異世界でマヨネーズを求めるのは当然だよな?
勢いで初投稿をしてみました江戸バイオと申します
お目汚しとなってしまうかもしれませんがご一読いただけましたら幸いでございます
俺は異世界転生歴3年の中堅転生者だ。日本の感覚で海外移住3年目といえばソコソコ慣れてるイメージがあるだろ?そんな感じよ
そんな俺がマヨネーズの偉大さを語ろうと思う
なぜ異世界ではマヨネーズが作られるのか?疑問に思ったことはないかい?
マヨネーズを発明して一山当てたり?美味しくない異世界料理に新しい風を吹き込んだり?そんなこともあるだろう
それで儲かる世界なら儲ければいいし、リアル寄りでメシマズ世界ならマヨネーズは確実にヒットするだろうから出現は当然でもある
そんなマヨネーズだが異世界で登場するにはいくつか理由があるんだ
まずは味について考えるか
まず調味料が流通している異世界ならそこまでマヨネーズは必要ない。しかしそんな異世界はあんま無いんだ世知辛いよな?
スキルとかは豊富だが現地の特有の香辛料や食材なんてのはそこまで豊富じゃないからな
調味料があんまりない場合は自作することになる、もしくは料理の才能のある奴に依頼していく感じだ
でもな、塩がメインなんだよ本当に。香辛料もある程度はあるだろう、ハーブもあるだろう
しかし発酵食品となるとハードルがあがる。醤油、味噌なんかだな
それに和風な世界ならまだいい、そうじゃない場合……発酵食品ってのが仮にあっても慣れるのがしんどいんだ
海外の調味料とかも慣れてないと旨いと感じないだろ?寧ろ、、、、って場合の方が多いんじゃないか?それと同じだ。特に発酵食品は寧ろ、、って場合が多いと思う
それに菌なんかの問題もあるし再現が非常に難しい。発酵食品は財力や各種ネックを解決できる魔法なんかとセットだ。要するに上級編
香辛料なんかは値段の問題もあるかもしれない。簡単に金を稼げる世界ならまだしも色んなケースがあるだろ?
因みに化学調味料、旨味調味料なんて当然ない。アレはお手軽に旨味を増やせる魔法のアイテムだよ。魔法のある世界の人間でもそう思う
そこでマヨネーズだ
自作した人ならお分かりだろうが材料は卵(黄身)、酢、塩、油、以上だ
油の質の問題が多少あるのだが、それでも酢は調味料のなかでもかなり歴史のあるもので中世なら十分に用意できる
油だってマヨネーズにするくらいなら十分だ。塩は言わずもがな
ソースやケチャップには香辛料やらなんやら多くの材料が必要なのに、マヨネーズのなんとシンプルなことよ
それで十分に旨いマヨネーズが作れるのだ。集める材料の簡易さと味のコスパが非常に良いと言える
旨味調味料についてさきほどサラッと触れたが日本の市販のマヨネーズには使われていることも多い
しかし、他の製品に比べると使用料は少ないと言われている。つまり第6の味覚「うま味」にそこまで頼らずとも旨い調味料、それがマヨネーズなのだ
異世界において味の面で比較的現代に近いものを再現するとなるとマヨネーズは非常に優秀なのである
次にコストだ
異世界の相場が現代の歴史に合わせている保証はどこにもないのだが、それでも案外近い異世界が多いのも事実だろう
ま、それを言い出すとリアルでヘビーな異世界だと塩すら高価で薄味な世界だったりするんだが……
その場合は頑張って稼げ!そしてその基準の世界では香辛料とかきっともっと高い、マヨネーズはまだマシで安い方なはずだ
酢はまぁ何とかなるだろう、油も意外と昔からそれなりに使われている。卵が若干ネックだが、金と同じ価値ってことはない
そりゃそれぞれ今みたいに安価ではないけれどな。油が大量にあるなら雪の明かりで夜勉強することだってないだろう?でも食い物に使うくらい大丈夫だ。特に欧州風ならなおさらだ
それで他の方法に比べれば遥に安いしお手軽なんだ。色んな国の色んな時代の相場を見ればなんとなくわかると思うぜ?
さっき味のところで触れなかったが出汁だって高価なんだ。骨はあるけど薪代考えると結構キツイ
そもそも素材が悪い時代だ。えぐみの強い野菜の品種改良なんて何年かかる?研究費は?現実的じゃない
原種で現代の味に近いものだとキノコがあるかもしれないがアレは相当に高価だ。リスクもある
戦国時代にしいたけで初期資金を稼ぐなんてもはやテンプレだろ?
