魔王様と魂廻の儀 5
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七人の神々はそれぞれ人族に近しい見た目をしている。
しかしその力はどれも規格外であり、魔王と同等以上の者ばかりだろう。
地上では現在そんな存在はいなくなってしまったので、魔王にとっては珍しく囲まれているだけで緊張してくる。
「久しいな魔王よ。これ程の力を身に付けるとは思わなかったがな。」
白髪の老人を思わせる見た目の創世神が呆れた様に言う。
自分達の加護による力も大きいが、魔王の成長については全くの予想外だったのだ。
その実力はここにいる神々にも匹敵し、召喚魔法で神までも呼び出せる様になるとは、誰も予想出来無かった。
「いきなり召喚されちゃうんだもん、ビックリしたよね!」
「笑い事では無いのですよ死神。あの後私は苦労したのですから。」
楽しそうに笑っている死神に文句を言っているのは、時間と空間を司る神である時空神だ。
豊満な身体と綺麗な容姿は、正に女神と言う言葉が似合う見た目をしている。
「時空神のおかげで、対策は出来たしな。これで死神の様に呼び出される心配も無くなっただろ。」
他の神々よりも二回り程大きい偉丈夫の男の見た目をしているのは、戦いを司る神である戦神だ。
戦神が言うには召喚魔法の対策を何かしら時空神が取ってくれた様である。
神が地上に召喚されるなんて言う事は、前例が無い事だったので今後は無いかもしれないが対策はしておくに限るのだろう。
「自らの干渉が出来無いとは言っても、地上に神々が行くとどんな影響があるか分からないからね。」
サラサラとした金髪と整った容姿を持つイケメンは、魔力を司る神である魔神だ。
「さて、わしを含めた五人には見覚えがある筈だな?」
「遠い昔の記憶ではあるが当然覚えている。」
創世神の問い掛けに頷きながら答える。
こんなインパクトのある出来事は、時間が経ってもそう簡単に忘れはしないだろう。
創世神が言った様に五人の神に見覚えはあるのだが、残りの二人に会うのは初めてだ。
前回魔王に転生する為にこの部屋を訪れた時は、五人の神々しかいなかったからだ。
「今回の転生に協力してもらう為に来てもらったのだ。」
「私はそんな気はしないが、初めましてだな魔王。よく見て楽しませてもらっていたよ。私は破壊神だ。」
スレンダーボディの快活とした雰囲気のある女性は、破壊を司る神である破壊神の様だ。
創世神とは真逆の力を有している神である。
「…奪神。」
深々と被られたフードにより口元しか見えないが、ポツリと呟かれた声から女性である事が分かる。
「彼女は収奪を司る神だよ。恥ずかしがり屋さんだから、気を付けてあげてね。」
魔神が奪神について捕捉説明をしてくれる。
見た目と性格からは想像出来無い力を有している様だ。
「さて、魔王よ。死神からも言われたと思うが、人族への転生で間違い無いな?」
創世神が念押しする様に聞いてくる。
同胞になる選択もあるのだから、間違いが無い為の確認だろう。
「実質それしか選択肢がない様なのでな。」
「あんたが私達の同胞になるのも楽しそうだけどね。暇なのは嫌なんだろ?」
破壊神も地上の様子を見ていたらしいので、魔王の事情は知っている様だ。
「暇は充分体験した。神々程ではないだろうがな。」
「よく分かっているじゃないか。あの程度で根を上げていては、寿命が無い俺達には付き合えまい。」
戦神が同意しながら大きく頷く。
娯楽が少ない神界で神になっても、魔王にとっては退屈以外の何者でもない。
「ならば人族としての転生で決定だな。」
「そう言えば魔王君が人族に転生する理由を聞きたがってたよ!」
死神からの提案では、神になるか人族になるかの二択だった。
種族は沢山存在するのに何故人族のみなのか少し気になっていたのだ。
「説明していなかったのか?」
「だって創世神が急かすんだもん!」
「簡単な話ですよ、貴方の力が強過ぎるからです。」
戦神の問いに死神が不満を現しているが、時空神がスルーして答えてくれる。
「強過ぎるから?」
「ええ、地上には複数の種族が存在しています。そして種族が違えば、文明や基礎能力も変わってきます。エルフ族であれば弓や魔法、巨人族であれば力や体格に優れている様に。」
当然地上で生きてきたのだから魔王もある程度は知っている。
種族が違えば身体能力や身体的特徴に変化がある。
「そして人族は繁殖能力が高いよね。故に人口が多種族よりも多くなって、副産物的な感じで文明も他種族よりも大きく発展している。」
魔神の言う通り、それが影響して魔族の滅亡の危機にも発展したりした。
数はどの様な事に対しても力となる。
「だが人族は数が多いだけの種族だ。個々の力は弱く、成長にも限界がある。だから私達は人族に転生してもらいたいのさ。強過ぎるあんたを弱くする為にね。」
破壊神は魔王を指差しながら言う。
他の種族と違って個人としての能力が低い人族に転生してもらうのが神々にとっては一番都合が良いらしい。
「成る程な。」
魔王は神々の説明を聞いて納得した。
神の領域まで力を伸ばした自分の力は、転生する際に大きく削る必要がある。
でなければ神々が地上に干渉するのと同じ様になってしまう。
更に転生するにしても、長命種や優れた種族になってしまえば、神々の恩恵が少なくても劣化魔王の様になる可能性があるのだ。
「此方の都合で申し訳無いがそう言う事情だ。とは言え全ての力を消す訳では無い。それでは簡単に命を落としてしまうからな。」
創世神はある程度譲歩してくれる様である。
人族は数は多いが個々の力が弱い為、最も死にやすい種族とも言える。
魔王時代の力が全て無くなれば、転生しても直ぐに命を落とす可能性が高いとの判断だろう。
「貴方には魔族を滅亡から救って頂きました。私達神々もその働きにはとても感謝しているのですよ。」
時空神がにこりと笑いながら言う。
魔王時代に頑張ってきた事は、神々にもしっかりと評価されている様で安心した。
魔王となってからの大半は椅子に座って過ごすだけだったので、少しだけ申し訳無い気持ちになった。
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