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幻影道 第三巻   作者: SAKI
22/26

「血の渇望」

 立ち込める血の異臭と狂気なる惨劇を目の当たりにした人々は研究所の奥へと進む。そこで待っていたのは……


「これは……」


 彼等はアリアンロッド直々の部下【シスターズ】と炎星皇帝のダンテ・アルキデス。今日は研究員が潜んでいるとされる宿屋に向かった所誰かに襲撃を受けたとされた凄惨な状況にて突入した。まさかこの研究実験室が大量の血と腐敗した腐卵臭と刺激臭が混ざったような臭いが充満してるのほ知らなかった。


「あれは?」


 今にも倒れてしまいそうになるこの場所で誰かが何かを叩きつけている音が聴こえる、その音の方へ目を向けるとそこには桜色の髪をした女性がブリキのおもちゃのようにずっと何かを殴り続けていた。


「あはは、あはははは!!」


 だが彼女は正気では無かった、争った形跡があるのか身体中ボロボロで髪は乱れ四肢が溶かされ骨が剥き出しになりながらも何かに取り憑かれたように誰かを殴り続けている。


 アリアンロッドとダンテはその姿に見覚えがあり、二人は驚愕して彼女の元へ急ぐ。


「ユイちゃん??」


 その名前を呼ぶと彼女は顔を上げると頬が溶かされ眼から大量の血を流し喉元が締められ溶けているではないか。


「ユイ!大丈夫か!?」


 ダンテはユイの肩を揺さぶるとケタケタと不自然に笑うユイが殴る相手は研究員幹部のオルカ本人だった。


「こいつがオルカ?思ってたより化け物だな…」


「前に幻影守衛騎士団ファントム・ガーディアンズが倒したのはクローンだったみたい。だからユイちゃんは改めて殺しに来たってことかしら?」


 ユイちゃんならこの場所は知ってるからいつかは襲撃すると思ってたけどまさかこんなに早く襲撃するなんて…


「あの……アリアンロッド様、どうしましょうか?」


 シスターズの一人がポツリと呟く、アリアンロッドは言葉に迷い取り敢えずユイを回収すると判断を下す。


「ユイ!ユイ!!俺だ、ダンテだ!!」


 だがユイの耳には届かず無反応だ。もう一度揺らすと目を此方に向けた。


「あはは、ダンテちゃん久し振り〜見てみてやっと殺せたよ♪これで一人目〜後は四人かな?あはは!」


 目の焦点が合ってない限り彼女は正気では無かった。


「取り敢えずユイちゃんを光星の病院へ!」


 アリアンロッドはユイの肩を掴むと直ぐ様振り払われた。


「あれれ〜貴方も邪魔するの??あはは!あははははははははははははは!!」


 高笑いしておぼつかない身体で武器を構える、足を踏み出したがアリアンロッドの目の前で倒れ込んでしまった。


「あれ?なんで??目がぐるぐるする……おえっ……げほっ、ゲホ…」


 倒れ込み、吐血し、もう何が何だか分からなくなっていた。


「ユイちゃん……」


 ボロボロのユイはもう立ち上がることすら出来ず痙攣した身体を優しく抱き寄せる。アリアンロッドの女神の正装は純白なドレス、それが赤く染まり血が垂れ流している。


「アリアンロッド様っ!ドレスが…汚い血で…」


 シスターズの人達は汚物を見る目でボロボロのユイを罵倒するとアリアンロッドは静かに叱咤する。


「何も知らないのにユイちゃんを穢れた目で見るのは止めなさい、ユイちゃんがどんな思いで生きてるのか貴方達には判らないでしょ」


 アリアンロッドは怒りを抑えユイを抱いて一人歩き出す。


「ダンテ、後は御願いしていい?」


 去り際にダンテに言葉を告げる、ダンテは気前よく受け入れてアリアンロッドは安堵した表情で礼を言う。


「ごめんなさい、お願いね」


 そう言い終えるとアリアンロッドは急いで光星へと向かうことにした。

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