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転生したら悪役令嬢になって断罪されそうになっても、魔法が最強すぎて王子様に面白い女認定される!  作者: 雪見クレープ
第1部 転生したら悪役令嬢になって断罪されそうになっても、魔法が最強すぎて王子様に面白い女認定される!
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第15話 どきどきデート・ときどきバトル

 ドォォォン!!


 大きな爆発音が鳴り響き、王都の街がざわめきに包まれた。私たちがデートを楽しんでいたカフェも、その騒音に反応してざわつき始める。


「リリアナ、外に出るぞ」


 カイル様は一瞬たりとも動じることなく、すぐに状況に対応する。その姿は私の心を落ち着かせてくれるような気がした。


「はい、わかりました!」


 カフェの外に飛び出すと、通りの向こうから黒い煙が立ち上っているのが見えた。街の人たちは一斉に騒ぎ始め、逃げ惑っている。どうやら、またしても魔物が現れたようだ。


「また魔物……!?」


 私は思わず立ち止まり、状況を確認した。すると、その黒い煙の中から――。


 ゴォォォン……!


 ――巨大な黒い影が姿を現した。赤い瞳が不気味に輝き、その口からは黒い煙を吐き出している。……えっ、まさかまた龍系の魔物!? しかも、この前倒した黒龍よりもさらに強そうなんだけど!


「これは……黒霧龍くろむりゅうだな」


 合体してるぅーーーーー!!!!


 黒霧獣と黒龍が合体しちゃってますよ! ゲームにはいなかったですよ!!


「な、なんなのあの龍……」


 私は困惑しながら黒霧龍を見つめる。街中に魔物を呼び寄せるなんて、ありえないんですけど!


「リリアナ、君の力を頼りにさせてもらう。あの霧は通常の攻撃では効かない。君の炎で霧を浄化しながら本体にダメージを与えるしかない」


 ――また炎で浄化ですか! でも、カイル様が信頼してくれている以上、私もやるしかない!


「わかりました! モフリ、いくよ!」


 私はモフリを呼び出し、炎を纏わせた。モフリは私の合図に応え、黒霧龍に向かって走り出す。炎が霧を一気に包み込むと、霧が少しずつ消え始めた。


「うまくいってる……! これなら、霧を消しながら戦える!」


 私は少しほっとしながら、モフリにさらに魔力を注ぎ込んだ。モフリの炎が強化され獅子の姿となり、黒霧龍をさらに圧倒し始める。やった、このまま押し切れるかも――と思った瞬間。


 グォォォン!!!


 突然、黒霧龍が大きく吠え、さらに黒い霧を吐き出した。その霧は一瞬でモフリの炎を包み込み、消し去ろうとする。


「うそ……! そんなに強力な霧なの!?」


 モフリの力がどんどん押し戻されていく。どうやら、黒霧龍の霧はただの黒霧獣とは違って、もっと邪悪な力が込められているみたいだ。


「リリアナ、落ち着いて! 君ならできる!」


 カイル様がすぐに駆け寄ってきて、私の肩に手を置いた。その瞬間、不安だった気持ちがすっと軽くなった気がする。


「カイル様……」


「君の炎の力は、この黒霧を完全に浄化できるはずだ。君なら、必ず成功する」


 カイル様の真剣な眼差しに、私は力を取り戻した。


「はい……やります!」


 私はさらに魔力を集中させ、モフリに全力で力を注ぎ込んだ。力を増したモフリは一度大きく後退し、再び黒霧龍に向かって突進する!


「今度こそ、いけぇぇぇぇ!!」


 モフリが黒霧龍に飛びかかり、その巨大な体を炎で包み込む。黒霧龍は苦しそうに咆哮を上げ、霧が少しずつ薄れていく……!


「よし、今だ! 全力でぇ! ぶっ飛ばす!!」


 フレイムリングで強化された今の私ならモフリの強化と私自身の魔法の強化もたやすい。黒霧龍に向かって全力の炎の魔法をぶちかまし、モフリはギリギリのところで回避させた。


「これで……終わりだぁ!」


 黒霧龍は火柱に飲み込まれもがく暇もなくその身体を燃やし尽くす。


 ゴォォォン!!!


 大きな音と共に、黒霧龍の体が消滅していく。黒い霧も完全に消え去り、街は再び静けさを取り戻した。


「やった……! カイル様、私たち……!」


 私は思わずその場に座り込み、モフリを抱きしめた。さっきまでの緊張感が一気に解け、ほっとした気持ちが広がる。


「リリアナ、本当によくやった。君のおかげで街を守ることができたよ」


 カイル様は優しく微笑みながら私の隣に腰を下ろした。その笑顔が素敵で、戦いでのドキドキと合わさりちょっと苦しくなってしてしまう。


「いえ、そんな……私なんて……」


 私は顔を真っ赤にしながら、カイル様の方を見た。どうしよう、こんなに近くで優しく見つめないで!


「ありがとう。君の力は本当に素晴らしい。これからも僕のそばで、共に戦ってくれるか?」


 ――カイル様のその一言に、私は完全に胸が締め付けられた。


「は、はい!もちろんです……!」


 もう頭の中がパニック状態だけど、とにかく私は全力で返事をした。だって、私が正ヒロインを差し置いてカイル様にそう言われたら、断るなんて無理でしょ!


「ありがとう、リリアナ。これからもよろしく頼むよ」


 カイル様は再び微笑みながら、そっと私の肩を抱いた。その瞬間、またもやドキドキが止まらなくなる私。もう、こんなに近くで触れられたら……。


 ガォォォォン!!!


 ――って、あれ? 今度は何!?


 突然、またしても不気味な咆哮が街中に響き渡った。えっ、もしかして、また魔物!? いやいや、もう今日はお休みさせてほしいんですけど!


「どうやら、デートはまだ終わらないみたいだな」


 カイル様が苦笑しながら立ち上がった。


「そ、そうみたいですね……」


 ――どうやら、私たちのデートはまだ続きそう。しかも、戦いのデートって、普通にあり得ない展開なんですけど!?

読んでいただきありがとうございます!


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今後ともよろしくお願いします。

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