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ある日の日記 251118  作者: 朝日奈流星


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退屈な日常の些細な日記 251118

逃がした魚は大きい  


という

 俺は「富士さん」と呼ばれている。苗字が「富士」なのでそのままである。

日本一の山「富士山」と同じで申し訳ないのだが許してほしい。

俺は若くもなく、かといって老人でもない。じゃ、中年か?と言われれば否定はできない。

若いか老人か、中年かは相手によって変化するだろうから。

 そんな俺も一応は会社員だ。良くも悪くもない普通の企業の社員だ。もっとも、若い頃からテキトーに仕事をしてきたのでいわゆる出世コースには乗れていない。

おかげで気楽に過ごせて仕事も趣味も家庭もぼちぼちやっている感じだ。

 趣味と言えば・・・

釣りにはこだわっている。釣ろうと決めた魚は必ず「どんなことをしてでも釣って見せる」という意気込みがある。狙われた魚たちには申し訳ないが、釣らせてもらう。

 幸いにも俺の会社は海沿いの町にある。駅が近いので電車で通勤してるのだが、その駅というのが海岸の砂浜沿いにあって、一方は海、一方は町なので改札は町側にしかない。

砂浜といっても干潮時で奥行き10メートルくらいであり、海水浴場などは無理な立地である。

海岸から砂浜があり、ちょっとした松の木がありそして線路という狭い海岸なのだ。線路のこっち側は町になっている。俺の会社もすぐそこにある。

 もちろん釣りが趣味の俺は会社用のバッグとともにコンパクトロッドも携帯している。折りたたむとわずか30センチくらいになるやつだ。

 ある月曜日(そう。直近の11月17日だ)の朝。いつもより数本早い電車で会社に向かった。

週初めの月曜日ということも考慮しての早い出勤だ。

ホームに降りると隣の車両に乗っていたであろう「お杉」と出くわした。


 杉山敬一 通称「お杉」 年齢は詳しくは分からない(知らない) 家庭は持っていない 中途採用なのでマジメだがまだ係長クラスでもない 趣味は、同じく釣り。


『あ、お杉~! おはよ~』

『富士さん! おはようございます』

『今朝は早いじゃない?どしたの、何かトラブル?』


お杉はトラブルなどの対応もしている部署だ。


『いや、そうじゃないんですけど週明けなもので色々とあるかと思い、ついつい早くなりました』


そんな彼もコンパクトロッドをぶら下げていた。

俺はそれを見つけて

『お!釣る気マンマンじゃないの~!今朝は上げ潮で今からならイけそうじゃん♪』

『そうなんすよ。朝ならいいけど夕方はどうかな~?てな感じッスよね』


そうなのである。釣りというものは時合が全てであるといっても過言ではない。タイミングだ。潮の干満によるのだ。今日明日は朝が一番良いのは釣り好きなら誰でもわかる。


俺もお杉もタックルを一目見れば分かるが、ルアーで釣る道具だ。なので餌を調達する必要はない。


俺にある考えが浮かんだのは、必然だろう。そしてその相手がお杉だったのが

全ての始まりだった




『な、お杉。時合てのは今しかない。この時をこの一瞬を逃すともう二度とこの時は来ない、っての、感じたことない?』

『ぇ?! タイミングのことですか?』

『そう。そこなんだよ。気温水温干満などなど、二度と同じ条件はない。それを考えるとだ・・・今日のこの時合、無駄にしたくないだろう。』

『はい、まぁ、確かに』

『休んじゃおうぜ。釣りに行こう。』

『えぇぇ?月曜日いきなりっすか?!』

『バカヤロ。今日という日は今日しかないんだぞ。逃したら二度と来ないんだぞ。幸いにも俺とお前の部署は違う。同時に休んだって大したことはない。』


 数分後には二人とも会社に電話連絡をして休みをとったのであった。まだ早い時間なのでほかの社員にも出会わずに済んだのだ。

 

 会社が始まる時間まではお互いが別に喫茶店やファストフード店で時間を過ごした。ここで見つかるとあとで厄介だ。ずる休みがバレてしまう。しかも二人同時行動だと一発アウトだ。慎重に行動しなければならない。お互いに緊張感がMaxに達するころ

会社の始業時間となった。なんと長く感じたことか・・・


始業時間になると駅裏の砂浜に行った。

 そこには白い砂浜が長く続く海岸があった。水の透明度も高く水深数メートルの海底まで見ることができた。まるで南国の砂浜という形容がすっぽり当てはまるのであった。しかしその町は決して南国ではない。周囲に工業地帯がないので透明な水質が保たれているのだ。


 俺とお杉は竿を伸ばしながら海を眺めた。

砂浜に面した岩のそばには体高のある鯛のような形をした50センチくらいの銀色の魚が泳いでいた。泳ぎは鯛に比べたら素早い。おそらくジャイアントトレバリー(GT)系の魚であろうことは予想がつく。

 あの魚が釣れたらこのコンパクトロッドでは竿がひん曲がるだろう。  でも釣りたい!

俺とお杉はすこし離れたところで釣りを開始した。

 俺はその魚を目で追っていて進行方向を見極めながらルアーをキャストした。数投はミスったもののすぐに慣れて魚の近くにキャストできた。ルアーを小刻みに動かすこと数秒・・・

魚がルアーを咥えた!!

 予想通りひん曲がる釣り竿!リールのドラグが滑りジリジリと糸が引き出されていく!


(リールのドラグというのはギチギチに締めこむと糸が引き出されずに強い力で引っ張り出されると糸が切れるか、竿が折れてしまうのだ。大きな魚が強い力で引っ張ると糸がジリジリと出ていくような便利な機能だ。普通は釣りを始める前にある程度締めるか緩めて調節するのだが、釣れる魚の大きさや活きの良さに合わせて都度微調整が必要となるシビアなものである。)


いつのまにかお杉が横に来て「タモ、出します!」 と叫んでいる。


 慎重に慎重に寄せて、あと一歩のところで

ラインブレイクとなった。糸が切れたのである。

痛恨の極みである。あとはタモに入れて終わりのはずだったのに・・・


 俺は悔しさのあまりまるで漫画のように手足をバタバタさせた。




・・・気が付くと俺は・・・


ベッドの上で手足をバタバタしていた。

午前4時のことである。


 なんという夢だ

 

 実際に


 実行して会社を休んでやろうかと思った。俺の会社は海沿いにはないんだが。。。


 「補足」 お杉、なる人物は実在する

人生って


楽しんでナンボ


です

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