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小さな栄光  作者: ジュン
22/59

〜 高校バスケ 〜


僕の世界は変わった



でも僕のいる位置は...



人数は揃った


このバスケ部にとって久しぶりの

公式戦への参加が決まった



僕は今の自分をたくさんの人達に

見てもらいたかった



僕に道をくれた恩師


その教えを受けた戦友たち


後押ししてくれた家族





僕はたまたまやり始めたバスケットを

高校になっても続けているよ



怪我にも負けず

落ちこぼれの境遇にも負けず



僕はバスケをがんばっているよ



一生懸命がんばってきたおかげで

一年生でレギュラーを取り、

今度は試合にも出るんだよ



ビデオの最後にいた恥ずかしそうな

ユニフォーム姿の少年の想いが実現するよ





僕は母さんに会場の場所と時間を教えた




意気揚々と会場入りし、ボケッと

たむろしている先輩方やその他大勢を横目に

ランニングできる場所を探しアップを始めた



一汗かいたころ、試合の時間がきた


コートでウォーミングアップをしているとき、

ふと観客席を見ると


後ろの方に母さんが座っていた


忙しい中、観戦に来てくれていた




始めてスタメンでの公式戦


始めて尽くしの事に緊張もせずコートに立った




試合はなんのプランもなく進む



いつも以上に勝手な先輩方


素人丸出しのその他の選手


そして僕は一人でどうにかする力を

持ってはいなかった



てきとうな、バスケと言えないようなゲーム



中盤の無くなったサッカーのように

打ち合いが続き、僕は次第に

ストッパーのようになった



フロントコートに入る間もなく、

相手ボールになるなんて





僕は祈るように立ち止まる



こんなもの見せたい訳じゃないんだ




観客席に向かい苦笑いをした




自分勝手な攻めを繰り返し


そのたびにカウンターを受け、

ゲームは決まると共に荒れていった



技術の無さ、体力の無さにファウルがかさむ



後半に入り、ひとり


またひとりと5ファウルで退場していった




退場し、ベンチを蹴りあげ体育館を出る先輩


キャプテンにいたっては、もっと酷かった



悪質な(と思ったのだろうか)ファウルに

対する報復行為



相手プレーヤーに蹴りを入れ


一発退場



試合も終盤になりベンチ要員はそこをついた




僕を除いては試合に出た順番で退場していった


つまり試合終盤、五人しかいなくなったチームに

バスケができるのは僕だけだった



そのほとんどが試合に出るなんて考えもせず、

応援だけに来た練習にもほとんどこない

人たちだ



僕にはかなりの負担がかかった



かつてないほど疲れていた僕はついにミスをした



なんとか繋いでいたが、一瞬気を抜いた瞬間、

最後のファウルを犯した




人生唯一のファウルアウト



その後、もうひとり退場して最後には

三人対五人での戦いになってしまった




キャリア初のファウルアウトよりも何よりも


これでよく大会に出る気になったなと思った


恥ずかしくも、試合が出来るということ

だけで浮かれていた自分がいた




出ることは大事だし、どんなに弱くても

それがスタートならば尚大事



でもそんな理解も頑張りも無く


ただ自分の不甲斐なさを、相手や審判にぶつける


その競技のルールの中で技術、体力、精神力と

日頃培ってきたものを競い合う



それが出来ずに、何が試合だろう


なんのために練習するんだろう



僕らは戦う前から、自分に負けていた



その後、僕の試合に母が足を運ぶことはなかった



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