魔王様と魂廻の儀 4
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意識が戻ると、目の前の光景は一変していた。
見覚えは全く無いが魔王城の庭どころか、地上ですらない場所であるのは分かる。
見た事の無い現象が起こっているからだ。
巨人族でも楽々と潜る事が出来るであろう巨大な白い門、その前に様々な色をした球体が何列もの長蛇の列となって、ふわふわ浮いていた。
列を整えたり誘導している者達もいて、白い装束で全身が包まれており種族は判別出来無い。
「ここが神界か。」
「その通り!」
後ろから声が聞こえたので振り返ると、死神が扉の様な物を潜って出てきた。
扉の向こう側には、つい先程までいた魔王城の庭が見える。
「無事に神界に来られたみたいだね!」
「その様だな。この後はどうすればいいんだ?」
神界に来た後のルールなんて分からないので、死神の言う通りに動くしかない。
「前回と同じ場所に行くよ!特殊な転生にはあの部屋を使うからね!」
成る程と魔王は頷く。
唯一神界で知っている場所と言えば、魔王として地上に産まれる直前に、転生作業を行った部屋だけである。
浄化されたばかりの魂である自分に、突然魔王としての役割を言い渡し、神々が恩恵を与えてきた部屋だ。
遥か昔の事だが鮮明に覚えている。
「ちなみにあの球体達はなんなんだ?」
「あれは今の君と同じ様に、死んだ者達が神界に来たばかりの状態、つまり魂だよ!」
何かの不思議現象かと思っていたら、死した者達の魂の列だと言う。
地上で死んだ者達は一様にこの場所を訪れるのだろう。
魂は相当な数であり、辺りにも突然神界に来たばかりと思われる魂が次々と現れている。
「成る程、これから転生の為の作業が行われると言う事か。」
「そう言う事!ついでに様々な色があるのは、前世の善行や悪行に応じて、魂の色が変化したからだね!魂の色は次の人生の査定に関わったりもするんだよ!」
つまり様々な色に分かれているので、聖人の様な者から極悪人まで、多種多様だと思われる。
「死神様、その内容は機密事項です。」
突然無機質な声が聞こえたかと思うと、白装束の一人が近くまで来ていた。
「あれ?そうだっけ?やっば、知られたら怒られそうだから内緒だよ!」
死神は魔王と白装束に向けて、口に指を当ててシーッとしている。
確かにそんな事が地上の者達に知れ渡ったら、大混乱になるだろう。
「それより何か用かい?」
「創世神様より、急いで連れて来いとの伝言を預かっております。」
無機質な声ながら、急いで欲しいと言う感情が少しだけ伝わってくる。
そして創世神と言う神は魔王も前回会った事があるので覚えている。
世界を創る事が出来る、創世の概念を司る神であり、神界や数多の世界を創った全ての始まりの神でもある。
「も〜、今着いたばかりなのにせっかちだな〜!せっかく魔王君に神界を少し案内してあげようかと思ってたのに!」
死神は白装束の伝言を聞いて不満そうに愚痴を溢す。
創世神の言葉を無視するのも難しいのだろう。
「残念だが仕方ないだろう。道すがら見える範囲で教えてくれ。」
魔王としても残念だと言う気持ちはある。
神界に意識ある状態で来られる機会なんて二度と無いかもしれない。
様々な場所を見て回りたかったと言うのが本心だが、あまり自由に動いても神々の迷惑となってしまうかもしれない。
「分かったよ!じゃあ着いてきてね!」
死神は門に向かって歩き出した。
白装束達が死神と魔王の為に魂の列を少し移動させて道を作ってくれている。
魔王も死神の後に続いて行き門を潜ると、転移したのか突然建物の中に移動した。
それから暫く歩いたが、魂の色分け作業、魂の浄化作業、魂の色による転生後の境遇や能力を振り分ける作業と様々な部屋を見る事が出来た。
だが神界と言っても神らしい姿は見かけない。
色の付いた魂か白装束ばかりである。
「さあ着いたよ!」
そうこうしている内に目的の場所に辿り着いた様だ。
キラキラと輝く豪華な扉の上には、魂廻の儀専用・特殊転生部屋と書かれている。
魔王として転生する前にも意識ある状態で訪れたので見覚えがある。
死神が先導して扉を開けて中に入る。
「遅い!」
魔王も死神に続いて中に入ろうとすると、中から怒声が聞こえてくる。
「そんな事言われても、これでも真っ直ぐ来たんだよ?本当は寄り道して色々案内したかったのにさ!」
「まったく、我々は異常事態で騒いでおったのに呑気な事を言いおって。早く席に着け、死神以外は全員揃っているのだ。」
死神は不満そうにしながらも空いている席に向かう。
異常事態と言うのは魔王が神を召喚した件だろう。
前例が無い事なので、神界も慌ただしかった様だ。
「魔王よ、入ってくるとよい。」
怒声が聞こえたので立ち止まっていたら、神に招かれたので中に入る。
部屋の中は前回とあまり変わっていない様だ。
中に入った魔王を囲む様に半円型のテーブルが置かれており、七人の神々がそれぞれ座っている。
先程死神を怒っていたのは、テーブルの中心に座っている神。
全ての始まりの神でもある創世神であった。
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