元魔王様と宿屋の事情 1
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ゴブリンの集落を全滅させた翌日、ジルは読み掛けていた本やシキが新たに購入していた本を読み漁っていた。
知識の類は一度見れば全てシキが記憶しているのだが、異世界の本から齎される情報には純粋に興味が湧くのである。
「うーん、これはダメそうなのです。こっちはいけそうなのです。」
本を読むジルの隣では、シキがスキルの無限倉庫内の整理整頓を行なっていた。
無限倉庫は様々な物を無制限に収納出来るスキルである。
そして中に入っている物を、武器、薬、素材、食べ物等の幾つかの種類に分ける事も可能なのだ。
元々ある程度種類別に分けてはあったのだが、少し問題が発生したのでシキが仕分けをしている。
その問題とは昨日の夕方頃に遡る。
ゴブリンの討伐を終えたジル達が街に帰還した。
捕まっていた人質も冒険者だったと言う事もあり、一旦ギルドに全員で向かい、事情説明を含めた報告が行われた。
事が事だけに長い間受付で様々な話し合いが行われた。
「冒険者は続けるのか?」
「これも何かの縁かと思いますし、私達でパーティーを組む事にしました。」
その話し合いの結果、人質にされていた女性三人は、逞しくも新たに三人でパーティーを組んでこれからも冒険者を続けるらしい。
「そうか、達者でな。」
「このお礼はいずれ、本当に今回は助かりました。」
これからは更に安全に配慮して頑張るとの事で、今回の件について改めてお礼を言われ別れた。
そしてジルの初依頼と救出関連の事について、エルーとゾットからギルドに報告がされた。
ゴブリン達との戦いを直接見た二人のジルに対する評価は非常に高く、ランク選定試験の惨状を見たミラもあっさり二人の言葉に納得していた。
「随分と内容が多いですから、一度持ち帰らせて頂き検討した後、お話しさせてもらいますね。」
「分かった。」
ランクアップについてはギルド側で一度話し合うらしく、その場でランクアップとはならなかったが、報酬は貰う事が出来た。
「こちらが依頼のゴブリン討伐と魔石買い取りの報酬です。」
Eランクの依頼、しかもゴブリンの討伐と言う事で、倒した数はそれなりだったが、魔石の合計額は小金貨2枚と少し程だった。
しかしゴブリン以外にもジルは大量に討伐している。
「思ったよりも少ないがこんなものか。メインはこちらだしな。」
「メイン?」
統率個体や上位種のゴブリンの大量の魔石、更に王冠や手斧等の装備品も持ち帰っている。
それを無限倉庫から出してやると、あまりの量に受付嬢のミラが驚きを越えて呆れていた。
それらも依頼とは関係無いが全て買い取ってもらえた。
その合計額は100万Gを軽く超え、依頼の報酬が霞む程であった。
「ふむ、中々の金額になったな。」
「上級冒険者が稼ぐ様な額ね。」
エルーが覗き込んで口笛を吹いている。
Bランクのエルーにとっては見慣れた報酬額だが、新人でこれだけの稼ぎを上げている者は滅多にいないだろう。
「二人の分け前はどうする?」
討伐は主にジルが行ったが、二人も様々な役割りをしていたので分け与えるつもりである。
「殆どジル君がやった様なものだから、私は遠慮しておくわ。」
「私も討伐数はジルさんに比べると微々たるものでしたから、必要ありませんよ。」
しかし二人は受け取ろうとはしなかった。
そしてギルドマスターにも報告をするからと言って、二階に上がっていった。
一応新人冒険者ではあるので、懐事情を気にしてくれたのかもしれない。
「金は幾らあっても足りないから助かるな。」
これで異世界通販のスキルを楽しめるなと機嫌が良くなるが、そもそも同じくらいの額を商人のシュミットに貰っていた事を思い出す。
