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小さな栄光  作者: ジュン
12/59

〜 プライド 〜

理想と現実

脆く崩れるプライド

崩れた瓦礫で作られる

新たなプライド


それは自分の存在価値に

いつの間にか自分達の代になって、

身体能力も低くセンスもない

子供達の中でチームに残っているのは

僕だけになっていた



厳しい練習の終わりに追い撃ちをかける、

鉄アレイを持って校庭を十周も二十周も

走る地獄の『ロード』


片方1.5kgづつの鉄アレイを持って走る

レギュラー組には多少物足りない内容でも、

1kgづつしか持たない控え組、

特に僕にはまさに地獄だった


恥ずかしながら何も持たずに走っている

後輩を羨ましく思った


後輩の中には、数に限りがある鉄アレイを

持って走れる僕を

羨ましく思った子もいたはずなのに



体の成長も遅く体力もない

技術もなければ、それが身に付くであろう

センスも感じられない



それでも僕はやめなかった


どんな取り組み方もある、

どんな部品でも歯車となったのなら

必要な部品である事を教えられた


けして花形だけが全てじゃない

そう思えた


チームの一部になれば必要性がある

それは見方を変えれば、

戦術の一つになれば試合にも

出れるという事にもつながる


武器さえあれば




幼いながらも自分で勝ち取る何かを

見つけたような気がした



先生が僕に授けたアドバイス


当時ルール改正によって中学バスケにも

取り入れられたばかりの、

スリーポイントシュート


そこに僕はサバイバルレースを

生き残るための活路を見い出した



でもそれは簡単な事ではなかった


僕の小さな身体、筋力では

スリーポイントラインの外からの

シュートは届かなかった



自分が他人よりできない事は理解できたので、

試合に出れない事やカッコいいとは

言えない役割に練習内容の違い、

そして唯一の武器になりそうな長距離砲など


受け入れられるもの、

受け入れざるほかないもの、納得ができた


ただ思春期の僕を一番に困らせたのは、

届かないスリーを打つために両手で

シュートを打ちなさいというアドバイスだった


両手でシュートを打つのは女子だけで、

その真似をするのはとても恥ずかしかった



片手じゃ届かないだろ

じゃぁ両手で打て


単純明快、恥ずかしいもくそもない

結果がそこにある


僕は男だ

女子の真似事なんかできるか

とんがってもいない鼻っ柱はすぐさま折れる


だがそれが自分の生きる道


両手で打ってシュートが入らなければ

試合には出れない

ディフェンスのプレッシャーが強ければ

さらに遠くから決めてやる


僕は黙々と両手でシュートを打ち込んだ


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