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『1945(Dan・K・Grant)』についての論考

作者: 上月あすむ
掲載日:2025/12/31

近年再発見されたという、アメリカの文学者サモス・レモによる1950年代のジャーナル記事です。長編小説『1945』を扱ったものらしいですが、詳細は分かりません。一応、和訳があったので貼っておきます。

『1945(Dan・K・Grant)』についての論考

Samoth・Remo

イングランドから亡命したという、Dan・K・Grantの小説『1945』が昨今のアメリカ国民に流行しているという。『1945』の舞台は、The war to end warで、卑しくもイングランドが勝利した世界だ。本稿では『1945』に描かれた世界について考察していきたい。

あらすじについておさらいしよう。(本稿をご高覧の読者諸兄にはすでにご存じのことだと察するが) 『1945』では、1915年に終戦した The war to end war においてパリが陥落しなかった世界が描かれる。その世界では、合衆国がイングランド=フランス聯盟に与し、結果として聯盟がミッテルオイローパに勝利する。多額の賠償を課されたドイツ帝国では、やがてサンディカリズム革命により共産主義化するだろうーーこれが本作における帰結である。

こうした図式は、多くの史家や政治家が指摘してきた通り、戦後のイングランド史と著しい類似を示す。Grantは、サンディカリズム革命を、敗戦後の経済的困難から必然的に生じたものとして捉えているように見える。

さて、多くの読者を悩ませるのが次の一文だ。「ドイツの労働組合の中から生まれた悪意の巣から(中略)彼が人神命運を尽くしてたった1人の指導者になるのは必然であった」本書ではこの指導者を「Führer」と呼んでいる。彼は政治運営を一手に引き受けて以降、領土拡大の野心を政治判断として次々に決断していく。

この点に関しては、多くの政治学者・政治家から賛否両論である。つまり、サンディカリズムという多頭政治からEmperorが生まれるのか?との批判だ。現在のイングランドは15人の連立評議員制を敷いている。今日のイングランド政治の著名な識者であるBrownらによる共同研究にも示されるように、この評議員制では地方の民衆の声によって政治が大きく揺さぶられる。故に安定感はあるがスピード感には失したのがその特徴だ。

本書全体の構図から推測するに、Grantは開戦責任は政治権力の独占にあると考えているらしい。これは昨今の一部の米国軍事評論家にも見られるマイナーな学説の一つだ。

このように、本書は現代の欧州史を正確に模写しながら、一部の学派で囁かれる刺激的なスパイスを取り込んでいる。そのスパイスこそが香りを引き立たせ、多くの米国市民の心を掴んでいるのではないだろうか。最後に本稿執筆にご尽力いただいた種々の関係各位に謝意を述べて、本稿を締めさせていただく。

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