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必然

(馬鹿なありえない、相手はたった一人だぞ。)


(しかも、装備も並以下、レベルだって50もいってない。スキルだって……。なのに、あのルールすら度外視した動きは何? 先読みされてるの? ありえないのに、1人なのに千人相手に何時間も。)


「だったら今度は、最音波(サイオンハ)


フィールドにスキル特有の高音が鳴り響く。




スキルゲージをMAXから0にして、放つ必殺技なら倒せるでしょ!


……ふっ。


なっ。


(避けたの!? あの見えない攻撃を。それに笑って……。舐めないで!)


女のプレイヤーのスキルゲージが再度MAXになる。


(今度こそ、いける!)


太陽反射光(ソーラレーザー)


ソーラレーザーはフィールド範囲全てにわたる。味方すら範囲にいれているが、ゲームの判定でダメージは相手にだけ与えられる。さらに、ソーラレーザーは相手のHPを固定で75%減らすスキル。現在相手のHPは半分まで落ち込んでいる。


(勝った!)


ウィーン。空から風きり音と共に光の刃が飛来し全フィールドを切り刻んでいく。


……。


スキルが終わったあとは、何も音がない。だが、Winという文字が出ることは無かった。


……なぜ。


………………から手紙を受信しました。


???


突然メッセージバーに入ったそのメッセージを読むことが出来なかった。


戦い中にも関わらずステータスバーを開き、送られてきた手紙を開く。


暇つぶしは終わりだ。じゃあさいなら。


クッ。暇つぶし。


メッセージはどうやら敵から送られてきたらしい。だが、敵の姿は見えない。


いきなり風きり音が聞こえる。どうやら敵太陽反射光(ソーラレーザー)を放ってきたらしい。


私のHPは100%だから残りは25%まだいける!


そう思っていた。


メッセージバーにとあるメッセージが来るまでは。


デュアルスキルが発動されました。


え、え、……なんで。


またもう一度太陽反射光(ソーラレーザー)が降り注ぎ、全プレイヤーはHPが無くなったことによりフィールドから消滅する。


最後に見たのは相手プレイヤーが少し笑った姿だった。


ヴァーチャルファイトMMORPG。通称ファイティングスタジアム。そう呼ばれたゲームは人対人、人対NPC対戦、そして、RPGの要素を兼ね備えた世界一人気なゲームだ。


そして、デュアルスキルはこのゲームにおいては反則級の代物である。


なぜなら、条件が揃えば同じ呪文を二度打てるからだ。

それこそ太陽反射光(ソーラレーザー)を打てたら確実に勝てるだろう。だが、条件はとても難しい。


太陽反射光(ソーラレーザー)の条件は

HP3%以下になっていること。

敵が複数であること

5時間以上対決すること。

スキルを使わないこと。


その四つだ。


一つ目は簡単そうに見えるが、クリティカルや、ダメージソースがバラバラな攻撃があるため、難易度は非常に高い。


二つ目は容易にクリアできるだろう。


問題は三つ目と四つ目だ。

5時間以上対決し続ければスキルだって使用している。

第1スキルは必殺技だ。5時間もかかる相手に使わない手はない。


だからこのデュアルスキルのシステムはゲームプレイヤーからすれば、使えないシステムであり、忘れられたシステムだったのだ。

実装された当時は盛り上がったが直ぐに見放された。

第一5時間も戦えるわけがない。完全に無駄だ。


だが、今回は重なってしまった。最後に見た時敵のキャラクターのHPはのこり僅かで2%も無かっただろう。

ソーラレーザーを発動したあとで食らう前に25%回復する魔法を使用したのだろう。

必殺技は発動したあと、的にダメージを与える時間が長い。短くすることはできるが短くするためには技や、スキルのスロットを使うので誰も使ってないのだ。


そして、対戦形式は1人対複数乱入ありだった。

人数無制限で、乱入ありのため、何人も入る、しかも、時間も無制限だった。

だから、5時間も耐久出来たのだろう。だが、普通に考えて1000人を相手にして、何故そこまで耐久できた。……。やはりありえない。


スキルはあの男一度も使用していない。


勝利条件は敵の全滅。


お互いそのはずだった。なのに、乱入可能なこちらが負けた。それは必然だったのか、偶然だったのか、私には分からない。


だけど、あの負けた直前に見たアイツの表情から思うに……。


あるべくして負けたのだ。そう思うしか無かった。


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