表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな栄光  作者: ジュン
29/59

〜 東京選抜 〜


東京選抜


     VS

       カナダ選抜



放課後


その日バスケ部の練習は休みだった



「 聞きました? 」


やってきたのはシンジだ



「 今度、代々木に試合見に行けって


先生言ってましたよ 」


なんの試合だろう


聞くと、わからない


勉強のためとはいえ経緯もわからない


しかし入場料はいらないらしい

ならもちろん行くだ



「 何の試合?


まぁ ただならいいけど 」




次の日曜日、ろくな情報もないまま


顧問の指示により

部総出で代々木に向かった



会場には同年代の学生が大勢いた


学生服で来ている集団もいた



勉強のためと聞いていたので

僕は講習会か何かだと思っていた



しかし会場の看板には



東京選抜 VS カナダ選抜



「 おい!


外人がいるよっ! 」



僕らのテンションは上がった




「 東京選抜だってよ


すごくね? 」


「 っていうかでけえ! 」



たしかに遠目でもわかるくらい

どの選手もでかかった



アップが始まった


「 ジュンさん


誰がスタメンか当てましょうよ 」



「 いいよ


そうだなぁ


まずあいつ… 」



ん?

誰だっけ?


僕には見覚えがあった




僕はその選手を知っていた


「 あいつ○○中学のやつだ! 」


シンジはびっくりしている


僕はその横にいる選手も見たことがあった



僕はシンジに順に説明していった



「 で… あのゴール下のデカイのが


東京では有名で…


○△中学だったかな 」



シンジだけでなくみんなが感心して

聞いている



僕はもうひとり


大きな選手に目がいった



アップで派手なダンクを決めた

その選手を


僕は良く知っている




あれは二度目の異変



歩けない僕を背負い

タクシー乗り場まで連れて

いってくれた


「 ジュン


この先輩におんぶしてもらったこと


きっと将来 自慢できるよ 」


そう先生は言っていた




あの人は僕のいっこ上の先輩


キャプテンだ



「 俺は あの人に

 

おぶってもらって… 」



僕の胸に熱い何かが込み上げた




自分の先輩が外国人を相手に


東京の代表として戦っている



僕は誇りと共に

プレッシャーを覚えた



僕はまがりなりにもそんな人達と

ともに同じバスケを学んできた




同じバスケが出来るはずがないのは

よくわかっている



でも僕は今どれだけのことを

しているのか



中学の財産だけでバスケを

続けてはいるが


それ以上のものが

身に付かないのは


環境のせいでなく


僕自身のせいなのでは

ないだろうか




東京選抜の激戦を見て

僕は思い出していた



確かに今あの場に立っている

先輩は特別かもしれない


でも他の先輩達も推薦で強豪校に

入学していった



僕の同学年の人達も例に漏れずだ


同学年のエースも

インターハイ出場校に



逆に僕だけ特別に

ダメだったわけじゃない


それはこの弱小校での扱いでわかる


中学の時の駅伝大会で僕は

他のバスケ部員とともに区間タイムの

上位に名をつらねていたりもした



僕はぬるま湯につかって


楽をしてるだけかもしれない




誰かが言ったよ


ぬるま湯につかってるだけじゃ

風邪引いちゃうって



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