そして君は醒めない夢を見る。
「世の中にはね、醒めて欲しくない夢と醒めてしまった現実があるの」
そう言って僕に教えてくれたある女の人の話を思い出す。
その女の人は30代くらいでスーツを着て、いかにも出来る人!のする人だった。
その話を聞いた時の僕はまだかなり幼く、その人の言ってることがイマイチ良く分からなかった。
「夢って醒めるモンじゃないの?現実で夢が醒めてるのは当たり前だよ?」
そう聞いてきた僕の話を聞いてその人は、クスリと笑い、僕を膝の上に乗せて、「んー・・・、じゃあ僕にも分かるように詳しく話そう」と話を始めた。
「夢には2種類あって1つは寝るときに見る夢。2つ目は現実で見ている夢。君が言ったのは前者の方だね。私が言ってるのは後者の方、「これは夢なの、現実なの!?」と錯覚するような夢のこと。・・・分からないかい?そうだな・・・、君は宝くじで一等を当てたとしよう。何、現実味がない?それくらいが丁度良いんだよ。そしてだ、その一等のお金を見て君はどう思う?」
「どうって・・・」
「率直な感想で良いんだよ」
一等ってつまりは3億のことだろ?そんなお金持ったことないから分かんねぇよ、でも・・・。
「夢みたい・・・」
「そう、それだよ。その一等を取ったことを夢みたい、と思うだろ?それが醒めて欲しくない夢だよ」
じゃあ醒めてしまった現実ってのは・・・。
「何かの拍子にその一等がなくなってしまうこと。例えば番号が違ってたとか。それが醒めてしまった現実、だよ」
「じゃ、じゃあどうやったら醒めて欲しくない夢、のままでいられるんだっ!?」
僕は女の人に詰め寄り、回答を求む。夢のままで居たいのであれば、醒めなければ良いってことだろ?
「それはね・・・、夢のままでいて欲しい、と願い続けるしかないんだよ」
「なっ、なんだよ、それ・・・・・・!!」
「醒めて欲しくない夢、も、醒めてしまった現実、も元を正せば同じ所なんだよ?そして醒めて欲しくない夢は醒めてしまったことによって初めて実感する。あぁ、今までのは夢だったんだ、と」
今までそれが普通だと思っていたことが醒めることによってそれが良い夢だったってことか・・・!
「それが夢だ、と知った時、君は今までのことに向かってある一言を言えば良い」
「・・・?」
その人はある言葉を僕の耳元にそっ・・・と言ってその女の人は消えた。
そして僕は今、あることから夢が醒めた。
僕は今、今までお世話になった人に向けてこう言う。
「夢を見させてくれてありがとうございました」
夢から醒めたことによって僕はまた新しい夢を見る。
「そして君は醒めない夢を見る」
皆さんも良い夢を・・・




