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転生したら悪役令嬢になって断罪されそうになっても、魔法が最強すぎて王子様に面白い女認定される!  作者: 雪見クレープ
第2部 魔法が最強すぎてラスボスにも面白い女認定される悪役令嬢
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第28話 やっぱり私の魔法が規格外すぎる!?

「……で、今日の特訓内容は?」


 あとからカイル様もやってきて、私は演習場に集まった仲間たちを見渡した。

 カイル様、クラリス、シモン、エリオット先生――全員が揃っている。


 エリオット先生は、いつものように腕を組みながら鋭い視線を向けてきた。


「今日のテーマは“複数属性の融合魔法”だ」

「融合魔法……」


 カイル様は少し驚きながらも興味深そうに小さく笑った。

 私も上級者が扱う魔法にワクワクした気持ちになる。


「簡単に言えば、異なる魔法の属性を組み合わせて、より強力な魔法を生み出す技術のことだ」

「くぅ~、おもしろそうだ!」


 シモンはやる気満々の様子。

 彼は普段は剣を扱っているが、魔法もそれなりに使いこなすのがすごいところ。


「でも、そんな高度な魔法……本当に私に扱えるのかな……?」


 私はちょっと不安になりながら、カイル様を見上げる。


「君ならできるよ、リリアナ」


 カイル様は穏やかに微笑みながら、私の肩に手を置いた。

 その温かい手のひらの感触に、心臓が跳ねる。


(ちょ、カイル様……近い、近いです……!)


「さあ、リリアナ。まずは試してみなさい。魔法書のこのページの魔法だ」


 エリオット先生の言葉で、私は息を整えた。


「……わかりました!」


 魔法書にある通りに私は魔法陣を描き、炎と風の属性を同時に発動させる。


「フレア・トルネード!」


 ――ゴォォォォッ!!


 私の手から放たれた炎が風と混ざり合い、巨大な火の旋風が巻き起こる!


「な、なんかすごいの出た!?!?」


 シモンが慌てて飛び退く。


「リリアナ、威力を抑えて!!」


 カイル様の声に、私は慌てて魔法を収束させようとするが――


「……あっ、ちょっと待って!! 止まらな――」


 ――ズドォォォン!!!


 演習場の一角が綺麗に燃え尽きた。



 以前に学院長から頂いた魔力を強化するフレイムリングのおかげで、魔法は安定していたはずなんだけど、融合魔法はコントロールが難しいみたい……。


「……ふむ。やはり君の魔法は規格外だな」


 エリオット先生が腕を組みながらため息をつく。


「す、すみません……! まさかあんなに威力が出るとは……」


 私は頭を下げるが、エリオット先生は何やら考え込んでいる。


「君の使い魔、モフリを召喚して魔法力を安定させるのも手だが……今回は実戦形式で試してみよう」

「実戦……!?」

「リリアナ、君とシモンで模擬戦をやってもらう」

「えっ!?」

「相手がいれば魔法のコントロールにより集中せざるを得ないだろう」


 驚く私をよそに、シモンが不敵に笑う。


「それいいな! リリアナ、俺と戦ってみるか!?」

「……やるしかないですよね!?」


 先生に言われた通り、私とシモンは摸擬戦の準備を整える。


 そして、模擬戦開始――


「いくぞ、リリアナ!」


 シモンが素早く2種類の魔法陣を展開する。


「ライトニング・スピア!」


 青白い雷が彼の手から放たれ、私めがけて一直線に飛んできた!

 シモンは準備するあの短時間に魔法書を読み、得意とする雷魔法に風魔法を組み合わせてきた。


「くっ……!」


 私はすぐにカウンターで魔法を発動させる。


「フレイム・ウォール!」


 バシュッ!!


 雷と炎がぶつかり合い、眩い閃光が走る。

 その余波で土煙が舞い上がり、私は思わず後ずさる。


「リリアナ、前が見えないからって油断するなよ!」


 ――しまった!


 土煙が晴れた瞬間、シモンが目の前まで迫っていた。


「――えっ!?」


 気づいた時には、すでに遅かった。

 私はバランスを崩し、足元の石につまずいて――


「わっ!!?」


 次の瞬間――


「っ……!」


 ――私はシモンの胸の中に倒れ込んでいた。


 至近距離――沈黙の数秒間


「………………」

「………………」


(えっ、えっ、何この状況!?)


 気づけば、シモンの腕が私の腰を支えている。

 私の手は、彼の胸にぴたりと触れていて、距離が……近い。

 近すぎる!


 シモンの琥珀色の瞳が、驚いたように私を見つめている。


(ど、どうしよう……!? なんか、すごく気まずい……!)


 頬がじわじわと熱くなっていく。


「……おい、リリアナ」

「は、はい!?」

「いい加減、どいてくれ」

「っ!!??」


 私は勢いよく飛び退いた。


「ご、ごめんなさい!!!」


 その場にいたカイル様とクラリスが、あからさまに呆れた表情で見ている。


「……なんというか、君たちは本当に面白いね」


 カイル様が苦笑する。


「次からは、もっと慎重に戦いなさい」


 エリオット先生はため息をつきながらも、呆れ顔で言った。


「は、はい……」


 私は気まずさを振り払うように、息を整えた。


「……ん?」


 ふと、エリオット先生の表情が変わる。


「……みんな、静かに」


 先生がそう言った瞬間、演習場の結界がわずかに揺れた。


「……!? なんか、今、空気が変わりませんでした?」


 私は辺りを見回す。


「これは……魔力の乱れ?」


 カイル様が警戒するように手をかざす。


 すると――


 演習場の端から、異様な黒い霧がゆっくりと広がり始めた。


「これは……学院の結界に何かが干渉している……!」


 エリオット先生の声が険しくなる。


「まさか、結界に異常が……!?」


 私たちは、息を呑みながら黒い霧を見つめていた。

読んでいただきありがとうございます!


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