死神はクール系美少女
日常と非日常。
決して混ざり合う事のない世界。
俺の住んでいる世界が日常なら、俺の住んでいない世界が非日常と勝手にわけ隔てていた。
そんな事をずっと考えてきていた俺であったが、非日常は何年も前から俺の日常に干渉をしてきており、それが目の前に『日常』として現れる頃には全てが遅かったという話をしよう。
1人のごくごく普通な少年と1人の美少女の死神の物語を――。
俺が生きていられるのも彼女のおかげなのだから……。
―――――
その日はとても晴れた日で、全てが不幸の日であった。
「あー、今日はいつも以上に晴れた日だな……」
宿題に追われ、睡眠時間が3時間しか取れなかった俺にとって朝日が目にじりじりと光を差し込ませ辛かった。
半開きのまぶたの目を左手でこすりながら、右手でケータイを開く。
「ゲッ!?」
因みに俺は昭和の漫画の様に寝坊したなんてベタな事を言うつもりはない。
これでも目覚まし時計でちゃんと起きられる人だ。
「ケータイの充電されてねー」
残量38%。
充電器がコンセントにさされてすらいなかった。
俺は朝の短い時間を使い充電器をコンセントに差し込んだ。
補足をしておくと、別にいつも不幸がまとわりついているわけではない。
たまたま、この日だけ不幸の連続であっただけなのだ。
本当に、この日だけ……。
一部だけでもたくさんの不幸があった。
いつも着ているブレザーのネクタイが紛失。
昨日の雨で濡れたスニーカーが未だにずぶ濡れ。
自転車のタイヤの空気がパンク寸前で詰める羽目に。
全ての信号に引っかかり遅刻。
日直だった。
今日の日にちの数字が出席番号の数字と同じ為ほとんどの授業で当てられる。
数学のノートも紛失。
財布を忘れて昼飯抜き。
昨日寝る時間を裂いてまで頑張った宿題を家に忘れる。
というか朝、充電されてなかったケータイを家に充電したまま忘れる。
ロリコンの家に連れて来られた。
これだけで本当に一部。あと4割ぐらいの不幸があったが別に不幸自慢をしたいわけではないので省略。
要するに俺は叫びたかった。
「不幸だー!」
「君が不幸だと叫びたい。というかロリコンの家って俺の家の事か!?」
それしかないだろう……。
ロリコンの親友(そんな奴を親友とは呼びたくないが便利上)の山野陽太。
好きな者はロリ。
食べたい者はロリ。
キャッチコピーはロリコンに今年嫌いは居ない。
そんな奴だと思う。
因みに姉からたくさんしごかれていた為に年下好きに目覚めた。
「しかしそんなに不幸が続くんなら今日死んだりしてな」
「それは笑えない冗談だな。なら死ぬ前にロリコンの部屋のロリポスター剥がさないとな」
「それは笑えない冗談だな、って本当に剥がすなよっ!?」
「不愉快なんだよロリポスター!」
そんな風に陽太の話を受け流した俺であったがまさか本当にあんな事が起きるなんて思ってもいなかったんだ……。