そこでマヨネーズだ
マヨネーズは火を使わずに作ることが出来る。薪代が掛からないんだ。ソースに対しての圧倒的なアドバンテージだ
発酵食品等は研究開発に多大な時間と失敗作のためにも研究費が嵩む。マヨネーズにはそれがない。材料があって適切に作ればOKだ
それでも多少ぜいたく品にはなってしまうだろうが、他の調味料を再現するよりははるかにコスパがいい
異世界においてコストの面で比較的現代に近いものを再現するならマヨネーズは非常に優秀なのである
製作難易度についても考えよう
ガスコンロなんて無い時代だぜ?焼きもの一つとっても現代とは製作難易度が違う
BBQ経験豊富だから大丈夫?炭が使えればいいな。薪でBBQしている上級者なら問題ないかもしれないが
火力が薪の場合は結構慣れるのに時間が掛かるぞ?そして金もかかる
下手すりゃ100均より質の悪い包丁だってそうだし便利調理器具なんてそうそうないぞ?ナイフやフォークすら怪しいとこだ。あるといいな
それ言うとマヨネーズだってハンドミキサーとかないじゃんとなるのだが、それでもまだマシなんだ
マヨネーズは攪拌が主作業だ、せめて泡だて器が欲しいと思うだろう。時代的にはギリって感じかな?
それでも最悪、菜箸でもなんとかなるんだ。つまり細い棒があればなんとかなる。
労力は無茶苦茶使うけどな。それでも、労力で代替できる、自身の体一つで解決できるなら異世界における難易度ってことなら初級だ
あと現代でマヨネーズを自作しようとする場合、卵の温度が低いと失敗しやすい。常温に戻してから攪拌しよう
その辺、冷蔵庫のない異世界は失敗しにくいかもしれないな
やっぱりマヨネーズは異世界で再現されてるために作られたと言っても過言だろう
そして、衛生面だ
現代でも生卵を食べる国は少ない。日本が特殊なんだ。そして生卵には食中毒のリスクがある。サルモネラ菌だな
生食前提で流通している日本の卵でさえ、自作マヨネーズによる食中毒の発生はゼロと言えない
しかし、多くの場合は酢の分量が少なすぎることが原因とも言われているので、日本の卵は相当に優秀であるとフォローもしておく
そう、酢の殺菌作用が利用出来るので異世界においてもそこまで危険ではないと言える、かもしれない
日本で市販されているマヨネーズだって保存料が使われていないんだ。基本、保存料なんかがない異世界では間違いなく安全な部類に入るだろう
ただこの辺はその異世界にもよるな。殺菌の問題を魔法で解決できる世界だったなら君はラッキーだ
でもそもそも、生卵の衛生どうこうを気にする前に全体の衛生だって低い場合が多いんだ
そのなかで生卵だけ特別にリスキーとするのもどうかと思う、この辺は強く言えないのが悔しいがそれでも食べたいんだよ!
まぁ十分に酢を効かせて作ればリスクは下げられるだろう。その辺は好みもあるし、なんとかしようぜ?
それでだな。ここからが一番言いたかったことなんだ。是非聞いてくれ
異世界で料理に拘り出す転生者が比較的多いのは周知の事実ではないだろうか?そして良くツッコミも入る
でも日本人はな、フグを美食に昇華させた民族なんだぜ?まさに命をかけて、多くの人間の犠牲を乗り越え美食を追求してきた
「美食」だ。飢えに対する食材の確保じゃない。旨いものを喰いたいという欲望に命を懸けることのできる民族の末裔が俺たちだ
現代日本における食中毒のほとんどはキノコかフグだ。キノコは素人のキノコ狩り由来がほとんどだがフグは違う
飽食と言われる現代でもフグ食べる人は減らないし、ノロウィルスが周知されても生カキ食べたい欲を抑えられない人は一定数いる
サルモネラ菌ごときテトロドトキシンに比べれば赤子に等しい
外国人の転生者ならいざ知らず、日本人の転生者が食中毒のリスク程度でマヨネーズを諦めるだろうか?きっと諦めないだろう
では実際に作ってみよう
まず塩だがこれはなんでもいい
岩塩だろうが海水塩だろうが魔法的なナニカでもなんでもいい しょっぱければいい
今回は岩塩を用意するが粒は細かい方がいいだろう。粗ければすり鉢なり魔法なりで細かくしよう
次に酢だがコレも基本は何でもいい
リンゴ酢でもブドウ酢でも米酢でもなんでもいい
酢がない時代はあまり想定できないが酒があれば大体何とかなる。酒作りは日本では法律上出来ないから事前に試すことはダメだぞ?
