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小さな栄光  作者: ジュン
35/59

〜 球技大会(高校編) 〜


今回ばかりは譲れない


一回戦、二回戦と僕らは

作戦通りに戦う


未経験者はディフェンスと

リバウンドに専念


攻撃は二人の元バスケ部員と

長身ダブり先輩の

オフェンスリバウンド


とにかく勝ちにこだわり

数ヶ月前から準備したことが

正しかったかのように

危なげなく勝ち進んだ



決勝の相手は一年のときの一回戦

僕らを倒したバスケ部キャプテンと

バスケ部センター率いる強豪チーム



勢いよく作戦通りに勝ってきた

僕らには負けることなど

考えられなかった




だが僕には

ひとつ気になることがあった




コートサイドにユウの姿が見えない


そういえばさっき教室に荷物を

取りに戻ったときに大会に

参加もせずにみんなと

談笑していたような…



ホントに気まぐれだなぁ



と思いつつも


これは雑念だ

もう決勝が始まる


試合に集中しろと

自分に言い聞かせる



自分の言ったことに

プレッシャーを感じ

結果のために精一杯やる


それを見届け、判定する人間が

いるに越したことはないが


結局は自分がどう結果を出せたか

出せずともそのために

どう努力できたか


そこが問題



もう一度集中し直し


決勝ティップオフのボールを掴んだ




決勝に進んでも僕らの勢いは

まったく止まらなかった



みな結果を恐れずに自分の

役割に集中してプレーした



球技大会…


そのレベルはもう確率の問題で

精神的プレッシャーからくるような

無理なプレーというリスクを

どれだけ減らしていけるか


細かく言えば、少ない時間の中で

ターンオーバーもあるけど

攻撃回数はだいたい決まっている


それをどのプレーヤーの

どのショットに選択していけるか

ということと


それをチームとしての共通理解の

もとでどう実践出来るかが

大事なことになってくる



僕らのチームは他のクラスよりも

圧倒的にバスケ未経験者達の

ターンオーバーが少なかった



これは確実に準備段階の成果だった




相手チームにバスケ部の

キャプテンがいようが

スタメンのセンターがいようが


僕らにはどうでもよかった


僕らは自分達のゲームプラン

通りにがんばるだけだ


それが勝利に繋がるはず




僕は思い出していた


一年のころ


3点ビハインドでノータイムに突入


得意ではなかったが僕のスリーしか

勝つ手段はなかった



結果、僕はボールを持てずに

意図的に空けられた未経験者が

2点のレイアップを打たされ

1点差で僕らは負けた



もうあんなのはたくさんだ


ワンプレーに固執するのは

よくないがあれが教訓だ



チームプレーに徹した僕らは

優勝候補を一蹴した




残り時間もわずか


勝利を決定づけるミドルシュートを

決めた僕は今一度、得点盤を

確認しようとディフェンスに戻り

ながらコートサイドに目をやった



そこには僕のシュートに両手を

あげて喜ぶユウの姿があった



ユウらしいや



僕は勝ちを確信しユウに微笑むも

相手に敬意を表し急いで

ディフェンスポジションに戻った




試合終了を告げるブザーがなる




僕はクラスメイトに駆け寄り

勝利を分かち合う


数ヶ月の準備の末に勝ち取った

小さな勝利を喜ぶ



もちろんチームメイトと


特に経験も少ないバスケを

頑張ったクラスメイト達と




 「 ちゃんと見てた? 」


そしてもちろんユウと




僕は高校生活の最後に

クラスメイトと共同で

小さな栄誉を手に入れた



翌日、学年対抗優勝決定戦


学年優勝まで勢いで駆け抜けた

僕らにすでにその勢いはなかった


それでも一年生には負けなかったが

現役キャプテンのシンジと現役の

シューターをそろえた二年生の

現役という圧倒的なシュート確率

の前に惜敗した



試合後に


 「 たまたまシュートが…」


入りまくっただけです


内容では完敗です



とシンジは言ったが

勝負は勝負、結果だよ


上手くなったな、おめでとう


と健闘をたたえ合った




そう


努力の男シンジは新キャプテンに

任命されていた



バスケットが大好きで惜しまない

心を持った


この男はその才能によって

自分の言葉を実行に移した




僕があのマジックのTシャツを

渡したときに


シンジはこう僕に宣言していた


 「 俺がキャプテンになって


  チームを強くして、


  辞めなきゃよかったって


  ジュンさんに言わせますよ」



そう熱く




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