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転生したら悪役令嬢になって断罪されそうになっても、魔法が最強すぎて王子様に面白い女認定される!  作者: 雪見クレープ
第1部 転生したら悪役令嬢になって断罪されそうになっても、魔法が最強すぎて王子様に面白い女認定される!
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第20話 やっぱり平穏な日常がいい

 ヴァレンティスを倒し、学園に戻った私たち5人。学園の門をくぐった瞬間、待ち構えていた生徒たちが歓声を上げて出迎えてくれた。


「リリアナ様、カイル様! すごいです! 王国を救った英雄だって聞きました!」

「シモン様、エリオット様、クラリス様も! 私たちの誇りですわ!」


 周囲からの大歓声に、私は驚いて目を見開いた。まさか、こんなに大勢の人が待っていてくれるなんて……。


「おいおい、なんでみんな奴をぶっ倒したって知ってるんだ?  まぁ、悪い気はしねぇけど!」


 シモンがニヤリと笑い、誇らしげに手を振っている。


「私が連絡のために使い魔を出していたんですよ」


 エリオット先生も珍しく穏やかに微笑んでいた。


「えっと、こんなに大勢に迎えられるなんて、ちょっと恥ずかしいですね……」


 私は照れながら、周囲の視線を感じて頬を赤らめた。


「リリアナ、君の頑張りがみんなに伝わったんだ。誇ればいい」


 カイル様が優しく私に声をかけてくれる。その言葉に、さらに頬が熱くなる。


「ふふ、リリアナもすっかり人気者ですね」


 クラリスが優雅に微笑みながら、私の肩に手を置いてくれた。彼女の言葉に、少しだけ緊張が解けた気がする。正ヒロインと対立する悪役令嬢の姿はもうない。


「クラリス、ありがとう……。でもね、みんなで一緒に戦ったからこそ、今がある」


 そう、私一人じゃ絶対に無理だった。カイル様もシモンもエリオット先生も、クラリスもみんながいてくれたから、ここまで来られたんだ――。


 歓声に包まれながら、私たちは学園長室へと招かれた。グレイア学院長が、穏やかに私たちを迎えてくれる。


「カイル王子、リリアナ、シモン、クラリス、エリオット先生……本当にありがとう。あなたたちの行動がなければ、学院も街も守られなかったでしょう」


 学院長は真剣な表情で、私たちを見つめる。その視線には感謝の気持ちが込められているのが伝わってきた。


「ありがとうございます、学院長。俺たち全員で力を合わせて戦えた結果です」


 カイル様が冷静に答える。


「いやいや、俺の活躍が一番、だろ?」


 シモンがニヤニヤしながら得意げに言うと、クラリスがすかさずツッコミを入れた。


「シモン様、確かに貴方の力は頼りになりましたが……謙虚さも忘れずにお願いします」

「はは、すまねぇ! でも本気でやったんだし、少しぐらいは褒めてくれよな」


 シモンが頭をかきながら笑っている。


「まぁ、確かに君の力は大いに助かった。だが、今回の功績はやはり、リリアナ様がいてこそだ」


 エリオット先生が静かに微笑みながら私に目を向けた。


 ――いつもはクールなエリオット先生の微笑みはまぶしく感じる!


「い、いえ、皆さんのおかげです! 私一人じゃ絶対に無理でした!」


 私は慌てて謙遜しつつ、内心ではみんなに感謝の気持ちが溢れていた。――でも、悪役令嬢リリアナがこんなにみんなから感謝されるのって、なんだか不思議な感じがする。


「リリアナ、謙遜しないで。貴女がこの学院の、そして街の人々を救ったのよ」


 クラリスが穏やかに微笑み、私の手を優しく握ってくれた。


「……ありがとう」


 そんな皆の優しさに、私は思わず微笑み返した。


「君たち全員の功績は、この学院にとっても、王国にとっても計り知れないものです。そこで、学院としてあなたたちに褒賞を与えたいと思います」


 学院長が少し微笑みを浮かべながら、私たちに伝える。その瞬間、シモンが目を輝かせて飛びついた。


「褒賞だって!? よっしゃ、今回は何がもらえるんだ!? 剣か? それとも金貨か!?」


「シモン、落ち着け」


 カイル様が冷静にシモンを制止するが、学院長も少し笑っている。


「ふふ、褒賞は追って正式に授与されますが、まずは名誉です。あなたたちは学院の英雄として、全ての生徒たちから称えられることでしょう」


 ――英雄……なんだか、現実味がないかも。でも、こうやって平和が戻ったことは本当に嬉しい。

 これでようやく私が転生してきた当初の目的「平穏な生活」を送れそうだ。


 ――――――――――


 学院長との面会を終え、私たちは学院の庭に戻ってきた。周囲は相変わらず平和そのもの。激しい戦いが嘘のように、静かな時間が流れている。


「なぁ、カイル様。俺たち、これからどうするんだ?」


 シモンが軽い調子で問いかける。


「そうだな……これからは平和な日常に戻るだろう。だから、俺はリリアナともっと一緒に過ごす時間を増やしたい」


 ――えっ!? 今のは、どういう意味ですか!? カイル様!


「カイル様、それってどういう……?」


 思わず問いかける私に、カイル様は優しく微笑んだ。


「そのままの意味だよ、リリアナ。君と一緒に過ごす時間が、俺にとっては一番大切なんだ」


 ――そんな直球で言わないでください! もう、顔が赤くなるのを止められない……!


「ほらほら、リリアナ。カイル様、めちゃくちゃ本気みたいだぞ? どう答えるんだよ?」


 シモンがニヤニヤしながら私に聞いてくる。――もう、どうすればいいの!?


「カイル様、そ、それは……私も、これからも一緒にいたいです!」


 私は思い切ってそう答えた。もう顔が真っ赤だけど、今だけは恥ずかしさよりも、カイル様にちゃんと伝えたい気持ちが勝った。


「ありがとう、リリアナ。それを聞けて嬉しいよ」


 カイル様が穏やかに微笑む姿を見て、私はますますドキドキしてしまう。――平和になった世界で、こんなに幸せな気持ちで過ごせるなんて。


「さてと、恋人たちは勝手に盛り上がってくれよ。俺は褒賞を楽しみにしてるからな」


 シモンが軽口を叩きながら、大剣を肩に担いで先へ歩いていく。


「リリアナ、カイル様と仲良くね!」


 ゲームではカイル様とくっつくクラリスからもそう言ってもらえるのは感慨深い。


 エリオット先生はそんなやり取りを眺めながら、静かに私たちに微笑んでいた。


 みんなとの平和な時間――こんな日常が続くなら、これからが楽しみだ。


 転生してきてよかった。

 乙女ゲーム「エターナル・ロマンス」、そしてリリアナ・フォン・クラウゼ、ありがとう。あなたが掴めなかった幸せ、その分も私は幸せになれるように頑張るからね!

読んでいただきありがとうございます!


今回の話、面白いと感じたら、下の☆☆☆☆☆の評価、ブックマークや作者のフォローにて応援していただけると励みになります。


今後ともよろしくお願いします。

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