「ユイの心情」
少しだけ皆の輪から離れてユイは徐ろに歩き出す。ユイの顔色が窺えない、急に声のトーンが変わって冷たく物腰柔らかさは感じられない。
「何よ?急に呼び出してさ」
声を発するも答えは帰って来ない、まだ話す気じゃないのかしら?
もう少し皆との間を取ると静かに口を開いた。
「サナエちゃん、今日は楽しいよね?」
何が来るのかと思ったら拍子抜けな言葉が返って来た。
「はぁ?何よ急に?」
頭トンチンカンのぱっぱらぱーの女がここまで来ると呆れてしまうと思っていた。呆けた言葉にユイは振り返って微笑む。
「楽しい・・・・よね?」
重い、重圧を掛けるような言葉で普通のユイでは無いことを感じた、これが本性なのだろうか?
「そ、そうね。まぁまぁじゃない?」
「ほんとーに?」
「えぇ?」
「ふーん?」
何かを見透かされてるのか信用の眼差しは見受けられない。恐らくは私の考えてる事がユイにとって不都合なのだと察した。
「お姉さんに嘘は吐けないぞ♪サナエちゃんさ覚えてない?急に淫乱見たいなことになってたの」
「あぁ〜それね。それがどうかしたの?」
すっとぼけで誤魔化そうとしたけどどうもユイには通用しないのか訝しげな表情で見つめてくる。
「気にならないの?」
「いいえ?でもどうせアンタのことだから首突っ込むなって言いたいのでしょう?」
うんと清々しい笑顔で返されると逆に困ってしまう。
「これはお姉さんで解決したいから今回は任せて貰えない?」
ここまでお願いされると言うことは何かしらの理由があるのだろう。そこに答えを求めるのは野暮だろう。
「分かったわ、アンタに任せる。その代わり教えてくれない?」
「?」
「それってアンタの復讐する内に入るの?」
「まぁね♪」
「なら他の奴に話しても良くない?目標は同じな筈よ?」
サナエは欲する答えを口にしようとしたがユイの人差し指が唇を閉す。
「ごめんなさい、今は話せない。でも信じて、お姉さんは家族を大事にしたいの」
距離を詰められユイの両手がサナエを包み込む。優しくて温かい包容に頭がポワポワする。
「ちょ、近い!」
今にもキスしてしまいそうになる程の至近距離、甘い香りが漂い胸がドクドク脈を打つ。瞳が私を飲み込んでしまいそうだ。
「分かった!分かったから!離れなさい!」
妖艶な雰囲気あるユイに私は理性を保とうと嫌々振り払う。少し胸を叩いてしまいそこは謝って胸を撫でる。
「うふふ、ありがとうサナエちゃん♪」
お礼を言った瞬間頬に唇が押し当てられ頭が沸騰してしまう。まるで恋に落ちてしまったかのような胸の痛みと火照った身体を早急に冷まさないと止まらなくなってしまう。
「んじゃあ戻ろっか♪」
「ふん!」
改めてユイに触れたけどデカい乳ぶら下げてるだけじゃないのは確かね。この女は何処まで謎があるのか計り知れない、けどいつかは話してくれる日が来たらその時は初めてユイを知ることになるのかしら?
そんな事を考えながらも私は皆の輪に戻ることにした。




