元魔王様とセダンの大商会 7
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剣が空中で弾かれた事にモンドとメイドが驚いている。
「妙な力を使いおって。全員で掛かれ!」
モンドの指示で強制的にメイド達が剣をジルに振り下ろしてくる。
しかしその全てが空中で弾かれ、ジルに届く事は無い。
「どうした?それで終わりか?」
「貴様!一体何をした!」
余裕そうに寛ぐジルに苛立ちながらモンドが叫ぶ。
その場から一切動く事無く、戦闘奴隷達の攻撃を退けている。
「何をした?こんな事も分からないとはな。」
ジルは煽る様に首を左右に振りながら言うと、モンドは怒りで顔を真っ赤に染めている。
何故剣が弾かれているのかと言うと、ジルが使った魔法による効果である。
詠唱破棄のスキルによって無詠唱で発動させた結界魔法が、ジルとシキを覆う様に透明な結界を作り出しているのだ。
剣で斬り付ける程度では、ヒビすらも入る事は無い頑丈な守りである。
「ぐっ、…図に乗るなよ。騒ぎを聞き付けて直ぐに傭兵共がここに来る。」
先程からモンドの部屋で騒がしくしており、今は剣から発せられる金属音も鳴り響いている。
ドアの直ぐ外には案内してくれた門番も控えているので、戦闘音が聞こえれば直ぐにでも乗り込んでくるだろう。
「ちっ、まだか!傭兵共、出番だぞ!この不届き者に身の程を弁えさせてやれ!」
中々駆け付けてこない配下にイライラしながら、扉の外に向けてモンドが叫ぶ。
だがモンドの声に反応する者はおらず、ドアが開く気配は無い。
「な、何故だ!?何故誰も来ない!?」
「さて、何故だろうな?」
ニヤリと笑みを浮かべながらジルが言う。
当然こちらもジルの仕業である。
自分達を結界で覆う前に、既に部屋全体を遮音結界で覆っていたのだ。
これにより中の音が外に漏れる事は無い。
どれだけ中で叫んだり暴れたりしても、扉の向こう側にいる限り音が届く事は無い。
「貴様!まさか既に外の者達を!はっ!奴はどこだ!?俺様の敵は全て暗殺してくれるのではなかったのか!」
頼りになる暗殺者の執事を求めて辺りを見回す。
今はジルをいつでも暗殺出来る様に、監視する手筈になっているのだ。
しかしモンドは既に見捨てられている事に気付いてはいなかった。
「そんな事よりもどうするのだ?攻撃は通じず助けも来ない。お前の敗北は決した様だが?」
「お、俺様に手を出したらどうなるか分かっているのだろうな!」
モンドは誰も助けが来ない事を察して権力を盾にする。
それは普通の者になら効果は高いがジルに対しては効果が薄い。
権力者に媚びると言う考えが存在していないのだ。
「分からないから、試してみるとしよう。」
ジルは魔装の要領で手に魔力を集め、一つの塊としてモンド目掛けて射出した。
「ぶべらっ!?」
肥え太ったモンドが躱せる筈も無く、魔力の塊を正面から受けて、無様に吹き飛ばされて壁に激突する。
その衝撃によって白目を剥いて気絶し、身に付けている指輪のいくつかが砕けた。
「なんだ、これで終わりか。魔法道具を付けていた様だが、随分とあっさりだったな。」
「ジル様の力の前には、低品質な魔法道具程度では保たないのです。」
砕けた指輪は装備者のダメージの肩代わりや耐性強化等のそれなりに貴重な装備だったのだが、ジルの攻撃に耐えられる程の性能では無かった様だ。
「さて、諸悪の根源は倒した訳だが、お前達はどうするんだ?」
ジルは部屋の中にいるメイド達を見回して尋ねる。
主人であるモンドが気絶したので、命令の効果は切れている。
「…我々に戦闘の意思はありません。強制的に従わされていただけですので。」
一人のメイドが代表して答える。
他のメイド達もその言葉に頷いており全員の本意である。
「ふむ、ならば大人しくしていろ。後に領主の手の者が乗り込んでくる手筈になっているから、保護してもらうといい。」
戦う気が無いのであれば無理に戦う必要は無い。
奴隷と言っても事情を話せば悪い扱いはされないだろう。
それにメイド達はモンドによって集められた戦闘奴隷だ。
戦力に乏しい領主であるトゥーリならば、優れた奴隷達を放っておかずにそのまま手勢に引きこむだろうと予想出来る。
彼女達を任せても悪い様にはしないだろう。
「ありがとうございます、なんとお礼を申し上げればいいか。」
「成り行きだ、気にするな。我の実力をある程度秘匿してくれればそれでいい。」
結界魔法に気付いたかは分からないが、妙な力を扱う程度の認識はされた筈だ。
広まるのも面倒なので恩を感じているのならば、対価として黙っていてくれれば充分である。
「はい、必ず話さないと誓います。」
他のメイド達も同様に頷いている。
皆がジルに助けられた事に恩義を感じてくれている様だ。
「これで心置きなく力を使えるのです。」
「そうだな、正直建物内で火魔法を使っての殲滅は面倒だ。」
出来無い事もないが面倒である事は確かだ。
一々屋敷に燃え移らない様に注意しながら魔法を扱うのは神経を使う。
「でも戦う人達にジル様の話しを広められると面倒なのです。」
シキの言う通りメイド達は黙ってくれても、目撃者全てを殺したりしない限りはジルの噂が広まってしまうだろう。
「遠距離からの攻撃の方がいいか?」
「ちょっと待ってほしいのです。」
シキは異世界通販のスキルを使い何かを探している。
「ジル様、これを使うのです!」
そして購入したと思われる仮面とマントをテーブルの上に出してジルに言う。
ほぼ真っ黒な二つの物は、絶妙に悪役感を漂わせるセットとなっていた。
「我が付けるのか?」
「絶対カッコいいのです!」
シキのキラキラとした真っ直ぐな視線を受けては、ダサいから付けれないとも言えない。
恥ずかしい気持ちを抑えつつ仮面とマントを身に付ける。
「どうだ?」
「すっごく素敵なのです!メイドさん達もきっとそう思うのです!」
シキは仮面とマントを身に付けたジルを見て嬉しそうである。
そして黙って成り行きを見ていたメイド達にも感想を求めた。
「え、ええ。とても素敵ですよ。」
「そ、そうですね。カッコいいです。」
「せ、正義の味方って感じがしますね。」
メイド達は言葉を詰まらせながらも気を遣ってなんとか褒めている。
どうやらジルと感性は同じ様だ。
「さあ、今からはジル様の一番の配下、ルード様として出撃なのです!ルード様の輝かしい初戦闘なのです!」
シキが勝手に話しを進めて名前まで付けられてしまった。
おそらく前世である魔王の名から取ったのだろう。
「はぁ、少し恥ずかしさはあるが仕方が無い。付き合ってやるとしよう。」
ジルとして面倒事を回避する為に、シキの思い付きに少し載ってやる事にした。
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