表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら悪役令嬢になって断罪されそうになっても、魔法が最強すぎて王子様に面白い女認定される!  作者: 雪見クレープ
第2部 魔法が最強すぎてラスボスにも面白い女認定される悪役令嬢
42/43

第42話 ライアンの目的

「俺は、父からここ、王国第零研究機関の話を聞かされていた」


 ライアンは静かに語り始めた。

 私たちは黙って彼の話を聞く。


「父の話では、俺の先祖はかつてこの王国の魔道技術顧問を務めていたらしい。だが、その職を追われた……。理由は……王宮の“禁忌の技術”に触れたからだ」

「禁忌の技術……つまり、この魔力炉?」


 クラリスがスッと質問する。


「そうだ。その人はこの工房の研究員だった。そして、封印が施される前の“最後の魔道具管理者”だったんだ」

「もしかして、あなたの家系は代々その技術を……?」


 ライアンはゆっくりと頷く。


「俺は子供の頃から、家に代々伝わる記録を読んでいた。そして、この王国が過去に何をしていたのかを知った」

「………………」


 私は黙って彼の話を聞いていた。

 ライアンの背負ってきたものの重さが、今になってやっとわかった気がした。


 ライアンは少し口元を引き締め、ゆっくりと頷いた。


「魔力炉の封印が不安定になっていることに、俺はかなり前から気づいていた。しかし、よそ者がそんなことを言っても誰も信じてはくれない」

「だから魔物退治をし、武勲を立てて王宮に入った。ただ、王宮の者たちはそれに目を向けようとしなかったが……」


 ライアンの声には疲れや憤りなど様々なものがこもっていた。


「……それであなたは蒼穹のルーンストーンを狙ったの?」


 私は静かに問いかける。


「ルーンストーンは、魔力の流れを安定させるために作られたものだ。つまり、これを活用すれば魔力炉の暴走を防ぎ、王国全体の魔力循環を安定させることができる」

「それは……確かに可能だったかもしれない」


 カイル様が腕を組む。


「ならば、なぜあのとき農業の発展なんてことを理由にしたんだ?」


 ライアンは目を伏せ、低く答えた。


「封印されているルーンストーンを楽に手に入れるための“大義名分”だよ」


 カイル様は敵意こそないものの、強く彼を見据えて言う。


「だが、それも却下された」


 ライアンは静かに笑った。

 そんな彼を見て私は思わず尋ねた。


「それからどうするつもりだったの?」


 ライアンは少しだけ考えたあと、小さく笑った。


「リリアナ、君に賭けた……」

「えっ……!?」

「君なら……君たちなら異変があれば動いてくれるだろうと。それに賭けた……」


 ライアンは静かに微笑んだ。


「結果、こうして魔力炉の再封印ができた。だから……礼を言うよ、リリアナ」

「そんなっ……」


 私は彼の言葉を聞いて、胸の奥が少しだけ痛くなった。


(ライアンは……一人でこの問題を解決しようとしていたんだ。なのにずっと疑ってた……)


「君は、俺の行動の邪魔したと思っているかもしれないが、気にしなくていい。俺も君たちを信じることが出来ていなかったからな」

「………………」


 私はゆっくり首を横に振る。


 「しかし今は人々のために行動をした君たちを信じている。だから、ありがとう」

 「ライアンも……ここまでひとりで頑張ってくれて、ありがとう。これからは何かあったら私たちを頼ってよね」

 「……あぁ」


 ライアンの目がわずかに揺れた。


 そして彼は、ゆっくりと微笑んだ。

読んでいただきありがとうございます!


今回の話、面白いと感じたら、下の☆☆☆☆☆の評価、ブックマークや作者のフォローにて応援していただけると励みになります。


今後ともよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