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12.検証

これまで≪ライフポイント≫としていた用語を≪バリアポイント≫に変更します。

(あくまで結界の値なので、こちらの方がわかりやすいかなと思い直しました)


 俺はさらにスキルポイントをつぎ込んで≪状態分析≫のスキルレベルを上げた。その結果、データの収集範囲がさらに増える。


------------------------------


 状態分析Lv2

  消費MP:1

  効果 :対象のステータスを数値化する。


------------------------------


 レベル1の時点では、分析対象は自分に限定されていた。

 しかしレベル2になると他人も対象にできるようになった。これで戦う相手のステータスもわかるようになったのは地味に大きい。


「よし……早速いろいろ試そうか」


 俺はギルドで魔物討伐のクエストを受注しダンジョンへ繰り出した。


 ≪状態分析≫を自分にかけ、経験値がどう積みあがっていくのか、その変遷を確認していく。


 まずはダンジョンに入る前に一度、そして入った後にももう一度確認。

 ――さすがに、ダンジョンに入っただけでは、経験値は得られない。


 次に、モンスターと遭遇した時にそれだけで経験値を得られるか確認。

 ――これも当然だが、それだけでは経験値は得られない。


 だが、俺が≪ダブルスラント≫を使ってオークを瞬殺して確認すると。

 ――経験値が5ポイントほど得られた。


「やっぱりモンスターを倒すと経験値を得られるのか……」


 であれば、前世で一般的だったRPGゲームと同じような仕組ということになる――が。

 そう決めつけるのは早計だ。


 もっと具体的に、いつ経験値を得られるのか、いろいろ条件を変えて調べていこう。


 例えば、もしかしたらスキルを使ったから経験値が得られたのかもしれない。俺はそう考えて、早速≪ダブルスラント≫を空打ちしてみる。

 結果――わずかばかりだが経験値を得られた。しかしその量はモンスターを倒した時ほどではなかった。

 つまり、スキルを使うだけでも経験値は得られる。しかしその数値は大きくない。

 これは、治癒師など直接自分が戦うことのない人間はレベルアップしにくいという、良く知られた法則を裏付けるものだ。


「とりあえずモンスターを倒すのが王道の経験値獲得方法みたいだな……」


 俺はダンジョンを進んで、さらに検証を進める。


 再び、モンスターと遭遇。相手は先ほどと同じオークだ。


 前回は瞬殺してしまったのでわからなかったが、モンスターを倒したから経験値を得られたのか、それともモンスターと戦うだけで経験値を得られるのか。

 そのあたりを確かめるため、今回は手加減しながら戦う。


「≪マジックアロー≫!」 

 

 俺が持っている中で、もっとも威力の小さいスキルを使って相手にダメージを与える。

 相手に技が命中した時点で、一度経験値を確かめる。


「おお! 経験値が入ってる!」


 その結果は、ある意味かなり画期的なものだった。


 俺は試しにと、スキルを使わずに剣を使って相手にダメージを与える。

 すると、それでもやはり経験値は得られた。


 やはり、モンスターを倒した時だけではなく、「モンスターにダメージを与えたとき」にも経験値を得られるようだ。


「≪ダブルスラント≫!」


 必殺の二刀流スキルでオークにとどめを刺す。経験値を確認すると、やはり経験値が上がっていたが、上昇幅は≪マジックアロー≫でダメージを与えた時とさほど変わらない数値だった。


 俺は忘れないうちにと、今の経験値の上昇幅をノートに書き留める。


「これはかなり大きな発見だぞ……」


 一般的なRPGゲームだと相手を倒した時に経験値が得られる。

 そして、この世界でも「モンスターにとどめを刺した人間はレベルアップしやすい」ということが迷信レベルで信じられていたりする。


 だが、この世界では、モンスターにダメージを与えた場合に、それに応じて経験値が得られる。

 逆に相手を倒したからと言って特別大きな経験値を得られるわけではない。



 つまりだ。

 経験値を稼ぐという観点では、「耐久力に極振りしたモンスター」を相手にするのがよいということだ。


 逆に攻撃力に極振りしたモンスターと戦う場合、こちらはダメージを受けないように細心の注意を払う必要がある。だが、攻撃を避けたところで経験値は得られないから、それは「無駄な努力」になってしまう。リスクとリターンが釣り合わないのだ。


 一方、耐久力に極振りしたモンスターと戦う場合、一撃で倒されてしまうようなリスクはほとんどない。その代わり「倒す」ためにはたくさん攻撃をしなければならず骨が折れる作業になるが、経験値を得るという観点ではそれはメリットになる。ダメージを与えれば与えるほど経験値を得られるのだから。


 これは経験値を効率よく得る方法を探るのに大きなヒントになるだろう。


「次は、相手のレベルで得られる経験値が変わるのかを調べよう」


 俺はダンジョンを進んで、様々なレベルの相手と戦い、経験値がどれくらい得られるのかを検証していく。

 結果、至極当然の結果が得られた。

 基本的に自分よりレベルが低い相手と戦う場合は少なく、逆にレベルが高い相手と戦うと多くの経験値を得られる。

 この法則は想像の範囲内だ。


 ただし、レベル差による経験値の上下幅は想像以上に大きい。

 つまり、自分よりレベルの高い相手と戦った場合はかなり大量の経験値を得られる。逆もまたしかりで、レベルの低い相手と戦うとほとんど経験値を得られない。


「と、いうことは……」


 ここまでの情報をまとめると、効率よくレベルアップするには「格上の、耐久力がある相手と戦って、とにかくダメージを与えまくればいい」ということになる。


 そしてそれを踏まえ、俺はあるアイデアを思いつく。


 耐久力のあり、俺より高レベル。そんなモンスターがうじゃうじゃするダンジョンをハルト・・・は知っていた。


「――≪沼地の古神殿≫だ!」

 


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