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24.パーティ結成

すみません、本業が忙しくて更新が滞ってしまいました。

更新、再開させていただきます。




「そんなら俺と組まないか?」


 次の瞬間、俺は少女の横まで行って、ど直球にそう切り出した。


 すると、当たり前ではあるが、パーティ全員の視線が一気に俺に向いた。

 それまで俯いて今にも泣きだしそうな表情を浮かべていた少女は、少し驚いた顔でこちらを見る。

 そして、少女に“クビ”を宣告したゴイルは、怪訝な表情を浮かべて睨みつけてきた。


「なんだてめぇ」


 先に口を開いたのはゴイルの方だった。まぁこればかりはゴイルの反応が正しいだろう。突然、見ず知らずの男が話に割って入ってきたのだからその反応が正しい。


 ただ、俺はいてもたってもいられなかったのだ。目の前の少女ほどの“逸材”は他にはない。渋谷を歩いていたら1000年に一度の美少女を見付けたスカウトマンの気分だ。他にとられる前に交渉したいと思った。


 俺はゴイルのことは無視して、エリーゼにしゃべりかけた。


「なんか今まさに“フリー”になったんだよね? なら俺とパーティ組んでもらえないかなと思って」 


 すると、エリーゼが口を開く前に、ゴイルの方がつっかかってくる。


「はッ! 笑わせるな。この無能を勧誘? 俺たちの話を聞いてなかったのか? それとも単なるナンパか?」


 ああ、確かに。

 ナンパと思われてもおかしくないか。

 実際、この少女はかなりの美少女だ。絵に描いたような金髪碧眼で、肌も透き通るように白い。そういう目的だと思われてもしかたがない。


 なので俺はその疑いを払しょくするべく、あくまで冒険者としてあなたを勧誘していますよと説明することを試みる。


「君はすごい力を持ってる。だからその力を貸してほしい」


 率直に勧誘している理由を伝えた。

 あなたを「無能」と思っているこの男たちとは違いますよ、アピールする。

 すると少女の目に、少しだけ光がともった気がした。


 だが、さすがに即答とはいかない。エリーゼは俺とゴイルとを交互に見て困った表情を浮かべていた。

 確かに、見ず知らずの異性にいきなりパーティに誘わて、即答はできないだろう。

 この逸材を逃したくないという思いが先行して話しかけてしまったが、さすが強引すぎたか……。


 と俺が次の言葉を発することができないでいると、


「ヘッ。このポンコツを引き取ってくれるっていうんなら、ありがてぇ話だぜ。さっさとこの無能を連れていけ」


 ゴイルがそう吐き捨てるように言った。

 俺はこいつのどこまでも醜い言動に、さすがにキレそうになった。だが、今はエリーゼからこの男から遠ざけるのが一番だろう。

 俺は固まっている少女の手を引っ張って、無理やり立たせる。


「いこう」


 俺は有無を言わせず、そのままエリーゼを店の外に連れ出した。


 そして、店の外に出てきたところで手を放す。


「ごめん、強引に連れ出して」


 すると、少し口をもごもごさせてから、少女はようやく口を開いた。


「あ、いやそれは……その……ありがとうございます。私、突然クビって言われてどうしてよいかわからなくて……」


「そりゃそうだよな。一緒にパーティ組んでたやつがあんなクソ野郎だったんだからな」


 俺が言うと、エリーゼは俯き、少しためらいがちに聞いてきた。

 

「あの、私と組んでくれるっての、もしかして本当だったりしますか……?」


 どうやらエリーゼは俺の申し出が、自分を助けるためのその場限りの口実だったのではと思ったようだ。


「もちろん。別に気を使って言ったんじゃない。ぜひ俺と組んでほしい」


 俺が言うと少女は顔をパッとさせて見上げてきた。


「あのそれじゃあ……ぜひ……よろしくお願いします」


 俺は内心でガッツポーズした。

 超絶レアスキル持ちの冒険者が仲間に加わったのだ。今の俺にとってこれ以上のことはない。


「ありがとう!」


 と、パーティを結成したその直後、そこで俺はようやくお互いの名前を知らないことに気が付く。


「えっと、すごく今さらだけど、俺はハルトっていうんだ。よろしく」


 俺はそう言って手を差し出すと、エリーゼはおずおずと握り返すのだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 序盤のワクワク感が溢れてていいですね。 技能検証していくお話すきです。 スキルドレインをどう扱っていくのか楽しみです!
[一言] こんにちは。更新ありがとうございます!
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