episode1 日常
初心者。
「ううううううがああああああああああああああああああ!!あああああ!!」
沈黙。
静寂。
「くっそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
モニター画面の前で叫んでいた。
「なんでだよ!?なんでなんだよ!?なんで落ないんだよおおおおおおおおおおおうああああああああおううううううううううううううううううううがあああああああああ!!」
時は数時間前に遡る。
[やっほー!メンテ終わったねえーいやー長かったあ]
[延長お詫びはよ]
[ブーストはよ]
[ん、イベ開催されてる]
[マ?]
[うん。なんか大規模な作戦らしい]
[ほう?1時間後スタートだな、行くか?]
[行くー!!新しいエネミーらしいし楽しみだよお!!]
[あ、何、もう決まった感じ?」
[あ!マスターおはよー]
[おはよ]
[マスターおはよー]
[マスターも行く?まだ3人しかいないからマスターも行けるよ?]
[イベ?]
[うん]
[ドロ武器も追加されたらしいぜ]
[マ?]
[マ]
[行くしかねえだろ(キリッ]
[だよねだよねえ!wwwwww]
[にしてもお前は朝から元気だな。子供か]
[マスターが元気無さ過ぎるんだよ!もっと元気出せよ!本気出せよ!wwwwwww]
[いや、いいわ]
[ぶー]
[こんなやつほっといて俺と遊ぼうぜぇクロエちゃあああああん♥]
[きもい死ね]
[ズキューンンンンンン!!wwwwwwwwwwww]
[お前な、きもいから]
[hshsしたああい…あぁ…///はぁぁ///]
[マスタぁぁぁ!…この人怖いよぉ…]
[ん、駆除だな]
[やめて]
[死ねばいいのに]
[やめて]
[BANしょ]
[やめて]
[りーくんは本当きもいと思うんだ、僕]
[同感]
[激しく同感]
[ねぇ!みんなひどい!なんなの!新しいプレイ!?]
[黙れよ]
[あ、やばいマスターに惚れそう]
[死ねよ]
[ちょっと朝ごはん作ってくるねー(`・ω・´)]
[あい]
[てら]
[いてら]
「さて…あと50分か…」
窓にかかるカーテンが揺れた気がした。
気のせいだった。
気のせいでしかない。
この三年間、一度も窓を開けていないのだから。揺れるはずがない。
揺れたら怖いだろ。怪奇現象だろ。動画とってうpするレベルだろ。
くだらない自問自答を終えて、椅子から立ち上がった。腰が痛い。ずっと座っていれば痛くもなるだろう。当然だ。
伸びをして部屋を出る。廊下の角を曲がったところで、鏡が見えた。そこには俺が映っていた。
無造作に伸びているぼさぼさな髪。二サイズほど大きい黒の無地のTシャツ。ただのズボン。
何の変哲もない顔。目の下にクマがあった。今となってはチャームポイントだ。
この生活を三年続けてきた。毎日同じように起きて毎日同じようにゲームをして毎日同じように寝るだけの毎日。楽しくて仕方がなかった。学校に行かずに毎日ゲームして。最初の一年は楽しかった。何もかも投げ出して没頭していたと思う。でもそれは長くは続かない。毎日同じことをしていると、人間、飽きるというもので、大好きなゲームも飽き始めていた。俺はゲームを移った。そしてまた飽き、次のゲームに移動する。そうやって今までに四つほど、ゲームを転々としてきた。今居るゲームはもう半年ぐらいやっている。チームメンバーと毎日話せて、遊べて、楽しい。特にマスターは俺と同じく学生(笑)で、俺と同じくひきこもりだ。後の二人は成人していると言う。
マスターこと、そるは、チームDestinyのマスターで、古参プレイヤーだ。半年前に来た俺とは違って、全職レベルカンスト、全職装備カンストの廃人だ(笑)だいたい廃人化すると、初心者にあたりがきつくなったり、初心者いじめを起こすが、マスターは初心者にも廃人にも同じように接していて、決して優しい言葉とかはかけないけど、それでも根はすごく優しいって分かる。操作方法がわからなくてうろちょろしていた俺に声をかけてくれたのがマスターだ。その頃は髪色が黒だった。
それから俺は、マスターにアドバイスを貰いながらどんどん成長して、今のチームに入った。マスターは決してクエストを手伝おうとはしなかった。アドバイスはするけど、自分がやってしまっては面白くない、と言っていた。確かにそうだ。廃人になると、毎日何もすることがなくて暇だから、つい、初心者のクエストを手伝ったりする。でも、それはマスターの考えに反している、らしい。
懐かしい思い出を語ったところで、サンドイッチを皿にのせ、部屋に戻る。ちなみにたまごだ。
現在に戻る。
そしてこの様。見事に俺だけドロップしなかった。三人が俺のドロ運を吸収したからだと信じたい。
[あー…残念だったな…まあ…次もあるし…wwwwwwwwwww]
[いやー良ドロでしたな]
[そうですな]
[もう!wwwwwマスター笑ってるし!wwwwwwwwwwくっそwwwwww]
[まあ、お前のドロ運がないのは昔からだし、敢えてびっくりするようなことでもないだろ]
[確かにwwwwwwwwww]
[いつも欲しいアバ出ないからって、一万二万三万と溶かしてたもんなあwwwwww]
[うるさいなあもうwwwwwwwww]
[ま、今回の武器はそこまでぶっこわれステでもないんだし、いいだろ]
[ぶー]
[ぶっこわれ…]
[ぶっこわれ…]
[じー]
[俺を見るな^^」
[火力おかしいんですよ。あなたの武器]
[どうやったらそんなぶっこわれ火力になるんですかね教えてください]
[さあ(]
[(・ω・`)]
[そんな顔をしても無駄だ]
[童貞のくせにっ…!]
[いや、関係ねーし、ちげーし]
[( ˙-˙ )]
[( ˙-˙ )]
[んだよもう…]
[りーくんもきさらぎも、マスターをいじめないでよ(´;ω;`)]
[あ?wwwwwwwwクロエちゃんまたそれかよwwwwwwwwwほんっとクロエちゃんはマスターが好きだよなwwwww]
[いっ…いや別に…]
[お前らいい加減にしろよ^^]
[マスターの悪魔スマイル!!死ぬ!!]
[今日のところはこれで勘弁してやる!!お、覚えてろぉ!!]
[何雑魚みたいな捨て台詞吐いてんだよwwwwwww]
[wwwwwwwwwwwwww]
今日も平和だ。
ピーンポーン。
は?
気のせいか。
ピーンポーン。
き、気のせ
ピーンポーン。
三回目のピーンポーンで俺は完全にフリーズした。
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誰だよ!?
大事なことだから二回目言う。
誰だよ!?(二回目)
Amazonでお買い物してないぞ!?誰だよ!?
そっと部屋から出て、廊下にあるインターホンでピーンポーンを鳴らした人の姿を確認する。
ここで俺は本日二回目だがフリーズした。俺の家のピンポンを押したのは、俺が通っていた学校の制服を身に纏った、超絶美少女だった。
登場人物はどんどん増えます。
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レアドロおおおおおおおおおおおおおおおお
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