「血の烙印」
大惨事になることなく用を足した私達は恨みを晴らそうとユイの元へと向かおうとするとアリアンロッドさんの叱責に私達はそっと帰ることにした、皆には後で連絡しておきましょう。
「それしにしてもさっきは何もしてあげられなくてごめんなさいね」
帰る直前私はユカリちゃんに謝りたかった、助けてあげられなくて暴力を振るわれて私は無傷なんて胸糞悪くてせめて何かしてあげたい。
「ううん、私こそ感情任せに怒ろうとしてごめんね、サナエちゃんは優しくて冷静で羨ましいな」
なのに彼女は私を褒めてくれた、あんなゴミみたいな価値の無い私を擁護してくれた。
「いいえ、これからなにか奢るわ、ごめんなさい」
「ううん!平気だよ!私は大丈夫だから今日はもう帰ろうよ♪」
私が歯を食いしばって出した答えは彼女に受け入れられず何もしてあげられないまま解散してしまった。ユカリちゃんは我慢強いからなのかそれとも私が嫌なのか首を縦に振ってくれなかった。
☆★☆★ シェアハウス お風呂場
今日は皆お仕事、私一人除いてね、だからこそ出来る事はあれしかない。嫌な思いを“切る“事を…
右の長袖を捲り私は“自前のカッター“を取り出した。
「んん、っ……」
カチカチと刃物を出して肘から上の腕に刃物を押し当てる。
スパッと手を動かすと肉が切られ赤い液体が流れ
る。だがそれでは終わらない、何箇所も同じ事を繰り返し気付けばお風呂場は血溜まりになっていた。
「はぁ…はぁ…」
足りない…切り足りない…もっと…切らないと。
ユカリちゃんは私の事を無能だと思ってるに違いない、だから私は無価値なんだ、カイトに恋なんて抱いてなければ…ユカリちゃんを好きにならなければ……私は無価値だ。ナルシストキャラを演じるだけの傀儡人形だ、血を出さないと。
私はいつの間にか包丁を手に取り何度も切りつけてしまった。意識がなくなる程にね。
☆★☆★
「っ?」
寝てたのかしら?右腕がじんじん痛む、見るとそこには血塗れの赤い肉が剥き出しになる程切りつけた腕がダランと血を流していた。
頭が回らない、気持ち悪い…死にたい……でもカイトの為に生きないと……アイツがこんなことになったのは私のせいなんだから。次世代な携帯機から包帯とガーゼを取り消毒した後キツく縛る、私の罰なんだ痛いなんて言う権利なんて私には無い。
カイトは私が守る、私のせいでカイトは不幸なんだ。カイトの幸せは私が守るんだ、カイトが結婚するまで私は死ぬことを許されない。たとえ借金して臓器を売ることになったとしても私はカイトが幸せなら何でもいい。
私はキャラクターを演じる、サナエ・アポカリプスを……食欲旺盛のナルシスト高飛車キャラを今日も演じる。だから皆は私を必要として……私は皆の為なら何でもするから……お願い。ごめんなさい、お母様、お父様、娘は…アポカリプス家は私で潰えます。ですが絶対に復讐は果たします、私を壊したアイツラを苦悶の刑へ…蠱毒の痛みを知らしめます。アポカリプス家の末裔として幻影守衛騎士団の一員として。
だからこの行為を許して下さい。
そう言って最後に血のついたカッターを次世代携帯機の中に収め右腕を隠す生活に戻ることにした。




