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転生したら悪役令嬢になって断罪されそうになっても、魔法が最強すぎて王子様に面白い女認定される!  作者: 雪見クレープ
第2部 魔法が最強すぎてラスボスにも面白い女認定される悪役令嬢
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第30話 迷いの魔法と黒い霧――ダンジョン攻略開始!

「……まるで、森そのものが侵入者を拒んでいるみたいね」


 クラリスが呟く。


 ルーンフォレストの内部は、王国が施した「迷いの魔法」により、木々がうねるように絡み合い、まるで生きているかのように道をふさいでいた。

 それに加えて、空間全体を覆うように黒い霧が立ち込めている。


「王国の結界だけでも十分厄介なのに、黒い霧まで……」


 エリオット先生が険しい表情で言う。


「この霧……やっぱり敵が発生させているのか?」


 シモンが剣の柄を握りしめる。


「可能性は高いわね」


 クラリスが魔力を探るように手をかざす。


 私は内心、ものすごく焦っていた。


(王国がかけた迷いの魔法は、ゲームで何度も挑戦したおかげで攻略法はわかってる。でも……この黒い霧はゲームにはなかった!)


(攻略法がわからない……! どうしよう!?)


「リリアナ、どうした?」


 カイル様が私の横顔を覗き込む。


「え、えっと……」


(やばい、ここは落ち着かないと!)


 とにかく、王国の迷いの魔法は突破できるはず。

 黒い霧の攻略法は、進みながら考えるしかない!


「……ちょっと考えていたんです。この森を抜けるには……」


 ――森の“風”を読むこと!


 私は目を閉じ、静かに周囲の空気を感じた。


「この森は大気と風の魔力を宿している蒼穹のルーンストーンの影響を受けているはず。だから、魔力の流れが風に影響している……はずです……」


 ふわり、と髪が揺れた。


「こっちです!」


 私は確信を持って一歩踏み出した。


「えっ、おい!?」


 シモンが慌ててついてくる。


「確かに……この方向だけ風が流れてる」


 クラリスが驚いたように呟いた。


「なるほど、君は風を頼りに進むつもりなんだな」


 カイル様が納得したように微笑む。


(ゲームの知識なんだけど、ちゃんと自分で考えたように見えたよね?)


 風の流れを頼りに進むと、少しずつ視界が開けてきた。


「リリアナ、すごい! 道が広くなってきた!」


 クラリスが目を輝かせる。


「これならまともに進めるな!」


 シモンも満足げな顔をしている。


「しかし……順調すぎるな」


 カイル様が低く呟いた、その瞬間――


 ギィイイイイイイ!!


「何!? どこから!?」

「上よ!!」


 クラリスの声に全員が顔を上げる。


 ――そこには、黒い霧の中から現れた巨大な鳥型の魔物がいた!!


「グリフォンか!」


 カイル様は空からくる敵を見ると、以前学院長から頂いた手甲で魔法の盾を展開する。


(黒翼のグリフォン、ノクトグリム……ッ! こいつ、ゲームだとこのダンジョンの中ボスだったやつだ!)


「くるぞ!」


 シモンが剣を抜く。


「リリアナ、魔法で援護を頼む!」

「わかった! 炎の魔法で隙を……!」


 そう思ったが、次の瞬間、私はハッとして手を止めた。


(待って、ここは森の中……! 私が火魔法を使ったら、森ごと燃やしてしまう!!)


「……くっ!」


 私は魔力を抑え、違う手段を考える。


(そうだ! こういう時こそ――!)


「モフリ!」


 私は胸元の魔法陣に手をかざし、魔力を込める。


 ――ふわっ。


 もこもことした炎の毛並みを持つ猫の使い魔が現れた。


「モフリ、あのグリフォンの動きを封じて! 火力は抑えめで!」


 指示を与えるとモフリは炎の獅子の姿になりグリフォンへと跳びかかる。


 ――シュバッ!


 グリフォンはモフリの動きに合わせて高く飛ぼうとするが――


 ボンッ! ボンッ!


 クラリスが水の玉を放ち、グリフォンの翼を狙い攻撃する。


「威力がなくても足止めくらいならっ!」

「いいね、クラリス!」


 その隙を狙ってモフリがもう一度跳びかかりグリフォンは地面にたたきつけられた。


 カイル様が隙を見て剣を振るう。


 ザシュッ!


 シモンも追撃し、グリフォンの体を斬りつける。


「ギャアアアアア!!」


 グリフォンは断末魔をあげながらグタリと力尽きた。


「……はぁ、なんとか倒せた……」


 私は額の汗を拭いながら息をついた。


「リリアナ、すごいわ!」


 クラリスが駆け寄ってくる。


「二人ともやるじゃねぇか!」


 シモンが拳を突き出してくるので、私とクラリスは笑って拳を合わせた。


「よくやった、リリアナ」


 カイル様が近づいてきて、優しく頭を撫でる。


「え、えっと!? ちょっと、そんな!?」

「君の判断がなければ、危なかったからな」


 カイル様が穏やかに微笑む。


(急に来られると照れ……じゃなくて、びっくりするじゃないですか……!!)


 ――――――――――


 しばらく道を行くと――


「……見てください」


 クラリスが指を差す。

 そこには、黒い魔法陣の痕跡が残っていた。


「この魔力……ヴァレンティスのものとは違うけど、何か禍々しい気配がある……」


「これは……蒼穹のルーンストーンを狙う者の仕業?」


 私は不安を感じながら、黒い魔法陣の痕を見つめた。

読んでいただきありがとうございます!


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