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小さな栄光  作者: ジュン
24/59

〜 スタートオーバー 〜


何も失っていない


最初から何も持っていなかったから



座ってしまえば転ばないよ


けどまた歩きださなきゃ


進む道に壁を作るのは自分自身


壁と思えばそれは

自分にとっての障害になる





歩みを止めたなら、


また歩き出せばいい



石に躓いたなら、


足元を見直せばいい




自分の場所がわかったのなら、


そこからまた上を見ればいい




僕は気持ち新たにバスケに

取り組むことにした


それは指導歴が短い顧問が

挑もうとする戦いと似ていた




さらに基礎的な練習が増え、

チーム形成を考えるようになる


次第にチーム内での役割や

ポジションを決めていく


不良どもの集まりが部活に、

そしてチームへ移行していく



構想にもれた先輩方は、

引退時期を待たずにやめていった


居場所を間違えたやつらも

練習には顔を出さなくなった



いつどこだったのかはわからないが


バスケ部というものが

誕生したのはこの頃だったのではないか




形になってきたバスケ部は、

基礎的な練習を多くこなしていた


個人メニューなどで

対応しようとはしても、

チーム全体のレベルを考えると

基礎を出ることは出来なかった



僕はいまだに中学の財産で

バスケをしていた




僕は二年生になろうとしていた




遅い時期になって新入部員が入った


今までのつるむだけの

在籍組とは違い

バスケットプレーヤーだった



どこに隠れていたのか、

しっかりとバスケの出来る

ガードだった



聞いた話では

サッカー部に隠れていた



カラオケサッカー部からの移籍初日



力試しのゲーム形式の練習


僕はその新入りに

ブロックショットを連発


シャットアウトした




嬉しさもあったが合流の遅さによる

取り戻せない時間への怒りと、

一応はがんばってやっている

バスケ部の門番として

手荒に迎え入れた



でも他の部員達よりも

バスケットが出来るのは確かだった




次の練習


新たな仲間が加わった



そんなにうまくはないが高さと

体があるインサイドプレーヤーだ



サッカー部でキーパーをやっている



あまり時間をかけずに

バスケ部一本になった




一年弱、サッカーをしてみて

つまらなかったのか


バスケ部の変化に気が

変わったのかはわからないが


仲間が増えた




経験者が増えたという事よりも、

何よりバスケットをする場所に

なってきている事が嬉しかった


その想いとは別に僕は

今の自分を誰にも見せたくないと

思った



僕の感謝すべき人々は、

こんなバスケをしている

僕を嘆くだろう


でもそこを抜け出す勇気も力もない

僕には結果、

おあつらえ向きな場所だった



それが恥ずかしく



恥ずかしく思うのも僕が

調子に乗っている証拠なんだけれど



恥ずかしくて

そこにいたくなかった




僕を繋ぎ止めたのは


そんな場所での自分の存在価値


優越感だけだった




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