魔王様と魂廻の儀 6
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「よし、確認も取れたので早速作業に取り掛かってもらおうか。」
創世神の合図で神々が立ち上がる。
魔王が神で無く人族に転生する確認が出来たからだろう。
「作業?」
「あんたの弱体化作業さ。その為に私と奪神が呼ばれたんだしね。」
破壊神が奪神を見ながら言う。
前回は神々に多大な恩恵を貰い受ける形だったが今回は違う。
様々な能力を持つ魔王を人並みに弱体化させる目的の為に二人の神が必要なのだ。
「ふむ、イメージと少し違ったな。」
破壊神と言えば大地や星を破壊する様なイメージを持つ者も多いだろう。
魔王のイメージもそうであった。
「ド派手な破壊行為も当然出来るけどね。私は大小に関わらず、壊す事に特化した神なのさ。」
イメージ通りの行いも出来るが、目に見えない能力やスキルをも破壊出来るのが、破壊を司る神なのだ。
「破壊神にはスキルや魔法を破壊してもらい、奪神には魔力を収奪してもらう。」
創世神に支持された二人の神が、魔王の手をそれぞれ握る。
魔王が持つ力に干渉する為である。
「魔力の収奪か。魔力に関する事ならば魔神の出番ではないのか?」
魔力を司る神である魔神ならば、魔王の膨大な魔力もなんとか出来る筈だ。
現に魔神は魔王と同格か少し上回る程の魔力を所持しているのだが、完璧に制御出来ている。
「神にも向き不向きがあるのさ。僕は魔力を司る神だから、君の魔力をどうにかする事も出来なくはないんだけど、奪うよりも与える方が得意って感じだね。」
魔王になる前にも魔神からは膨大な魔力の恩恵を貰った。
膨大過ぎて困る事になったので、得意過ぎると言えるだろう。
「他の神々にも言える事ですが、基本的には何かを生み出す事の方が得意とする神は多いです。故に破壊神や奪神の様な何かを消し去る事を得意とする神は、神からも頼られる事が多いのです。」
破壊神や奪神とて、破壊や奪う事に関する力は授けられるだろう。
だがそれらを司る神としては、与えるよりも実際に使う方が得意な様だ。
「あまり仕事を増やしてほしくはないんだけど、今回は私達が適任だからね。」
「特別な転生だからか?」
魂廻の儀専用特殊転生部屋に到着するまでの道すがらに、転生前の魂がどうなるのかは見た。
しかし神が直接関わっている様子は無かった。
「そうだよ!魂の浄化は神には効果が無い、つまり神の領域に踏み込んだ君も同じだね!だから一つ一つ力を消していくしかないんだ!」
死神が魔王を殺すときにも言っていたが、神に神の力は簡単に通じるものでは無い。
なので下界の者達の為に作られた魂の浄化は、神の域に居る魔王には効かないのだ。
「同格の者の力は、本人の了承を得ていても破壊するのに時間が掛かるから気長に待っているといい。奪神も同じだろう?」
「…今一厘くらい奪った。」
破壊神と奪神が手を握ってから弱体化作業は始まっているが、その結果は微々たるものだ。
元々が強過ぎるからである。
「確かに自分の中の能力と魔力総量が少しずつだが減っているのを感じるな。」
意識しないと分からないが、ポツポツと力が徐々に消えていくのが感じられる。
我ながらこれだけの力をよく手に入れたものだと魔王は改めて感じる。
「人族レベルまで減らすとなるといつになるか分からぬな。」
二人に手を握られており、作業に集中している様なので、身動きも取れない。
「そう言えば聞くのを忘れておったな。破壊神がある程度判断するが、何か残しておきたいスキルや魔法適正はあるか?」
創世神が魔王に向かって尋ねる。
人族に転生するとしても全ての力が取り上げられる訳では無い。
不自由無く生きていける様に、幾つかは転生後の為に残してもらえるのだ。
「ふむ、死神には魔族の時とは違う生活が送れると聞いた。ならば戦闘系は必要無いと判断していいのか?それならば戦闘系以外で何かしら便利なのを欲しいのだが。」
人族に転生した後は、どう過ごしていくかはまだ分からない。
だが魔王として過ごしてきた時の様に、戦闘ばかりの日々と言う事は無いだろう。
転生後に不便無く生活するだけならば、戦闘系の力はあまり必要無いと感じた。
「人族同士でも争いはある。盗賊、人攫い、暗殺者、戦争、上げればキリが無い。戦う手段は何かしら持っておいた方がいいぞ。」
戦神が魔王にアドバイスする。
魔王として過ごした期間に同族のそう言った存在に出会う事が無かったので、全く意識していなかった。
自分に戦う意思が無くても、悪意ある者に目をつけられれば、弱者は搾取されるのみ。
自衛の手段はあるに越した事はない。
「それに次の人生は自由に過ごしてもらう予定だが、緊急の頼み事をする可能性もある。そう言う意味でも強さはある程度欲しいところだな。」
創世神がさらりと重要な事を言う。
所謂神託と言うものである。
教会に勤める司祭や聖女が受け取ったと言う話を魔王も聞いた事があったが、どうやら自分もそうなる様である。
魔王時代の様に厄介で難しい頼みがくると苦労するのは目に見えているので、あまり厄介事に巻き込まれない様に今から密かに祈る魔王であった。
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