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10/25

10.昇級


------------------------------


レベルアップしました。


Lv2 ⇒ Lv5


SPスキルポイントを3獲得しました。


------------------------------



「……勝ったんだ」


 女神の声に、俺はようやく勝利を実感するのであった。


 一気に経験値を獲得したのか、いきなり3レベルも上がった。その数字を見て、俺は今さらながらに、ミノタウロスがそれほどの強敵だったのだと実感する。


 同時に、危機が去ったことも理解して、ふっと力が抜けた。

 かろうじて立っていた俺のもとに、教官が歩み寄ってくる。


「ありがとう、ハルト。君がいなかったら俺たちは間違いなく全滅していた。本当に感謝している」


 教官は深々と頭を下げる。そうやってまじまじと感謝されると照れくさくて、俺は思わず視線をそらした。


「それにしても、攻略済のダンジョンにボスがいるなんて、聞いたことないですよね」


 俺は頭を掻きながら、話を逸らすように言った。


「確かに異常事態だ。このことはギルドでしっかり調べると約束する」


「ええ、お願いします」


 †


 翌日、俺とリンディ、ジェイドはライセンスを受け取るため、再びギルドにやってきた。

 約束の時間に建物に入ると、3人は個室に通される。

 そこには既に教官が待っていた。


「まずは3人にはお詫びを言わせてくれ。チュートリアルクエストで危険にさらしてしまって、本当に申し訳なかった」


 開口一番そう口にして、深く頭を下げる教官。


「ぜんぜん、それはいいんですけど、ボスがでた原因とかってわかりましたか?」


 俺が聞くと、教官は首を横に振った。

 

「現時点ではなぜあのようなことがあったのか情報はつかめていない。このことは王立騎士団に報告して調べる。何かわかればもちろん共有する」


「よろしくお願いします」


 ひとまず、攻略済のダンジョンにボスが現れた理由は謎に包まれたまま。原因は気になるが、ひとまず俺のボールはないので、気長に待つとしよう。


 それよりも、今日大事なのはライセンスの交付だ。


「それでは、早速だが、冒険者ライセンスを交付する」

 

 チュートリアルでは通常Fランクのライセンスを得ることができるが、場合によってはいきなりEランクに飛び級することもできる。

 俺には1年以内にAランクになるという目標があるが、ここで飛び級できないと達成は難しくなる。

 ボスを攻略して、一定の成果は出したので飛び級の可能性は高いと思っているが…

 とにかく内心緊張していた。


「まずはリンディ、ジェイド。二人には飛び級でEランクのライセンスを授与する」


 チュートリアルを担当したアンガス教官はそう言って二人にライセンスを渡した。


「あざす!!」

「ありがとうございます!」


 二人は嬉しそうにライセンスを受け取った。飛び級でEランクから始められる人間は多くないので、喜ぶのも当然だった。


 逆に不安になるのは俺だ。

 わざわざ先に二人の名前が呼ばれた。すると、自分はEランクへの飛び級はムリだったのか。そんな心配が俺の脳裏をよぎる。


 だが、次の瞬間それはとんでもなく杞憂だったと分かる。


「ハルト、お前には特別にDランクのライセンスを授与する」


「うぉっ?!」


 俺思わず変な声を上げた。

 

「アニキ、流石っす!!」


 間髪入れず、リンディが持ち上げてくる。

 どうやら聞き間違いではないらしい。


「まさかいきなりDランクになれるとは……」


 俺はそう言いながらライセンスを受け取る。


「教官である私でも対処できないような事態を、お前は見事に乗り切ってくれた。本当ならばCランクのライセンスにも値する働きだったが、流石に3階級の特進はできないというのがギルドの上層部の判断だ。すまないな」


「いえいえ、Dランクでも十分です……」


 俺は1年でAランク冒険者になるという目標を立てていた。ただ、昇級試験は最大でも年に2回しか受けられない決まりなので、少なくとも3回は特別昇級を狙う必要があった。そんな中、最初のF・Eランクを飛ばせたのは極めて大きいことだった。


「ギルド職員一同、今後の活躍にも期待している」


「はい、ありがとうございます!」



 

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― 新着の感想 ―
「俺には1年以内にAランクになるという目標があるが、ここで飛び級できないと達成は難しくなる。」 まさか、元父親のことをまだ考えているのかな。
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