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プロローグ
…プロローグ…
『王様、お妃様、行ってまいります』
国王と妃のまえで、膝まづく少年。
少年は、13歳。
この国では、男子は13歳になると旅に出る。
魔法の修行の為だ。
旅に出て、自分を弟子にしてくれる魔法使いを探し、修行し、15歳になるのを待つ。
『王子に龍運がある事を祈る』
王が言う。
お妃も
『良い魔法使いに会えますように』と続ける。
王と妃の横に立っていた貴婦人は、冷たい笑顔で微笑んでいた。
王子は、一通りの挨拶を済ませると、貴婦人と共に、謁見の間を出ていった。
その瞬間、妃の目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。
王は、お妃を抱きしめて言った。
『大丈夫。大魔法使いが言っていたのを忘れた訳ではあるまい』
お妃は、涙を拭き、王に頷いた。