酒から酢を作る分にはOKだから調べればこっちは試せるぞ。ネット万歳だ。大体の異世界にネットはないからな。転生前の経験は大切だ
繰り返すが酒の自作は異世界だからだぞ?それで今回はワインビネガーを使用する。
油についてはまぁ植物油が基本だな。癖のない油が好ましい
しかし異世界で贅沢は言えない。オリーブオイルでもヤシ油でも世界樹油でも妥協しよう
動物性は流石に癖が強すぎるだろうし常温で液状にならないものも多い。異世界産の不思議油ならチャレンジもアリだろう
今回は普通に綿実油が手に入ったのでこれを使用する。
最後に卵
まぁ鶏卵がいいよな。これもあれだ、各々が転生した世界にある卵を使えばいい
ところ変われば品変わるというだろ?ただフェニックスの卵とかだと高温の場合があるから注意が必要だな
そんでもってまずは卵を割る。黄身のみ使うケースが多いと思うが全卵でもイケるぞ
異世界では食べ物は貴重だったりするからな、白身は別の料理に使うとかすれば無駄にならないので今回は黄身のみ使用だ
なんの卵かだって?言って分かるかなぁ?ヒュプノシシチョウの卵。俺の転生した世界ではポピュラーなんだぜ?
そして酢と塩を入れてかき混ぜる
その後に油を少しずつ入れながらひたすら攪拌!攪拌!攪拌!筋肉痛になるかも?ってくらい攪拌する
もったりしたら油を追加、もったりしたら油を追加、この繰り返しだ。大変ではあるが難しくはない
分量に関しては油10に対して酢が1塩は0.5ってイメージか?塩の量は好みにもよるが少な目にした方がいい
味が足りなきゃ足せるからな。マヨネーズに限らず料理は慣れるまでは薄味にした方がいいってのは鉄則だぜ
卵の量が問題だよな。これは使用する卵によって変わっちまうからな。
鶏卵を基準にするなら卵黄1個に対して油100mℓが目安かな?
ヒュプノシシチョウの卵は鶏卵の3倍だから俺は結構な量を作ってることになるな
だが俺は風魔法で攪拌してるから楽ちんだ。魔法がある世界、かつ生活に利用できる世界は当たりの部類だからな。俺は幸運だ
君たちも恵まれた異世界に転生することを祈る。きみだけに
おっと出来上がって来たぜ?少し味見を……うんまぁああああい!!
油と塩、シンプルだがこれこそ最強の組み合わせなのよ。脂質の甘味と塩、舌だけじゃなく脳が直接喜んでいるっっ!!
そして卵黄の濃厚な味が舌の上で輪郭をくっきりと表している。うま味調味料を入れるとシンプルに旨くなるが素材の味の輪郭はこっちの方がはっきりとわかるかもしれないな
それらすべてを結び付け調和をなし、かつ味のアクセントになっている酸味、日本にいた時はあんまり酢って好きじゃなかったんだけどな
調味料の乏しい異世界では酸味もごちそうだ。まぁこのマヨネーズはアクセント程度で酸味ってほどは感じないが。少し舌が鋭敏になるのかもしれん
いやー旨いね。それだけでうまい。いや寧ろえぐみの強い異世界の野菜に付けるよりこのままの方が旨いかもしれん。もう半分無くなってるしな
冷食、カップ麺、レトルト、なんでもいいがお手軽に美味しいものが食べられる現代人にこの感動は伝わるまいよ
そうだな、山にでも籠って山菜のみで3日でも過ごしてみるといい。ジビエを塩だけで食べるのも許可しよう
日本で野菜や食肉用の肉が如何に品種改良されているか理解出来ると思うぞ。そしてうま味調味料のありがたさもな
そしてそんな山での生活で豊かな滋味を感じた君、異世界適性が高いぞ!安心して転生するといい
そうだ、マヨネーズに使うくらいなら香辛料もハーブも少量でいい。手に入るなら使ってみるのもいいだろう。アレンジは君次第、可能性は無限だ
そしてピクルスの歴史は古い。かなり古代でもピクルスはあるはずだ。つまり……タルタルソースへのアレンジが可能だっ!
俺はもう半分しか残ってないマヨネーズをタルタルソースにしてパンに付けて喰うことにしたぞ?
パンもな、酵母がな……堅いんだよなぁ……異世界のパン。でも幸いにして噛む力が増したからな。幸いなのか?まぁいいや
おっと、もうこんな時間か。異世界は夜が早いんだ。朝も早いけどな。
という訳で今日はここまでだ。みんなも異世界に行ったら是非ともマヨネーズ作りにチャレンジしてみてくれ
次回があればまた異世界食事事情を紹介しようと思う。じゃあな
本文中で衛生について述べました。実際に日本で一般に売られている卵は基本生食OKです
マヨネーズ自作の場合も作ってすぐに消費する分には問題ありません
ただ自作のマヨネーズにも拘らず数日置いてしまったりするのはあまり望ましくありません。冷蔵保存でもです。市販のマヨネーズも保存料等を使用していないのですが製作中の衛生面がメーカーと家庭では段違いです
自作マヨネーズ作成の際にはその辺をご注意いただければと存じます