アカツキと初戦闘
風の音が響く。
広大なフィールドの中で立つのは一人の男。
今日はとあるゲームの開始日で、その男は予告されていたゲームの不遇職をあえて選択していた。
ゲームの名はファンタジーオンライン。
各プレイヤーは始める前に職種を選びそこから成長転職を繰り返し、最終目的である魔王を倒す事でクリアとなるゲームだ。なお、クリアとしても、物語は続くらしくこのゲームは開始日前より期待されていた。
現在の時刻は0:05、開始時刻は0:00だから始まってからまだ五分しか経過していない。
その男は初めて転移してきた村から3分ほど離れた草原に来ていた。リアルタイム表示のため、まだ、草原は暗闇に覆われている。
しかも、噂では夜になると敵が強くなるらしい。なので、ネットでは昼になってから始めると宣言しているやつが大勢いた。
このゲームではデスペナルティが重く、死んでから一日レベルは上がらず、アイテムもドロップしないらしく、死んだら無駄なので昼から進めた方が安定と考えるやつが大勢いるのだろう。
夜の草原は風がリアルのようにふきあれて、髪を靡かせている。
その男の名はアカツキ、職業は情報屋だ。
情報屋は不遇職とゲーム開始前から言われていたが、アカツキは目をつけていた。
ステータスとしてはこんな感じだ、
名前 アカツキ
職業 情報屋
職業レベル1
レベル1
スキル
罠作りレベル1
落とし穴
記録レベル1
称号
知る者
効果特になし。
情報屋だが、罠作りを持っているのは何故かと問いたいが、運営が優しさでスキルを追加してくれているのだろう。
このままではレベルすら上がらないからな。装備は槍だが、職業が職業なので、心もとない。
アカツキは早速罠を作り始める。
なんで罠を作ってるのかって? そりゃ魔物を狩るからにきまっている。
夜は敵のレベルが高くなるため罠で仕留めるのだ。
落とし穴を作りそして、岩場に隠れ魔物が来るのを待つ。
待つこと30分、現在時刻は1時20分。
まだ夜は明けそうもなく、じっと落とし穴に魔物がはまるのを待つ。
足音が聞こえる。見えたのは醜く太ったオークだ。オークは落とし穴の方へ徐々に近づき、そして、罠にはまった。
「よし!」
流石に落とし穴だけでは倒せなかったらしく、槍で頭を数回刺してオークは消滅する。
レベルアップしました。
レベルアップしました。
レベルアップしました。
レベルアップしました。
レベルアップしました。
レベルアップしました。
レベルアップしました……。
罠作りのスキルレベルが上がりました。
罠作りのスキルレベルがあがりました。
罠作りについてのスキルの種類が増えました。
槍使いのスキルを入手しました。
槍使いのスキルレベルがあがりました。
スキル、暗視を手に入れました。
称号闇に生きる者を手に入れました。
初めてオークの変異種を倒したので、オークの変異種についての情報を手に入れました。
情報屋の職業レベルがあがりました。
……なんじゃこれ。
名前 アカツキ
職業 情報屋
職業レベル2
レベル25
スキル
罠作りレベル3
落とし穴
痺れ罠
記録レベル1
暗視レベル1
称号
知る者
効果特になし。
闇に生きる者
効果 夜の間ステータスアップ
21時~7時
敵を一体倒しただけで、レベル25……。
しかも、スキルもなんか手に入れてるし。
闇に生きる者か、称号にも効果があるのか。
とりあえず、倒した魔物について見てみるか
名前 ナイトオーク
種族 オーク変異種
レベル58
スキル暗視レベル3
称号闇に生きる者
21時~7時
オークの変異種で、夜だけしか現れない。
夜中に現れる魔物としては、低ランクであり、ありふれた魔物である。HPが低く、攻撃力、素早さがとても高いため、夜中の戦闘では逃げることは出来ずただただ狩られるのみである。
……。なんじゃこれ、最初の村で58レベ……。しかも夜中の魔物では低ランク。
アカツキは少しだが恐怖した。これで低ランクならば他にどんな奴がいるのかと……。
だけど、楽しみだねどんな奴がいるのか。
アカツキは少しの恐怖とかなりの興奮で胸がいっぱいだった。
そして、狩りを再び開始する。
現在の時刻は4:37である。約3時間狩りを続けた結果がこれだ。
名前 アカツキ
職業 探偵(二次職)
職業レベル4
レベル59
スキル
罠作りレベル8
落とし穴
痺れ罠
毒罠
爆発罠
幻覚罠
空中トラップ
トラバサミ
記録レベル5
暗視レベル6
遠視レベル3
鑑定レベル4
偽装レベル3
闇魔法レベル4
縮地レベル1
称号
知る者
効果特になし。
闇に生きる者
取得条件 夜で戦闘を行い勝つこと。敵は魔物であること。
効果 夜の間ステータスアップ
21時~7時
称号闇を制する者
取得条件三時間以上夜で外にいること。かつ、5体以上魔物を倒すこと。
効果 夜で行う戦闘での経験値取得率を1.5倍に、ドロップ率を1.5倍に、素早さを1.5倍にする。
開始5時間も経ってないのにこれだよおい。
とりあえず死んだら元も子もないので、村へと移動を開始する。
あれはなんだ?
村へ向かう途中、何やら魔物が一体いた。オークよりは大きく特徴的な角があり、オークと比べ物にならないほど威圧感を放っている。
鑑定するしかないな。鑑定!
新たな魔物の情報をてにいれました。
名前 レジェンド ホーン
種族 ????
レベル???
スキル???
称号???
なっ、……。
鑑定のスキルは自分より強ければ強いほどに見えなくなっていく、さらに鑑定レベルによってレベルは+10はされるので、レジェンド ホーンのレベルは最低でも100はあるという事だ。
多分100よりさらに、200でも足りないんじゃないか的な雰囲気を醸し出している。
これはまずいと思い、岩場に隠れて、やり過ごそうとしたが、2時間立ってもなかなか張り付いて動かなかった。
現在の時刻は6:54、あとすこしで7時になる。
リアルタイムなので、村へすぐさま向かい、ログアウトして、仕事に行きたい。
寝てないが致し方がない、昼休みにでも寝よう。
現在の時刻は6:59、まじでやばい。あの魔物動かないし動く気配すらない。
ログアウトは安全圏か、死なないと出来ないため、村へと行かなければならないのだ。
焦る俺は魔物を見ると異変が起こっていた。
体が薄まり始めたのだ。
「消えているのか……。」
現在の時刻は7:00、なので、7時になると消えるということだろうか。
貴重な情報なのでメモをして、村へと急ぐ。いつか、倒すことを思って仕事へ向かった。