
王子や、戦士が辺りをキョロキョロすると
霧の中から、老人が現れた。
老人は、王子に目を止めると
『これはこれは、王子様ではありませんか』
と、ひざまづいた。
『この方が王子と知っているのか?』
一番の戦士が問うと、老人は言った。
『分かります。王子様の気をまとっていらっしゃいますし、私にも、少しではありますが魔力がありますので』
『おお、魔法使い殿であったか。
奇跡の出逢いとは、このような事を言うのだな』
王子は喜んでいる。
『では、私の住まいに案内しましょう。
王子様には、汚くて申し訳ないのですが』
老人は、そう言い終ると、呪文を唱えた。
ヒュン…と、風を切る音がしたかと思ったら
次の瞬間には、古い城の前に立っていた。
…………
『なかなか進まないね』
サヤは、竜の首の中程で、吹雪にあっていた。
上も下もまっ白。
『サヤ、これで2日目じゃ。
運も、魔法の才能じゃ。
サヤには、無いようじゃな』
老師が言った。
『えっ?』
サヤは、老師の言葉を、すぐには理解できなかった。
しかし、自分ひとりでは、竜の首を進めない。
サヤは、老師に従う事にした。
『山の向こうの町で、母さんや兄さんに土産を買おう。
珍しい花や野菜の種や、本もあるぞ』
『はい』
女の子で、竜の首の半分まで来たのは、自分だけかもしれない。
サヤは、そう思い、ここまで連れてきてくれた老師に感謝していた。