「朝の彼女」
サナエちゃんはいつも早起き、気付いたらいつの間にかいなくなっている。学校もあまり一緒に登校しない、家が一緒でもそれは変わらない。でも変わらないことは一つある、毎日欠かさず弁当とメモがテーブルに置いてあるのだ。特に何か文章的なものは無いのだが必ず一言書いてある。【地球では行ってきますと言うらしいから一応アンタも使ったら?】と書かれている。
相変わらずの世話焼きとお節介だ。彼女と暮らしてるとサナエちゃんは何かと世話を焼いてくれる。まぁ……謝られた事は一度も無いけどね。
僕はそんな厚意に沿って一言。
「行ってきます」
誰もいない部屋に一声掛けると学校へと向かった。軽い身支度を済ませ、気になる女の子がいる場所へ……
☆★☆★
学校に入学してから二ヶ月、特に問題もなく生活を送っているのだが学校が元々女子校のせいなのか何故か男は僕とフレンドリーな抹綺優牙の二人しかいない。女の子だらけで戸惑うことが多いが色恋沙汰や結婚願望が無いわけでもない。今はその気になる女の子が登校する場所に来て見るとやっぱりいた。
少し長めの左右非対称のボブカットにルビー色の瞳。体型は物腰柔らかく最近出る所が出てるような魅力的な女の子。一目見た時から心臓を鷲掴みにしてきた彼女のミニスカートからはみ出る肉付けの太腿が最高に素敵だ。
佐創柚駆ちゃん、あんなに可愛らしい美少女は初めて見た。のほほんとしているのに喫茶店で働く彼女は可憐で美しい。ちょっとお馬鹿な所もあるしユイちゃんからは【二重人格者】らしいから刺激を与えないようにと注意された。彼女もまた辛い過去があったのだろうか・・・打ち明けていけば彼女ともっと仲良くなれるかな。
彼女を追いかけると不意に振り向いた彼女は気が付いたようだ。
「あれ?カイト君のお家こっちだっけ?シェアハウスとは逆だったような……」
唐突に突かれた言葉に逃げ道を作ろうと嘘を吐いてしまった。
「ユカリちゃんって毎日ここ通ってるから一度来てみたかったんだ」
そうなの?と小首を傾げる可愛い女の子、見てるだけでも可愛いの一言、完全に惚れてしまっているのだ。本当なら触ったりしたいがまだ仲良くないしもっと話せる仲になったら触らせてくれるだろうか?取り敢えず頭を撫でたい。
「ふぁ~~」
ちょっと眠たげなユカリちゃん、話をしてみると朝は弱いらしくユイちゃんに起こして貰わないと起きられないらしい。しかも彼女はギフデッドなのか文系意外壊滅的でほぼ寝てるしやる気が全く出ないらしい。そのせいかノートも文系に比べて物凄く小さく纏められている。問題はそのノート等を一切見てないので学年では結構下の順位らしい。
「眠そうだね?今日って確か物理の小テストだったよね?」
物凄く欠伸を繰り返して彼女はつまらなそうに告げた。
「理系はパスだよ、面白くないしつまんないよ……早く帰ってゆいゆいに会いたい」
そしてこのユイちゃん依存だ。皆のお姉さんである彼女は謎が多い、下手に詮索しても彼女はすぐに勘づくから止めた。包容力と母性の塊のユイちゃんは子供からは大人気、だが大人は大嫌いだからさっぱりしている。それがユイちゃんた。
僕達は他愛もない会話を話しながら登校した。
ユカリちゃんは相変わらず眠そうだ。