表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら悪役令嬢になって断罪されそうになっても、魔法が最強すぎて王子様に面白い女認定される!  作者: 雪見クレープ
第1部 転生したら悪役令嬢になって断罪されそうになっても、魔法が最強すぎて王子様に面白い女認定される!
14/43

第14話 婚約者との初デート

 魔物との激しい戦いがあったりはしたけど、学院は平穏を取り戻した――そう見えるけど、実は私たちは学院の結界が狙われていることに気づいてしまった。それ以来、みんながピリピリした雰囲気で警戒している。だけど、今日はちょっと違う。だって……。


「リリアナ、今日は少し外に出て気分転換しようか」


 ――カイル様から、デートのお誘いが来たのです! はい、王子様直々に「デート」というワードが出たわけですよ!


「えっ、えっ……デ、デートですか!? 私と!?」

「うん、ここ最近ずっと魔物との戦い続きで君も疲れているだろう? たまには気分転換が必要だ。僕と一緒に、学院の外で散歩でもどうかな」


 ――もう、カイル様! そんな優しい顔して言わないでください! 私、これまで「悪役令嬢」としての役割しかなかったんだから……まあ、ゲームの展開から外れている今、期待していなかったわけじゃないですけど……!


「え、ええっと……で、でも……私でいいんですか? その……ほら、カイル様にはクラリスもいるし……」


 私は半ばパニック状態で、カイル様の顔を見上げた。だって、ゲームの中では「悪役令嬢」のリリアナとは絶対にこんな展開にはならないし!


「リリアナ、君は僕の婚約者なんだよ? 形式的とはいえ、僕たちが一緒に過ごすのは自然なことだ。……それとも、僕と一緒に出かけるのは嫌かな?」


 カイル様が、ちょっと困ったように微笑んでそう言った。


 ――いやいや、そんな困った笑顔を見せられたら、断れませんよ、嫌なわけがない! むしろイケメンすぎて、嬉しさがいっぱいです!


「い、嫌なわけないです! むしろぜひご一緒させていただきます!」


 気がつけば、勢いでそう言ってしまっていた。あぁ、もうこれ、私がカイル様ルートに入っちゃったかも。後戻りできない! 私、カイル様とのデートに行くことになっちゃった……!


 ――――――――――


 そして、迎えたデート当日。学院の近くにある王都の街まで、カイル様と二人で出かけることになった。学院の制服ではなく、私服に着替えているカイル様は……もう、何て言うか、見た目が本物の王子様すぎて眩しい。どこを見ても絵に描いたような美男子って、こういうことを言うんだなぁって改めて感じる。


「リリアナ、準備はいいかい?」

「は、はい! バッチリです!」


 私はドキドキしながらカイル様の隣に立つ。私も学院の制服ではなく、少し可愛らしいドレスを着てみたんだけど……こんなの、似合ってるのかな。自分の姿に自信が持てなくて、どうしても不安が募る。


「リリアナ、そのドレス、よく似合ってるね。可愛いよ」


 ――えっ、ちょっと待ってください、カイル様!? いきなり褒めてくれるの!? イケメンに褒めてもらえるってサイコーに気持ちがいい!


「ど、どうもありがとうございます……」


 私は顔が真っ赤になるのを必死に隠しながら、カイル様と一緒に街を歩き出した。

 私たちは王都の街をゆっくりと歩きながら、色々な場所を見て回った。街の中は賑やかで、さまざまな店が立ち並び、活気に満ちている。だけど、何より驚くのは――みんながカイル様を見た瞬間に、さっと道を開けること!


「……さすが、カイル様。みんなから注目されてますね……」

「ふふ、仕方ないよ。僕は王子だからね」


 ――うん、王子様だからってのは分かってるんだけど、それにしてもカイル様の人気が凄すぎる。こんな完璧な人と一緒に歩いてていいのか、私。


「リリアナ、少し休憩しようか。あそこのカフェは評判がいいんだ」


 カイル様はそう言って、街の中にあるおしゃれなカフェに足を向けた。私たちはそこで席に着き、しばしの休息を取ることにした。


「うわぁ、素敵なカフェですね。静かで落ち着いた雰囲気……」


 私は周りを見回しながら、ゆっくりと腰を下ろした。外の喧騒とは違って、カフェの中は落ち着いた雰囲気で、香ばしい香りが漂っている。こういう場所で王子様とデートだなんて、夢みたいな展開だよね。


「リリアナ、普段こういう場所には来ないのかい?」


「えっ、あ、あまり来たことないですね……というか、こういう高級なお店はちょっと緊張しちゃって」

「そんなに緊張しなくてもいいさ。今日は気分転換だし、君と過ごす時間を楽しみにしてたんだ」


 ――えっ!? 「楽しみにしてた」って……カイル様、それ本気で言ってるんですか。形だけの婚約者の私なんかが相手で、楽しいなんて思うはずないのに……。


「リリアナ、君がいると本当に安心するよ。最近は魔物の問題が続いていたけど、こうして君と一緒に過ごせる時間は特別だ」


 ――いやいや! その「特別」発言、素直にうれしいです!


「わ、わたしも……こうしてカイル様と過ごせるなんて、思ってもみませんでした」


 本当に、カイル様との時間は特別だ――。でも、私がゲームの「悪役令嬢」として転生したこの世界では、こんなことあり得ないはずだった。彼は本来、クラリスと結ばれるべき「正ヒロイン」の相手なのだから。


「君はいつも、俺に遠慮しているように見える。だけど、今は君がそばにいてほしいんだ」


 カイル様は静かに、でも力強く私を見つめてそう言った。


 ――そんな……どうしよう。カイル様のそのまっすぐな言葉に、どう答えればいいの?


「わ、私は……」


 私がどう返事をするべきか悩んでいると――その時、突然カフェの外で大きな音が響いた。


 ドォォォン!!


「えっ!?何!?何が起こったの!?」


 私は思わずカイル様の隣から立ち上がった。街の外で、何か爆発音のようなものが響いている。まさか、また魔物……?


「リリアナ、どうやらただのデートで終わりそうにないな」


 カイル様が静かに立ち上がり、鋭い目つきで外を見つめる。王子様のまっすぐな顔が、今度は戦いに向けた強さを宿していた。


「……えぇ、そうみたいですね」


 私も、覚悟を決めてカイル様に頷いた。彼の言う通り、私たちのデートは――ただのデートでは終わらないようだ。

読んでいただきありがとうございます!


今回の話、面白いと感じたら、下の☆☆☆☆☆の評価、ブックマークや作者のフォローにて応援していただけると励みになります。


今後ともよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