その殆どは異世界通販のスキルによって既に消えており、これくらいではまた直ぐに無くなってしまう。
「ミラよ、これも買い取りは可能か?」
ジルは頻繁にギルドに足を運ぶつもりは無いので、せっかくなのでもう少しお金を得ようと、無限倉庫の中から大量に所持していた物を一つ取り出す。
「これってミスリル鉱石ですか?珍しい物を持ってますね。」
ミラの言う通り、取り出したのは魔王時代から無限倉庫に入れてあったミスリルが含まれた鉱石である。
ミスリルとは魔力との相性がとても良い鉱石であり、武器や防具に用いられる事が多い価値の高い鉱石なのだ。
「ああ、昔拾った物だ。」
だがジルにはそんな詳細な知識は備わっていなかった。
せいぜい魔力と相性が良い鉱石くらいの印象で、価値に関しては理解していない。
理由は簡単で、魔王時代には幾らでも入手可能だったからである。
それこそ道端に落ちている石ころ感覚で、どこででも拾えたのである。
なので無限倉庫の中には、通行の邪魔と思って片付ける感覚で仕舞ったミスリル鉱石が大量に入っていた。
持て余しているので少しでも金になればいいなと思って出してみたのだ。
「えーっと、ちょっと待って下さいね。」
ミラはミスリル鉱石の鑑定を始める。
素材鑑定と言うスキルを所持しており、買い取りに持ち込まれる物の価値や状態を調べる事が出来る様だ。
「え!?」
鑑定していたミラが突然大きな声を出してしまったので、近くの酒場にいた冒険者の視線を集める。
ミラはなんでもないとペコペコ謝って誤魔化していた。
「ジルさん、これどこで手に入れたんですか!?」
小声なのに迫力のある雰囲気でミラが尋ねてくる。
しかし魔王時代に拾った物だなんて言える訳も無いので、適当にどこかの山で拾った物だと答えておく。
「くっ、入手場所が分からないのは残念ですね。」
「そんなにこの辺りでは珍しいのか?」
悔しそうなミラの反応を見て、人族の国では手に入りづらいのかと尋ねる。
魔国フュデスでは簡単に入手出来たので、人族もそれなりに所持していると思っていた。
「ミスリル鉱石は価値の高い鉱石ですが、市場にもそれなりに出回りますよ。しかしこのミスリル鉱石は別格です!」
ミラ曰くジルが取り出したミスリル鉱石は純度が高過ぎるらしい。
これ程のミスリルであれば、とても性能の高い武器、防具、魔法道具を作り出せるので、簡単にギルドで買い取り出来無いレベルだと言われた。
こう言った物は鍛治師や錬金術師との直接的な取り引き、又はオークションに掛ける等の方法で売るのだと教わった。
結局買い取りしてもらう事は出来ず、宿に帰る事にした。
以上の内容から、普通だと思っていた物の価値が変わっている事を考えて、ジルが転生する間も地上で知識を蓄えていたシキに無限倉庫内の整理を任せているのだ。
そしてシキに聞いたのだが、ミスリル鉱石は昔から価値は高く、簡単に入手する事は出来無い物だったらしい。
何故魔国フュデスで大量に入手出来たかと言うと、魔王が発していた魔力が原因だったらしい。
本来長い長い時間を掛けて、魔力を蓄えた鉱石類がミスリルに変わるらしいのだが、魔王の膨大な濃い魔力はその時間を飛躍的に加速させたらしい。
その為魔王が暮らす国、特に中心都市では豊富に入手出来たが、魔王が死んでからは鉱石類が魔力の影響を受ける事も無くなったので取れる数は激減したと言う。
「ジル様が昔からどれだけ規格外だったのかよく分かるのです。」
「その説明を聞くと、我は相当な財産を所持していると言う事だな。」
無限倉庫の中には純度の高いミスリル鉱石が大量に存在している。
取り敢えずこれらを換金する方法も探さなければと思考を巡らせる上機嫌なジルだった。
閲覧ありがとうございました!
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