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転生したら悪役令嬢になって断罪されそうになっても、魔法が最強すぎて王子様に面白い女認定される!  作者: 雪見クレープ
第1部 転生したら悪役令嬢になって断罪されそうになっても、魔法が最強すぎて王子様に面白い女認定される!
1/43

第1話 魔法が強すぎて面白い女認定される

第1部(第1話~第20話)57,000文字。

第2部(第21話~第43話)45,000文字。


追記:皆様の応援のおかげで第2部が完成しました。ありがとうございます!

さらに☆で評価をしてもらえると(割と本気で)うれしいです!

 目の前が真っ暗になった瞬間、私の人生は終わったと思っていた。仕事中の過労が原因で、会社のデスクで意識を失った。

 仕事でも恋愛でも、人生ではなにも成していない。ただ会社に行き、家に帰ってゲームやって寝る。それを繰り返すだけの人生だった――それが前世最後の記憶だ。


 でも、次に目を覚ました時には、全く違う世界にいた。


「え、ここ……どこ?」


 私は大理石の床の上に倒れていた。天井には美しいシャンデリア、豪華な貴族たちが私を取り囲んでいる。まるで中世ヨーロッパの宮廷のような雰囲気……それにしても、ここってどこ?


 しかも、目の前には一人の少女が涙目で私を睨んでいる。おっとりとした顔立ちに大きな青い瞳。可愛いけど、なぜかその瞳には強い敵意が……。


「リリアナ・フォン・クラウゼ! あなたの数々の悪行、今日こそ断罪されるべきです!」


 えっ? えぇっ!? 誰!?


 心臓がドクン、と大きく跳ね上がった。なんで私、いきなり断罪!? ちょっと待って、私に向かって、リリアナ?――って……。それに目の前の少女の顔、知ってる……!


 まさか、まさか……!


「これ、乙女ゲームの断罪イベントじゃないの……?」


 ふと気づいた。目の前の少女は、この世界に転生する前にプレイしていた乙女ゲーム「エターナル・ロマンス」のヒロイン、クラリスだ。そして、私は……悪役令嬢、リリアナ・フォン・クラウゼってこと?


 ――これってまさか私、悪役令嬢に転生しちゃったの!?


 ここは「エターナル・ロマンス」の世界。クラリスは平民出身の正統派ヒロインで、私――リリアナは、彼女に嫉妬して悪役を演じる貴族令嬢という設定だ。ゲーム内では、リリアナはクラリスを苛める典型的な悪役キャラで、最終的には婚約者のカイル王子に見捨てられ、断罪されて追放されるというお決まりのルート。


「いやいや、待って! 私はそんな悪いことしてないから!」


 そもそも、転生してきたばかりで何も分かってないけど!


 自分が何をしたかも分からないまま、こんな公開処刑みたいな状況に巻き込まれるなんてひどすぎる。私は慌てて周囲に弁解しようとするが、クラリスは容赦なく私を指差して糾弾を続ける。


「リリアナ様、あなたが学院で私をいじめて、嘲笑ったことを皆が見ています! 今日こそ、その罪を償っていただきます!」


 え、そうなの? そんなことした覚えが……って、そうか。これはゲームのストーリー通りに進行してるんだ。ゲームのリリアナがやらかしたことが、転生後の私に全部押し付けられているってわけね。はいはい……って、いや、ひどいよこれ。


 こんな理不尽なこと、私のせいじゃないのに! どうにかこの状況を回避しなくちゃ――。


「ちょっと待ってください!」


 思わず叫んだ私の声が、大広間に響き渡る。クラリスを含め、周囲の視線が一斉に私に集中した。気まずい。けど、言わなきゃ。


「えっと、その、私はそんなことをした覚えはありません! もし証拠があるなら、それをきちんと示してください! 法に基づいて、公平に判断されるべきです!」


 どうにか理論的に対処しようと頑張ってみた。前世の日本の常識を持ち出して、なんとかこの世界でも通用するように振る舞わなければ……。だけど、貴族社会にそんなものが通じるのか?


 周りがざわつく中、私の婚約者――王国の第一王子、カイル・デュランが静かに立ち上がった。冷静で整った顔立ち、銀色の髪、氷のような青い瞳。ゲームでは、彼もリリアナを見捨てる存在だったんだけど……。


「リリアナ、君がそんなことをしていないと断言できるのか?」


 カイル様は私に冷ややかな視線を送りながら、問いかける。やっぱり信じてくれないの? いや、まあ彼もゲームの流れに沿ってるんだろうけど。


「も、もちろんです!」


 私は必死に返事をする。が、どうやってこの状況を切り抜けるかが全く分からない。どうしよう……。


 そうだ、魔法! この世界では魔法が普通に使えるんだった!


「よし、ここは一つ、魔法を使って自分の潔白を証明しよう!」


 頭の中でそう決意し、私は両手を掲げた。


「証明するために、私の魔法をお見せします!」


 周囲がまたざわつく。無茶なのは百も承知。カイルも少し驚いた顔をして私を見ているけど、ここで一発、カッコいい魔法でも使えば、少なくとも「この悪役令嬢、実はすごいかも」って思ってもらえるはず。


 でも、魔法ってどうやって使うんだ……?


「あ、たしかこのポーズで……よし、これでどうにか――」


 ゴゴゴゴゴゴ……。


 えっ、なんか凄い音がする。私が放とうとしている魔力が、どんどん膨れ上がっていく。え、そんなに力入れてないんだけど?


「おい、大丈夫か」「なにしてるの、彼女……」周りがざわつく。これ、ちょっとまずいかも……。でも魔力はどんどん膨れ上がっていく。


「あ、ちょっと待って! これ止まらない!?」


 次の瞬間――


 ドカァァーーーン!!!


 ものすごい爆発音とともに、大広間が魔力の光で包まれ、辺り一面が光の嵐に巻き込まれた。


 ……やっちゃった?


 煙が晴れると、目の前には呆然と立ち尽くす貴族たち、そしてその中にぽつんと立つ私。床には大きなクレーターができていて、私の周りは完全に瓦礫の山だ。


「ご、ごめんなさい……そんなつもりじゃ……」


 私は肩をすぼめながら小さく謝った。今のは完全に「悪役令嬢」らしさも爆発しちゃったかも。


 カイル様は唖然としながら、私に歩み寄ってくる。そして一言。


「……リリアナ、君は本当に面白い女性だ」


 え? 笑ってる? いやいや、今の状況で笑うの!? ちょっと待って! 私って、どうなるの!?

読んでいただきありがとうございます!


今回の話、面白いと感じたら、下の☆☆☆☆☆の評価、ブックマークや作者のフォローにて応援していただけると励みになります。


今後ともよろしくお願いします。

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