元魔王様と人族の街 4
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「さて、続きを頼もう。」
ある程度の実力の持ち主ならば、今ので実力差を理解して引くだろうとジルは判断した。
「それは構わないのですが…。」
受付嬢であるミラの視線の先では、大男が起き上がっていた。
そしてジルを怒りの形相で睨み付けている。
「なんだ、まだやるのか?」
「ガキに舐められたまま引き下がれるか!」
大男は再びジルに迫り、丸太の様な太い腕を唸らせて、拳をジルに叩き込んでくる。
だがジルはその拳を難無く片手で受け止めて、反撃として大男の額にデコピンをしてやる。
「ゴハッ!?」
この世界には無いが、まるで銃で撃たれたかの様な音が響き、大男は後ろに吹き飛ばされた。
見た目からはとても強そうには見えないジルなので、そんな行動一つ一つに周りが驚愕している。
「これで大人しくなるだろう。」
先程とは違いそれなりに痛みを与えた。
これで実力差は嫌でも理解した筈だ。
「今回は全面的にお相手が悪いので構いませんが、冒険者同士の諍いとなるとギルドからの評価が下がります。冒険者になってからは自重する様にして下さいね。」
ミラはこれから冒険者になるジルに説明する。
どうしても血の気の多い冒険者は一定数いるので争い事は絶えない。
ギルドとしても罰を与えて抑制に努めているのだが、現状を見れば焼け石に水だろう。
そして話しの通りだとすれば大男はギルドから処罰が下されるだろう。
「善処しよう。」
そう口では言っておくが穏便に済ませられないのであれば、やられたらやり返すつもりである。
「おい、ガキ。」
声の方に振り向くと大男が懲りずに立ち上がっており、それを見たジルはうんざりとした気持ちになる。
「まだ邪魔するか?」
大男の額から血は流れていないが、痛々しい程赤々と腫れている。
そんな怪我を負わせたのに引き下がるつもりは無いらしい。
「感謝するぜ、おかげで酔いが覚めたからな。」
痛みで酔いが覚めたと言う大男は、不敵な笑みを浮かべながら腰の得物を抜く。
かなり使い込まれているロングソードだ。
「ちょ、ちょっと困ります!?冒険者ギルド内での刀傷沙汰なんて!?」
それを見たミラは慌てている。
まさか冒険者ギルド内での揉め事に、武器まで持ち出すとは思わなかったのだ。
大男本人は酔いが覚めたと言っているが、今度は見下していた相手にやられて頭に血が昇ってしまい、冷静な判断が出来ていない状態だ。
「自分が何をしてるか分かっているのか?」
そんなロングソードを見せられたくらいで、ジルは動揺したりはしないが、いい加減面倒になってきた。
「生意気なガキの教育だ。運が良かったら死なないかもな!」
周りの冒険者達が止める間も無く、大男はジルに向けて飛び出し、ロングソードを振り上げる。
ジルも迎え撃つ為に右腕を大男に向けて伸ばしていく。
「そこまでにしな。」
少し遠くから女性の声が聞こえたかと思うと、それと同時に身体が少し動きにくくなったと感じる。
「な、身体が!?」
大男も突然身体が動かなくなって動揺している。
それもその筈で、ジルと大男の身体の周りには無数の糸が張り巡らされていた。
その糸は簡単に切れる事は無く、大男の動きを完全に止める程に頑丈な様だ。
しかしジルの動きを完全に縛る事は出来ていなかった。
手や腕にも糸が絡んでいるが、動かしにくくなっただけで動かない訳では無い。
なので特に気にする事も無く腕を大男に向けて伸ばす。
「っ!?動きを止めな、手が千切れるよ!」
糸を張ったと思われる女性がジルに向けて言うが、それでも動くのを止めない。
そしてブツンと言う音を最初に、次々と糸がジルの力に耐えられずに切れていく。
「あたしの糸を素手で!?」
絡まっていた糸から解放され、遮る物が無くなったジルの腕はもう少しで大男に届く。
「悪いが矛を収めてもらえないか?」
あとほんの少しで手が届くと言ったところで、ジルの肩に手を置いた男性にそう言われた。
「お前も我の邪魔をするのか?」
振り向かずにジルが尋ねる。
さすがに面倒事が続くと、ジルもイライラしてくる。
返答次第では無事では済まさないと声色が語っている。
「そんなつもりはないさ。そこの馬鹿な酔っ払いを回収しようと思ってね。」
大男を指差しながら言う男性。
どうやら大男と違って騒ぎを収めにきてくれた様だ。
「そうか、ならばさっさとしてもらおうか。」
「すまないね。」
男性は糸を張った女性に合図を送ると糸が解除される。
そしてその瞬間に華麗な動作で大男の意識を刈り取る。
「皆、騒がせてしまって済まない。」
男性が謝罪すると、冒険者達から口笛や賞賛が浴びせられる。
ジルは知らなかったが、それなりに有名な冒険者の様だ。
「もう直ぐ自警団が来る。新人君、ミラさんも迷惑を掛けたね。」
「い、いえ。助けて頂いてありがとうございます。」
男性は手を振りながら席に戻っていった。
気を失った大男はずるずると引き摺られている。
「色々ありましたが、お待たせしました。冒険者ギルドでの冒険者登録でお間違い無いですか?」
ミラが気を取り直してと言った感じで、ジルの話しの続きに戻る。
「ああ。」
「ではこちらの水晶に魔力を流して下さい。」
ミラが取り出した水晶は、キラキラと綺麗に光る魔法道具だ。
魔法道具とは魔力を流す事によって機能する道具の総称である。
ジルも魔王時代の暇潰しで取り組んだ期間があったのでそれなりに知識はある。
だが目の前にある水晶は初めて見るので、一応万能鑑定のスキルを使って効果を確かめておく事にした。
閲覧ありがとうございました!
定期的に投稿していこうと考えているので、お暇なときにでもご覧になって頂ければ嬉しいです!!!




