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転生したら悪役令嬢になって断罪されそうになっても、魔法が最強すぎて王子様に面白い女認定される!  作者: 雪見クレープ
第2部 魔法が最強すぎてラスボスにも面白い女認定される悪役令嬢
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第25話 晩餐会で急接近!? 王子 vs 魔将の火花が散る

 王宮の晩餐会――


 王宮の大広間は、華やかに飾り付けられていた。

 天井には煌びやかなシャンデリアが輝き、金と白を基調とした豪華な装飾が広がる。


「ふぅ……まさかこんなに盛大な晩餐会になるとは」


 私はそっと息を吐きながら、周囲を見渡した。


 王宮の中心に立つ長い晩餐テーブルには、貴族たちがずらりと並び、それぞれ煌びやかなドレスや燕尾服を纏っている。

 テーブルの上には、金の縁取りが施された食器と、色鮮やかな料理の数々が並べられ、ほんのりとした香辛料の香りが漂っていた。


「リリアナ、落ち着かないのか?」


 隣に座るカイル様が私を見つめ、微笑む。


「えっ!? そ、そんなことは……!」

「そうか? さっきからそわそわしているように見えるけれど」


 カイル様が静かに微笑みながらグラスを持ち上げた瞬間、ふわりと甘く深みのあるぶどうの香りが漂った。


「……それにしても、今回の晩餐会は妙に騒がしいね」


 カイル様の視線の先を辿ると、貴族たちがひそひそと囁き合っているのが見えた。


 そして、その中心にいるのは――


 ライアン・ランツァ。


 彼はすでに招待客として王宮に迎えられていたが、今夜の晩餐会で正式に紹介されることになったのだ。


「ふむ……なるほど。これが王宮の宴か」


 ライアンはいつものように余裕の表情を浮かべ、漆黒の髪を軽くかき上げる。

 その動作ひとつで、周囲の貴族令嬢たちの目がさらに輝きを増す。


「ライアン様、こちらへどうぞ!」

「ライアン様、お話を伺っても?」

「……ふむ」


 ライアンは特に興味がなさそうな顔をしているものの、どこか楽しんでいるようにも見える。


 そして――


「ライアン、そろそろ君を正式に紹介しよう」


 国王陛下が立ち上がると、会場が静まり返った。


「皆の者、紹介しよう。彼こそが王国北部のトリア村で魔物討伐の功績を挙げた旅の剣士――ライアン・ランツァである!」


 国王陛下の言葉とともに、会場が一気にざわめく。

 貴族たちはライアンを一目見ようとし、彼の噂があっという間に広がっていく。


「まさか本当にこんなに若い方だったとは!」

「見た目も素敵ですわ……!」


「……はぁ」


 私はひっそりとため息をつく。


(これ、しばらく王都はライアンの話題で持ちきりになりそう……)


 そんなことを考えていた矢先――。


「では、この宴の締めくくりとして、舞踏会を始めるとしよう!」


(舞踏会!?)


 突然の発表に驚く間もなく、貴族たちがざわざわと動き始める。


 舞踏会が始まると、貴族令嬢たちは次々とダンスの相手を探し始めた。

 煌めくドレスがフロアに映え、華やかな音楽が流れる。


 私はそっと隅に移動しようとした――その時。


「リリアナ」

「っ!?」


 目の前に立っていたのは、ライアン。


 ――えっ、なんでここに!?


「君、踊れるか?」

「えっ、えっと……?」


 ライアンはスッと手を差し出し、軽く微笑む。


「どうやら貴族の作法では、ダンスは大事な交流手段らしいな」

「そ、そうですけど……!?」

「なら、俺も試してみるとしよう」


 ライアンはさらりと言い、私の手を取る。


「ちょ、ちょっと待ってください!?」


 慌てる私を余所に、彼はぐっと私の腰に手を添えた。


「!!!」


 思わず息をのむ。


 ライアンの体温がすぐ近くに感じられ、彼の深紅の瞳がじっと私を見つめる。


「ほら、始まるぞ」


 そう言った瞬間、音楽が変わり、舞踏が始まった。


 ――えっ、えっ、待って!? こんなに急に!?


「リリアナ、しっかりつかまっていろ」

「えっ……!?」


 気づけば、私たちは舞踏の中心へと移動していた。

 優雅な音楽が流れる中、ライアンはリードを取り、私はその動きに必死についていった。


(思ったより上手い……!)


 それもそのはず。彼の腕の動きは洗練されていて、無駄がない。


「意外だな」


 ライアンが私を見下ろしながら、口元をかすかに上げる。


「君、ダンスが上手いじゃないか」

「そ、それは貴族のたしなみですから……」

「ふむ、そうか」


 彼は静かに笑う。


 ――その笑顔が、思ったよりも柔らかくて、私は一瞬見惚れてしまった。


 だが、一曲演奏が終わると――。


「ライアン、君は貴族の礼儀を学ぶためにここに来たわけではないだろう?」


 カイル様の冷静な声が響いた。

 ライアンは軽く眉を上げるが、私の手を離そうとしない。


「君も踊るのか?」

「当然だ」


 カイル様が手を差し出し、私の方を向く。


「リリアナ、次は僕と踊ってくれるかい?」

「……っ!!」


 ――どうしよう!?


 舞踏会のど真ん中で、王子と魔将に同時に手を差し伸べられるという状況に陥ってしまった――!!!

読んでいただきありがとうございます!


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今後ともよろしくお願いします。

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